2023年5月14日(日)、舞台『Collar×Malice -柳愛時編-』がこくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて開幕。

Collar×Malice、通称カラマリ新人警察官のヒロイン・星野市香が、隔離された新宿で起こる連続事件「X-day」を5人の男性と共に捜査していくオトメイトの人気乙女ゲーム。2016年にPS Vitaで発売された後、Nintendo Switch、さらにはスマートフォンアプリにも移植され、シリーズ累計売上本数は約8万本を超える。まもなく5月26日(金)よりアニメ『劇場版Collar×Malice -deep cover-』(前編)が全国で公開されることも決まっており、ファンに長らく愛されながら、今再び注目を集めている作品だ。

本記事では、2019年から柳愛時役を務める富田翔さんが主演を務める同作のゲネプロレポートをお届けする。

5月22日0時追記※
記事2ページ目に「ゼロエンド」の写真&レポート、および大千穐楽公演の柳愛時役:富田翔さんのコメントを追記しました。若干のネタバレを含みますので、ご留意ください。

ゲネプロレポート

舞台『Collar×Malice』シリーズは2019年より、『岡崎契編』、『榎本峰雄編&笹塚尊編』、『白石景之編』と展開し、今回の『柳愛時編』が満を持しての完結編となる。といっても、乙女ゲーム原作ということもあり、続き物ということではなく、どの作品も物語の冒頭から改めて描かれ、ヒロイン・星野市香の選択、そして彼女が選んだパートナーによって物語の結末が変わっていくのだ。

今回の市香のパートナー、柳愛時の恋愛ルートは、原作ゲームでも他の4人の攻略キャラクターをクリアした後にしか遊ぶことができない――これまでの伏線が全て回収され、まさに点と点が繋がっていくような物語だ。しかし1本の舞台としても成立するように、シリーズ2作目以降、すべての脚本・演出を手掛けてきた久保田唱氏が丁寧に舞台化している。

柳愛時を演じるのは初演から同役を務め続けた富田翔さん。柳愛時というキャラクター自体が、この作品の大黒柱のような存在であるが、富田さん自身もまた、舞台『カラマリ』の支柱といえる存在である。警察を離れ、独自に「X-day」事件を追う柳だが、これまでのシリーズでは彼自身の目的や警察を離れた理由までは語られてこなかった。今作では、その過去はもちろん、柳が榎本峰雄、笹塚尊、そして白石景之とともに「X-day」事件を独自に捜査する“探偵事務所”をどのような経緯で始めることになったのかなど、これまでの物語のさらに裏側を覗くことができる。

シリーズごとにヒロイン役を務める女優が変わっている、舞台『カラマリ』。完結編となる『柳愛時編』のヒロインという大役を務めるのは、同じオトメイト原作のミュージカル薄桜鬼』に憧れて女優になり、そして夢を叶えて2019年に同作で2.5次元デビューした本西彩希帆さん。誰よりも乙女ゲームのヒロインの重要性を理解する彼女が、強い意志をその瞳に宿し、ヒロイン・星野市香を堂々と演じ切る。

これまでのシリーズで主演を務めてきた榎本峰雄役の飯山裕太さん笹塚尊役の伊崎龍次郎さん白石景之役の松田岳さんも、続投しての出演となった。前述の通り、柳愛時ルートは他の攻略キャラクターのルートを踏まえたストーリーとなっているため、それぞれのバックボーンを匂わせるような演出もある。加えて、柳愛時というこの物語のキーパーソンと、どのタイミングで出会い、互いを信頼するようになっていったのかにもぜひ注目してほしい。とくに初演から共に『舞台カラマリ』を支えた富田さん、松田さんが演じる柳と白石の掛け合いは、お互いの呼吸を分かっているからこそのテンポ感と緊張感があった。

フレッシュなキャストも活躍した。岡崎契役の富本惣昭さんと、吉成秀明役の広井雄士さんだ。富本さん演じる岡崎の柔らかな雰囲気と、広井さん演じる元気溌剌な吉成は、SPという立場でありながらもこの舞台の癒しとなっている。

犯罪組織“アドニス”が起こしている「X-day」事件――その真相に迫るにつれ、星野市香と柳愛時は、改めて“正義”というものと向き合うことになる。「人間にとって1番大事なのは【当たり前の日常】」「人の数だけ正義がある」――原作は2016年に発売されたゲームだが、こういった言葉が、コロナ禍ですっかり変わり果てた日常を過ごす今だからこそ、非常に胸に響いた。

