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航続距離よりアイデンティティ ジレンマ解消を

ボルボ傘下の高級車ブランドであるポールスターのトーマス・インゲンラートCEOは、EVの効率と航続距離の一部を諦めてでも、独自のビジュアル・アイデンティティを確保したいと語っている。

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5月9~11日にかけてロンドンで開催されているフィナンシャル・タイムズ紙のイベント「Future of the Car」の基調講演で、インゲンラート氏はこう問いかけた。「わたし達は皆、効率性のチャンピオンでなければならないのでしょうか? 誰もが皆、最も長く、最も良い航続距離を目指さなければならないのでしょうか?」

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ポールスター4にはリアウィングがなく、車載カメラで後方視界を確保している。    ポールスター

「クルマのキャラクターによっては、一定の範囲内で、数kmの航続距離を手放してブランド・アイデンティティを求めることもあるのではないでしょうか」

ポールスターのわたし個人に言わせれば、クルマのキャラクターにある種の品質を保つためなら、一定割合の効率はぜひとも手放したいと考えています」

「しかし、もちろん、それは合理的な量でなければなりません。その点も、お客様には喜んでいただけると思います」

また、先日公開された新型ポールスター4のリアウィンドウがないことについても言及。新型4は、フラットなリアデッキとルーフに取り付けられたリアビューカメラを特徴とし、衝突安全性と視認性の向上を図っている。インゲンラート氏は「素晴らしい新しいアイデア」と述べている。

「これは、デザイナーが『派手にしよう、異質なものにしよう』と言って作り上げたものではありません」

「単純な技術革新とテクノロジーの問題なのです。わたし達はいったい何年間、2つの異なる特性(視認性と安全性)を両立させようと戦ってきたのでしょうか」

「一方では、やはりバックミラーの視界を確保したいものです。同時に、後席に座っている人の頭上には(車体骨格の)バーがあるんです。構造的にバーをもっと後ろに持っていきたくても、それはできない。視野角に入ってしまうからです」

ジレンマに陥っているわけです。『後方視界が悪い』といつまでも記事に書き続けるのではなく、このジレンマを解決するにはどうしたらいいのか。どの記事を見ても、後方視界が悪いと書いてありますが、どう解決すればいいのか」

テクノロジーの可能性を探ってみると、映像をスクリーンに投影することで解決できるんですね。すると突然、『このちっぽけな視界が、すごいことになっている』と驚くようになります」

「夜間でも、以前よりはるかに改善されており、素晴らしいイノベーションです。また、新しい美学が生まれるというメリットもあり、クルマを少し型破りに見せることができるようになりました」


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