白い巨塔』(CX系/03~04年)など多くの人気ドラマを生み出し、WOWOWでは「連続ドラマW」の第1弾となった『パンドラ』も手掛けた脚本家・井上由美子。このヒットメーカーが新たなオリジナルストーリーとして書き下ろした話題作、WOWOW『連続ドラマW フィクサー Season1』が放送・配信中だ。

クオリティ面では多方面から高い評価を得ているWOWOWの連続ドラマWだが、前述の『パンドラ』シリーズや『沈まぬ太陽』(16)、近年では2021年に中井貴一が主演した『華麗なる一族』など、青木泰憲プロデューサーの手掛ける作品は特にキャスティングの豪華さにも目を奪われる。本作『フィクサー』も青木が企画・プロデュースする最新作だけに、その点についてはぬかりがない。

主演として謎のフィクサー・設楽拳一を演じるのは唐沢寿明WOWOWドラマ初出演にして初主演となるため青木とは初めての顔合わせとなるが、一方で井上脚本と唐沢といえば『白い巨塔』ほかでその相性は折り紙つき。青木は元々そのCX『白い巨塔』のファンだったため、それがきっかけとなり本作で井上や唐沢にオファーをしたという。

また、本作では唐沢以外にも主役級のキャストが集結。Season1だけでも、藤木直人町田啓太小泉孝太郎、要潤、吉川愛斉藤由貴、駿河太郎、永島敏行、富田靖子、陣内孝則、内田有紀、小林薫、そして西田敏行という多彩な俳優陣が作品を彩っているが、中でも注目したいのが内田有紀と要潤。ふたりは青木による『華麗なる一族』にも出演しており、内田が主人公・万俵大介の愛人でありながら一家を牛耳る高須相子役を、要が大蔵省主計局次長であると同時に大介の娘婿であり腹心となる美馬役を演じ、劇中随一のクセモノふたりとして強烈なインパクトを残していた。それだけに青木プロデュース作品への再登板はさもありなんと思わずにいられないのだが、当然『フィクサー』でも重要な役どころを担っている。

今回、内田が演じるのは報道キャスターの沢村玲子。第1話で起きた現職総理大臣の自動車事故の謎を追うため、なぜか旧知の間柄である設楽と情報交換を行うクセモノな一面を見せるのだが、本日放送・配信の第4話では彼女のある過去が明らかになり、エモーショナルなシーンが展開していく。また、要が今回演じるのは、秘書兼運転手として設楽に付き従う無口な男・丸岡。主人公の懐刀という意味では『華麗なる一族』の美馬役と似た立ち位置ともいえるのだが、寡黙すぎてその素性も、何を考えているのかも分からないため、クセモノ度はさらにパワーアップ。第4話でも、設楽の目となり耳となりながら水面下で情報収集に暗躍する丸岡の姿が描かれる。

「この作品は設楽によって動かされる他の登場人物たちを見るドラマ。設楽が何かするのを見るというより、それによって周りの者たちがどう動くのか――?」。これは唐沢による本作についての言葉だが、設楽という劇薬の存在により、豪華キャストが演じる“周りの者たち”の権力や真実をめぐる駆け引きはさらに熾烈となっていく。唐沢はもちろん、内田や要らの演技にも注目しながら、第4話、そして続く最終話を楽しんでみてはいかがだろうか。

<作品情報>
『連続ドラマW フィクサー Season1』(全5話)

放送:毎週日曜午後10:00【WOWOWプライム】【WOWOW4K】
配信:各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信 [無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】

脚本:井上由美子
企画・プロデュース:青木泰憲
監督:西浦正記
音楽:得田真裕
プロデューサー:村松亜樹 髙田良平 黒沢淳
アシスタントプロデューサー:廣瀬眞子
制作協力:リオネス 製作著作:WOWOW

出演:
唐沢寿明
藤木直人 町田啓太 小泉孝太郎 要潤 吉川愛 斉藤由貴
駿河太郎/西田敏行(特別出演)/永島敏行 富田靖子 陣内孝則 内田有紀 小林薫

『連続ドラマW フィクサー Season1』第4話より