正義の象徴と思われる警察内部でさえ、様々な思惑を持ったキャラクターたちが存在する。市香の直属の上司である望田政信(演・長谷川太郎)、警察学校からの同期・冴木弓弦(演・平井雄基)、捜査一課長の森丘創(演・福地教光)、管理官の峰岸誠司(演・吉村和紘)、鑑識の桜川寿(演・松村芽久未)――何を正しいと思うかは人それぞれであり、また人は誰しもが多面的で、表立って見せている顔がすべてではない。同僚どころか、家族や、友達でさえも、意思疎通が上手くいかないこともある。市香と弟の香月(演・深澤大河)や、香月とその友人の瀬良あきと(演・山中翔太)の関係性、そして御國れい(演・工藤大夢)がこれまで抱えていた秘密からも、そういったもどかしさが感じられ、改めて緻密に作られた人物相関図に感服した。

Collar×Malice』の聖地・新宿にある、こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて、ついにグランドフィナーレを迎える舞台『Collar×Malice。さまざまな選択の末にたどり着く結末を、ぜひ見逃さないでほしい。

文・撮影:通崎千穂(SrotaStage)

オフィシャルフォト&キャストコメント

柳 愛時:富田 翔
ここまでたどり着けたことが奇跡の積み重ねのようなもので、キャスト・スタッフ、作り手の想いが、様々なことを乗り越えながら、舞台『Collar×Malice』シリーズ最後の初日にたどり着けたことがすごく嬉しいと思っています。
今までと変わらず、みんなで強い想いを持って、この超大作を届けられたら良いなと思います。

岡崎 契:富本惣昭
千秋楽公演に向けて、まだまだ成長できる部分もあると思いますので、みんなで高め合いながら、最高のものをお届けできるように一日一日を大切に、全員で頑張って行きたいと思います。応援よろしくお願いいたします。

榎本峰雄:飯山裕太
舞台Collar×Malice』シリーズの最終章である「柳愛時編」初日を迎えられたことを、本当に幸せに思っています。
柳 愛時役の富田 翔さんは舞台シリーズの1作目からずっと見守り、支えてくださいました。今回、そんな富田さんを僕たちがまわりで支える形でお届けできることができて、すごく幸せです。
市香と柳の関係性もすごく濃密に仕上がっていて、『Collar×Malice』の世界観を存分に堪能して頂けると思いますので、全てを信じて劇場にご来場いただきつつ、僕たちも作品の魅力をお届けできるように精一杯頑張っていきたいと思います。

笹塚 尊:伊崎龍次郎
僕は「榎本峰雄編&笹塚尊編」から参加させて頂きましたが、舞台『Collar×Malice』のバトンは第1作目である「岡崎契編」から繋がれてきました。本日、そのゴールである「柳愛時編」がいよいよ開幕となりました。これまで支えてくれた翔さん演じる「柳 愛時」を全力でサポートしたいと思います。きっと『Collar×Malice』ファンも今回はじめて見る方も、驚きが待っていると思いますので、楽しみに劇場にいらしてください。

白石景之:松田 岳
「岡崎契編」から白石景之役として舞台『Collar×Malice』に携わらせて頂いた時から、今日という日を迎えられたらいいなと思っていました。
今までの公演を乗り越えて、シリーズ最終章である「柳愛時編」の開幕を迎えられたのは、たくさんの方のお力や応援がないとできなかったことだと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。
今回主演を務めるおふたりも本当に素敵ですので、おふたりに花を添えられるように前のめりで楽しんでいけたらいいなと思っております。

星野市香役:本西彩希帆
稽古から本番まで沢山の方に支えて頂き、今日という日を迎えることが出来ました。開幕の日を迎えられたことに感謝して、舞台『Collar×Malice』シリーズを繋いできてくださった全ての方の想いも乗せながら、誰一人欠けることなく、大切に丁寧に皆様にお届けできるよう精一杯頑張ります。

オフィシャルフォトギャラリー

ⒸIF・DF/劇場版Collar×Malice製作委員会/舞台『Collar×Malice』製作委員会

舞台『Collar×Malice -柳愛時編-』ゲネプロレポート写真

ゼロエンド追記&オフィシャルフォト

星野市香がたどるかもしれないもう1つのエンディング「ゼロエンド」が今回『柳愛時編』にて「通常エンド」とともに上演された。いわゆる「BADエンド」というやつなのだと思うが、これを「BAD」と捉えるかどうかすらも、どのキャラクターの視点で物語を追うのか、誰に感情移入をするのか、人それぞれの価値観だと感じる。

