俳優の岡田准一が16日、都内にて開催された「第32回日本映画批評家大賞 授賞式」に出席。高倉健さんから中井貴一の元に渡った腕時計を、中井から託されたことを明かした。

【写真】凛々しい表情で受賞トロフィーを掲げる岡田准一

 日本映画批評家大賞は、批評家だけの目で選んだ映画賞として1991年に発足された歴史ある映画賞。この日の授賞式には岡田、中井のほか、板谷由夏、窪田正孝吉岡里帆らも登壇した。

 助演女優賞を受賞した吉岡は「本当に栄誉ある賞をこのような場所でいただいて、大変うれしく思っております」と歓喜。出演した映画『島守の塔』を経て「とにかく平和な国である日本というものをこれからも新しい世代として守っていかなくてはいけないと思います」と感じたことを語った。

 また『ある男』で助演男優賞を受賞した窪田は「今年で35(歳)になるんですけれども、20代の時とは感覚も変わってきた」とし、「現場はすごく好きなんですけれども、現場と私生活って本当に表裏一体だと思うようになってきて。仕事をしすぎても私生活がおろそかになったりするなというのを感じる」とコメント。

 『大河への道』で主演男優賞に輝いた中井は、コメディ芝居について「コメディの方が(シリアスより)数段難しい。泣いていただく点というのは割と皆さん共通しているんですが、笑っていただく点は人それぞれバラバラなので。芝居というのは間だと思っているんですが、悲劇の場合は2秒違っても3秒違っても泣いていただけるんですが、喜劇の場合は0.1秒違うと笑っていただけないという。これくらいの緊張感を常に持ってコメディは望まなければならない」と持論を展開した。

 『ヘルドッグス』で今年新設された特別主演男優賞を受賞した岡田は、アクション俳優としてだけでなく、他キャストへのアクション指導も行っている活躍ぶりを評価されたことを受け「実はちょっと落ち込んでいる時期でして、本当に救われた思いがしました」と吐露。

 さらに、この日居合わせた中井とあいさつした際の出来事を明かし、「『君に渡したいものがある』ということで、この時計をいただきました」と左腕の腕時計を披露した。

 岡田は「この時計は高倉健さんが中井貴一さんに渡した時計だということです。それを中井貴一さんは『今、君の活躍、君のやっていること、君の思いを受けて、これを君に託します』とおっしゃって、僕に渡してくれました」と告白。

 続けて「高倉健さんが志村喬さんから渡されたダイヤも、高倉健さんからの流れで僕の手元にいただいたという縁もあった」、「この特別賞という名前も『千葉真一賞』だったらどうだったのかということで選考理由に上がったとも聞きました。それも、コロナでお亡くなりになるほんの少し前に千葉真一さんから電話をいただいて『一緒になんかやりましょう、頑張ってますね』と一言言っていただけた」と名だたる俳優陣との縁を振り返った。

 そして、中井から託された腕時計をどんな時に着けるかと聞かれた岡田は「自分が映画に必要とされていないのかなと思うことや、最善を尽くそうと思っても上手くいかないとか。皆さんもあると思いますけど、そういう時に着けていけたらいいなと思います」と口にしていた。

 「第32回日本映画批評家大賞」受賞作品・受賞者は以下の通り。

作品賞:『メタモルフォーゼの縁側』(狩山俊輔監督)
主演男優賞:中井貴一/『大河への道』
主演女優賞:板谷由夏/『夜明けまでバス停で』
助演男優賞:窪田正孝/『ある男』
助演女優賞:吉岡里帆/『島守の塔』
監督賞:三宅唱監督/『ケイコ、目を澄ませて』
ドキュメンタリー賞:『夢見る小学校』(オオタヴィン監督)
アニメーション作品賞:『夏へのトンネル、さよならの出口』(田口智久監督)
アニメーション監督賞:湯浅政明監督『犬王』
新人監督賞:竹林亮監督/『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
新人男優賞(南俊子賞):坂東龍汰/『フタリノセカイ
新人女優賞(小森和子賞):伊東蒼/『さがす
脚本賞:吉田恵輔/『神は見返りを求める』
編集賞(浦岡敬一賞):小林譲、竹林亮/『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
ワタシタチのトキワ荘賞:一般財団法人手塚治虫文化財団
特別賞(松永武賞):立川志の輔/『大河への道』
特別主演男優賞:岡田准一/『ヘルドッグス』
ゴールデングローリー賞(水野晴郎賞):風吹ジュン/『裸足で鳴らしてみせろ』
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞):宮本信子/『メタモルフォーゼの縁側』

岡田准一、第32回日本映画批評家大賞 授賞式に登場  クランクイン!