「勝つ、勝つ、勝つ!」

 あの巨人・長嶋茂雄監督がそう連呼して、試合直前にナインを鼓舞したことで知られる「10.8決戦」。世紀の一戦として今も語り継がれる中日VS巨人は1994年10月8日ナゴヤ球場で行われた。最終戦を前に同率首位(69勝60敗)で並んでいた両チームの直接対決は、6-3で巨人に軍配が上がった。

 東海テレビのYouTubeチャンネル〈【東海テレビ公式】ドラHOTpress〉で5月15日、中日OBの山崎武司氏とともに、「当事者」たる山本昌氏がこの試合を振り返ったのだが、

「おそらくだけど、10回やったら8回、9回、勝ってるよ。だってさ、向こう(巨人)の先発ね、槙原(寛己)さんだよ。2日前に神宮球場で秦(真司)さんにサヨナラホームラン打たれた人が先発。こちらは今中(慎二)が中5日か6日で、しかもナゴヤ球場の巨人戦は12連勝中」

 ところが運悪く、その「10回のうちの2回か1回の負け」が訪れてしまったということになる。山本氏が指摘する10月6日ヤクルト戦で、巨人は斎藤雅樹が先発し、槙原をリリーフに起用。その槙原が7回に秦から3ランを浴びるなど、6-2で逆転負けしているのだ。中日に勢いがあったとするのは当然のことかもしれない。

 山本氏はさらに、当時の中日・高木守道監督がボソッと漏らした「後悔の弁」があったと明かす。

「あの時やっぱり、普通にいっちゃいかんかったのかなぁ…」

 有利と感じたがゆえの、慢心が芽生えていたということなのか。ミスターの異様なまでの執念が、劇的な結果を生み出したと言えるかもしれない。

(所ひで/ユーチューブライター)

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