ゼロエンドの見どころは、ガラッと見た目を変えた星野市香の姿だろう。声のトーンも下がり、慣れ親しんだ人物たちと接している時でさえ、まるで別人のようになってしまった市香だが、時折見え隠れする彼女の芯の部分は変わらない。常にキャラクターに寄り添って舞台に立つ本西彩希帆の演技が光った。

「ゼロエンド」は原作ファンディスクCollar×Malice -Unlimited-』の物語にも踏み込んでいるが、舞台版として印象的だったのは、今作はあくまで『柳愛時編』であり、市香の心にはずっと柳愛時の存在があり続けたことだ。「人間にとって1番大事なのは【当たり前の日常】」――この柳の言葉が、「ゼロエンド」の市香の行動理念になっているように感じた。

衝撃的な結末を迎える「ゼロエンド」だが、枝分かれした未来のうちの1つとして、現地で観る機会がなかった方もぜひ配信、Blu-rayで楽しんでほしい。

【大千穐楽挨拶】富田翔 コメント抜粋

「初演の「岡崎契編」から本当に良い座組に恵まれ千秋楽を迎えることができて、感無量の気持ちです。
「『Collar×Malice』という作品には、みんなで立ち向かわないと受け入れてもらえない。」 そんな強いプレッシャーを抱えながら、演じさせていただきました

初演の時からこの強い気持ちを全員で背負うことができたからこそ、みんなが同じ方向を向いた時の力はこんなに大きいのかと、本気で思うことができました。
このメンバーで良かったと心から思います。素敵な景色をありがとうございました。」

公演情報

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ 提携公演
舞台『Collar×Malice -柳愛時編-』

【劇場】
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(https://www.spacezero.co.jp/
151-0053東京都渋谷区代々木2-12-10こくみん共済coop会館1F

【原作】オトメイトアイディアファクトリー/デザインファクトリー)
Collar×Malicehttps://www.otomate.jp/collar_malice/

【主題歌】
オープニングテーマ「サイレントノイズ」(歌:Plastic Tree、作詞:有村竜太朗、作曲:長谷川正)
エンディングテーマ(通常エンド)「シンクロ」(歌:Plastic Tree、作詞:佐藤ケンケン、作曲:ナカヤマア
キラ
エンディングテーマ(ゼロエンド)「灯火」(歌:Plastic Tree、作詞・作曲:長谷川正)

【脚本・演出】久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)

【キャスト】
柳 愛時:富田 翔
岡崎 契:富本惣昭
榎本峰雄:飯山裕太
笹塚 尊:伊崎龍次郎
白石景之:松田 岳

星野市香:本西彩希帆

吉成秀明:広井雄士
森丘 創:福地教光(バンタムクラスステージ)
峰岸誠司:吉村和紘
桜川 寿:松村芽久未
星野香月:深澤大河
瀬良あきと:山中翔太
御國れい:工藤大夢

望田政信:長谷川太郎(少年社中)
冴木弓弦:平井雄基

次原恭兵
広瀬
白崎誠也
橋本征弥
林本奈々
伊藤よしの

【公演スケジュール】
2023年5月
14日(日)18:00~
15日(月)18:00~
16日(火)18:00~(ゼロエンド)
17日(水)13:00~(ゼロエンド)/18:00~
18日(木)13:00~/18:00~(ゼロエンド)
19日(金)18:00~
20日(土)13:00~/18:00~(ゼロエンド)
21日(日)12:00~(ゼロエンド)/17:00~

【チケット】
9,000円(税込・全席指定)
◆チケット購入
一般販売 https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=71103&
スペース・ゼロ チケットデスク取扱チケット https://www.spacezero.co.jp/

【公演ホームページ】http://collarxmalice5-aijiyanagi.scissors-blitz.jp
【公式Twitter】 https://twitter.com/c_m_stage  ハッシュタグ: #舞台カラマリ
【公式BLOG】 https://ameblo.jp/stage-cm-kei/
【公演PV】 https://youtu.be/fHp29kq_x2c

ⒸIF・DF/劇場版Collar×Malice製作委員会/舞台『Collar×Malice』製作委員会