ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリー若林正恭南海キャンディーズ山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。5月14日放送の第6話で、若林と春日の盟友で、現在オードリーブレーンでもある佐藤満春がモデルの芸人が登場。“リトルトゥース”(オードリーのファン)が沸きまくり、「サトミツ」がTwitterのトレンド入りとなる事態が起こった。 (以下、ネタバレを含みます)

【写真】南海キャンディーズとして始動したしずちゃん(富田望生)

■ナイスミドルに『エンタの神様』合格の連絡

このドラマは、若林と山里の半生を基にした、“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない2人の友情物語でもないし成功物語でもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。

若林(高橋海人)・春日(戸塚純貴)によるお笑いコンビ・ナイスミドルに、ついに「『エンタの神様』合格」の連絡が。春日の部屋に急いでやって来た若林に、春日はペットボトルの水に飴玉を入れて作った“自家製ジュース”の自慢をし始めた。それを遮って「何か連絡無かった?」と尋ねる若林。春日はしばらく考えた後、「あー『エンタ』ね。最高ですよね」と言った。何で会ってすぐ言わないのか、とキレる若林。「若林さんも言わなかったじゃない…」と言う春日に、「オレの顔見て察しろよ!オレが入ってきてスグ“やりましたね、『エンタ』ですよ!”だろっ」と若林は理不尽なキレ方をした。でも嬉しい気持ちは隠せず「収録頑張ろうな」と言い残して部屋を出た。

誰かに伝えたいのだが、友だちの少ない若林は思い当たる人が無く、いつもクレープ店に漫才を観に来ていた智子(中田青渚)を呼び出した。とりとめの無い話を続け、別れ際に「あ、そういえば、今思い出したけど…」と、『エンタ』に受かった話を伝え、彼女は「楽しみにしてる」と喜ぶのだった。

収録を終えた週の土曜日、若林と春日はドキドキしながら『エンタの神様』を観た。しかし、その日はナイスミドルは登場しなかった。オンエアが決まれば事務所に連絡が来ることを彼らは知らなかった。ガッカリしてヘコむ若林に対して、エンディングのはなわのネタを見ながら脳天気に笑っている春日…。その翌週もそのまた翌週も、彼らのネタが放送されることはなかった。

■後の「第3のオードリー」、ついに登場

そんなある日、彼らは、控室の外の階段に座って本を読んでいるメガネ姿の男性(水沢林太郎)を見かけた。その男性は、高校時代に「若林は面白いんだよ!」と級友を殴った生徒に似ていた。若林が止めるのも聞かず、春日は彼に声をかける。「私達って会うの初めてですか?」と尋ねると、男性は「“わくわくテント”の鈴木足秋といいます」と自己紹介した。高校時代の彼ではなかった。帰ろうとした若林に鈴木は「ナイスミドルって何であっち(春日)がツッコミなの?」と尋ねてきた。「何で、って…」と考えた事もないことを質問されて面食らう若林。「オレがネタ考えてるから。オレがボケだから」と答え、その場を去った。

この鈴木足秋、通称“スズタリ”のモデルは、お笑いコンビ“どきどきキャンプ”の佐藤満春、通称“サトミツ”。若林・春日の盟友で、現在では「3人目のオードリー」とも呼ばれる強力なブレーンだ。“リトルトゥース”達は、スグに鈴木=佐藤だと気づき、「サトミツだ」「ついに来た!」とTwitterは沸きまくり。「サトミツ」がいきなりトレンド7位に入る事態となった。

■「私、生きてる!」

また、入院中の先輩芸人・谷(藤井隆)の見舞いに行った若林が帰宅すると、TVが消えていた。祖母(白石加代子)が「TV観てる時、マサくん楽しくなさそうなんだもん」と、押し入れに入れてしまったのだ。「だったら、壁見てた方がいいでしょ?」と言う祖母と、若林はTVの消えた壁を眺めながらお菓子を食べた。何かちょっとだけ幸せな気持ちがした。

数カ月の入院から谷が復帰した。以前と変わらず元気いっぱいのパフォーマンスの谷を見て「たいしたことなくて良かった」と思うが、ショーパブの支配人に「たいしたことない人が何カ月も入院するか?」と言われ、ハッとする。そして、「私、今幸せかもー! 私、生きてる!」と何度も大声で叫ぶ谷を見ながら、若林は涙が流れるのだった。

■「車に轢かれたら、TVに出られるかな…」

『エンタ』の収録をしてもオンエアされない、ショーパブでもウケない、仕事ももちろん増えない…。「生きながら死んでる」若林は、「車に轢かれたら、TVに出られるかな…」と道路で大の字になって寝転がったりするほど、ヤバい精神状態になっていた。転がったまま「オレは何なんだよっ!」と、やり場のない気持ちを吐き出す若林の姿に、視聴者からは「この後ブレイクするってわかってるけど、若林さん早く売れてほしい」「しんどくて胸が絞めつけられる」など、ツラい気持ちにシンクロしたコメントが投稿され、「若林さん」もトレンド入りした。

そして2009年。大ブレイクして、『エンタ』にもコンスタントに出られるようになったオードリーだが、インタビューなど需要は春日ばかり。収録後もひっぱりだこの春日を横目に、「じゃない方」の若林は1人楽屋に戻っていくのだった。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部

※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」

『エンタの神様』のオーディションに合格した若林(高橋海人・左)と春日(戸塚純貴・右)の”ナイスミドル”だったが…/(C)日テレ