仕事などで多忙な人の中には、深夜にポテトチップスやフライドポテトカップ麺などの高カロリーな食べ物を食べたくなることがあるようです。こうした食べ物は栄養価が低いことから、「ジャンクフード」と呼ばれています。

 深夜にジャンクフードを食べたくなるのはなぜでしょうか。脂肪溶解注射や食事指導など、いわゆる「医療ダイエット」の診療経験が豊富な、TCB東京中央美容外科 六本木院院長で医師の鎌田紀美子さんに聞きました。

ストレス、夜更かしが原因

Q.深夜にジャンクフードを食べたくなるのは、なぜでしょうか。

鎌田さん「ジャンクフードとは炭水化物の比率が高く、高カロリー、高塩分、高脂質で、ビタミンやミネラルなど、体に必要な栄養素がほとんど含まれていない食品です。具体的には、ハンバーガーやカップ麺、スナック菓子などが挙げられます。深夜にジャンクフードを食べたくなる場合、以下の2つの原因が考えられます」

・ストレス
ストレスを受けると、脳の前頭前皮質の機能が一時的に低下することがあり、その場合、カロリーが高い食べ物を食べたくなります。そのときに、糖質や脂質などを多く含んだジャンクフードを摂取すると、脳内の快楽中枢が刺激されるため、気分が高揚し、満足感を得ることができます。

この経験が習慣化された場合、気分が落ち込んだり、不安を感じたりしたときなどに満足感を得るために、ジャンクフードを食べるようになります。深夜にストレスを感じやすい場合は、そうした傾向が強まります。

血糖値の低下
血糖値が低下すると空腹を感じます。夕食を食べてから長時間経過すると血糖値が低下し、体が糖分を欲するようになるため、夕食から就寝までの時間が長いと、深夜に食欲が増し、ジャンクフードを食べたくなることがあります。

Q.深夜にジャンクフードを食べた場合、健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

鎌田さん「脂肪分の多い食べ物は、消化に時間がかかるため、深夜にジャンクフードを食べると、胃腸が刺激されて睡眠の質が悪くなる可能性があります。また、胃腸の働きを鈍らせたり、消化を遅らせたりすることがあり、胃もたれや腹痛、下痢などの症状が生じることもあります。

ジャンクフードには食品添加物が多く含まれており、食品添加物の消化には大量のビタミンやミネラルを必要とするため、ジャンクフードの過剰摂取はビタミンやミネラルの不足につながります。ミネラルの一つである亜鉛が不足すると、肌荒れや味覚障害が起こります」

Q.深夜にジャンクフードを食べることが習慣化してしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

鎌田さん「深夜にジャンクフードを食べることが習慣化してしまった場合、健康に深刻な影響を及ぼすと考えられます。深夜は代謝が低下し、脂肪が蓄積されやすいので、その時間帯にジャンクフードを食べると肥満の原因となります。

肥満は心筋梗塞狭心症脳梗塞、月経異常、不妊症、変形性膝関節症などの発症リスクを高めるほか、糖尿病や高血圧症脂質異常症といった生活習慣病を引き起こす原因にもなります。健康的な生活を送るためには、バランスの良い食事と適度な運動が大事です」

深夜にジャンクフードを食べたくなったら?

Q.深夜にジャンクフードを食べるのを控えたい場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

鎌田さん「深夜にジャンクフードを食べるのを控えるためには、夕食時にパスタや丼などの炭水化物をメインとした料理ではなく、焼き魚定食など、おかずをメインとした料理を食べましょう。

夕食に大量の糖質や脂質を摂取すると、先述のように深夜に食欲が増すことがあります。夕食のおかずには、脂質の少ない肉や魚、卵のほか、豆腐などの植物性タンパク質、野菜がお勧めです。

夕食から長時間経過するとジャンクフードを食べたくなるので、夜更かしを控え、十分な睡眠を取るのも大切です。夕食のタイミングや内容を定期的に見直してみましょう。

このほか、『仕事帰りにコンビニに寄ると、ついスナック菓子を買ってしまう』など、自分がジャンクフードを食べたくなる法則を見つけ、それを回避することも大切です」

Q.深夜にジャンクフードを食べてしまった場合、どうすればよいのでしょうか。体への影響を軽減できるのでしょうか。

鎌田さん「深夜にジャンクフードを食べてしまった場合は、水か炭酸水をしっかり飲んでください。水分を十分に摂取することで体内の老廃物を排出し、腸内環境を整えることができます。

就寝前に軽い運動をすることで、代謝を促進し、脂肪の燃焼を促すことができます。ただし、ハードな筋トレは、糖質を消費しやすいので空腹になりやすく、かえって食欲が増してしまいます。就寝前に運動をする場合、軽い筋トレ有酸素運動を10~15分程度行ってください。

そして、翌日の食事、特に朝食時に栄養バランスを整えることが大切です。糖質を控えて、野菜やタンパク質を多く摂取しましょう。市販の野菜ジュースは糖質が多く、ミネラルやビタミンが少ない傾向にあるので、野菜を手軽に摂取したい場合は自分でスムージーを作るのがお勧めです。

味付けが濃いものは食欲が増すので、避けましょう。深夜にジャンクフードを食べたことで胃腸に負担がかかっているので、消化のよい食べ物を選んでください。消化に時間がかかる脂質が含まれた食べ物は避けましょう。

これらのことに取り組むことで深夜にジャンクフードを食べてしまった場合でも、体への影響を軽減することができます」

 なお、鎌田さんによると、深夜にジャンクフードを食べたくなるのは、心身ともに疲れている可能性も考えられるため、休息を取るのが望ましいということです。

オトナンサー編集部

深夜にジャンクフードを食べたくなる理由は?