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 地球の大気圏上空は静寂に包まれているわけではなさそうだ。そこでは正体不明の低周波音が繰り返し鳴り響いていることがわかったのだ。

 米国サンディア国立研究所の研究チームは、太陽熱を利用した気球に高感度センサーを乗せ、「成層圏」の音について調査した。

 成層圏は嵐や乱気流がなく、民間航空機が飛行することもない比較的穏やかな領域だ。ところが、そこでは謎めいた音が鳴り響いていたのである。

 今のところ、その音源はまったく不明であるという。

【画像】 気球に高感度センサーを付け成層圏の音を調査

 成層圏の音響データは、気球に乗せた超高感度の気圧計によって検出された。

 「マイクロバロメーター」と呼ばれるこのセンサーは、もともと火山を観察するために作られたもので、気圧の微妙な変化だけでなく、音も感知することができる。

 それを上空に運んだ6~7メートルの気球は、ごく普通のビニール素材から作られた研究チームお手製のもの。

 ユニークなのは、気球の内部には黒い炭の粉が塗られているところだ。これが太陽の熱を吸収することで中の空気が温められ、浮力をもつ仕組みになっている。

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 仕組みはシンプルだが、それでも地上から21.4キロ上空、すなわち成層圏(地上から約10~50キロにある大気の層)まで上昇することができる。

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サンディア国立研究所の太陽電池式熱気球は、GPSトラッカーや再利用可能な低周波音センサーなどのセンサーを搭載している / image credit:Sandia National Laboratories

成層圏で記録された繰り返し鳴り響く謎の低周波音

 この調査の結果、成層圏では自然音や人工音のほか、不可思議な低音が繰り返し聞こえてくることが明らかになったのだ。

 その音の周波数は20ヘルツ(Hz)以下で、人間の耳では聞き取れないくらい低い。それが1時間に数回ほど繰り返されていた。

 「いくつかの調査では、謎の低周波信号が1時間に数回ほど検出されました。その発生源はまったく不明です」(サンディア国立研究所 ダニエル・ボウマン氏)

 なお、こうした気球は何百キロも飛び、とんでもないところに着陸することもあるのだとか。今回の研究では、見失わないようGPSで追跡されている。

 案外、こうした科学調査用の気球がUFOと誤認されるケースもあるのかもしれない。

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太陽熱で上昇する気球にセンサーを乗せたところ、正体不明の低周波音を記録 / image credit: Darielle Dexheimer, Sandia National Laboratories

金星の大気も気球で調査できる可能性

 こうした太陽熱を利用した気球は、地球の成層圏の音に聞き耳を立てるだけでなく、 別の惑星を調べるうえでも役立つかもしれない。

 たとえば、アメリカ、ネバダ州の砂漠では、金星の地震や火山活動を観測する気球の試験が行われているそうだ。

 そのロボット制御の気球は、地獄のように熱く高圧な金星の上空で、ぶ厚い大気と硫酸の雲を調べられるよう設計されている。

 今回の謎の低周波音源に関係する研究は、5月8~12日に開催された第184回アメリカ音響学会で発表された。

References:Strange sounds recorded in Earth's atmosphere baffle scientists | Space / Solar-powered balloons detect mysterious soun | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

 
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地球の成層圏で記録された謎の低周波音。繰り返し鳴り響く