スイスのシステムインテグレーターであるEvent AGは、過去3度(2019、2021、2022年)Swiss Location Awardを受賞したチューリッヒの最先端のイベントセンター「THE HALL」の様々な要望や使用例に対応するため、2017年に、THE HALLのオーディオ・ビジュアルソリューションを企画・統合した。

Blackmagic Designによると、同ソリューションは光ファイバーを軸として構築され、Blackmagic Designのライブプロダクションハードウェアとデジタルフィルムカメラを装備しているという。

コロナ禍において、スタジオスペースおよび配信機能の需要が高まったが、これは2017年にTHE HALLを設計した時には、誰も予想できなかったことであったという。ニュートラルな多目的コントロールルームと、より広い制作スペースに対するニーズが明らかになったといえる。

ICFと、デジタル通信エージェントであるFE Motionは、より良いサービスを提供するために、設備を地下に拡張することを決めた。

Event AGのプロジェクト・マネージャー/プロダクト・マネージャーであるサイモンバッハオーフェン氏は、次のようにコメントしている。

バッハオーフェン氏:XR(拡張現実)に対応したバーチャルLEDステージの設置もこの一環です。これにはUnreal EngineとDeckLink 8K Proキャプチャーカードが使用されています。

Blackmagic Design導入事例:チューリッヒ「THE HALL」の場合

同改装では、他のプロダクション機材もチェックされ、必要に応じて更新された。特にICFのマルチカム・プロダクションでは、11台のURSA Broadcast G2カメラがライブプロダクションに使用されている。カメラのライブフィードは、2台のATEM Constellation 8Kライブプロダクションスイッチャーを新しく備えた、会場のメインギャラリーにルーティングされる。

バッハオーフェン氏:URSA Broadcast G2では、素晴らしいカラーでノイズの少ない、モダンなフィルムルックが得られます。

また、交換可能なレンズマウントUSB-Cドライブを使った収録オプションがあることで、カメラやスペースをより多目的に使用できます。

また、THE HALLのメインスペースには、3Dケーブルカメラシステムが新たに導入された。URSA Broadcast G2を組み込んだEagleEyeは、すべてのビデオとCCU信号、そしてコントロールに光ファイバーを使用している。

同会場で、長期に渡り定期的にライブイベントを行っているのがインターナショナル・クリスチャン・フェローシップ(以下:ICF)教会である。

毎週行われる礼拝などの大規模なライブイベントでは、ビデオコンテンツが配信・収録され、Barco E2 Event Masterプロセッサーから120m2の4KLEDウォールで再生され、会場内外に設置された様々なモニターにも送信される。

信号の管理には、Universal Videohub 288、Universal Videohub 72、そして3台のVideohub 12G 40x40ルーターが使用されている。フィル&キー信号には、DeckLinkおよびUltraStudioキャプチャー・再生カードが複数のコンピューターで使用されている。

ICFはまた、週を通して小規模なライブ配信も行っており、これにはATEM Mini Extreme ISOライブプロダクションスイッチャーと、複数のBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kが使用されている。

Blackmagic Design導入事例:チューリッヒ「THE HALL」の場合

ICFのテクニカル・ディレクターであるマルコ・リチリク氏は、次のようにコメントしている。

リチリク氏:ICFのプロダクションは、ほとんどボランティアに頼っており、チームメンバーは常に変化します。そのため、セットアップが簡単で使い勝手の良いソリューションが必要なのです。

2017年以降、既存のワークフローは上手く機能していたので、今回のアップデートでもBlackmagic製品を使用するのは自然な流れでした。Blackmagicのソリューションは簡単に拡張可能で、いつでも新しいコンポーネントを追加できます。

カメラ機材の大部分を購入したICFは、寄附金により運営されているという。

リチリク氏:コストパフォーマンスに優れたソリューションを探していたのはこのためです。

しかし、他のイベントの開催者たちもこのシステムを借りられるように、スタジオプロダクションとライブプロダクションの両方に対応できる、汎用性の高い機材を提案しました。

バッハオーフェン氏:一般的なプロダクションとハイエンドなプロダクションでは予算が異なりますが、一般的には同じような機材が使用されています。

例えば、最近テレビ局が番組用にスペースをレンタルしたのですが、ICFが使用するのと同じプロダクションシステムを使用していたことからも、このソリューションの汎用性の高さが窺えます。

「セレブレーション」と呼ばれる、日曜日に行われるICFの礼拝は、同教会のYouTubeチャンネルだけでなく、テレビでも配信されている。

Blackmagic Design導入事例:チューリッヒ「THE HALL」の場合
Blackmagic Design導入事例:チューリッヒ「THE HALL」の場合