第76回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア」部門に出品されている映画『首』の北野武監督、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童浅野忠信、大森南朋が、現地時間5月23日(火) に行われたフォトコール、レッドカーペットアライバル、そして公式上映に登壇した。

北野監督が30年もの長きにわたって温めていた『首』は、巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた念願の企画。“本能寺の変”が、戦国武将や忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望や裏切り、運命とともに描かれ、キレ味抜群のバイオレンスと笑いをはじめとした北野ワールドのエッセンスが詰まった作品だ。

公式イベントの前日、5月22日(月) にはフランスのカンヌにあるラ・スイート サンドラ&コーで、北野監督を筆頭に6人揃ってメディアの前に登場。そこで北野監督は「映画人にとってカンヌ映画祭はステータス。ここに来られただけでも光栄」と喜びを見せた。西島は「20年前に『Dolls』で、北野監督にベネチア国際映画祭に連れて行って頂いて、今回は初めてのカンヌ映画祭に連れて来て頂いた。映画の祭典として大きなイベントだと改めて感じましたし、大きな経験として学んで帰りたい」と、初めてのカンヌへの期待を語る。

(C)若山和子

加瀬は「最初に来た時の印象と今回は随分違って、より盛り上がりを感じている。北野監督の新作で、皆で来られて嬉しい」と歓喜。中村は「僕は初めてのカンヌで、昨日着いてすぐに大森さんとこの辺を散歩して、夜中までえらい盛り上がりだった」と現地の雰囲気を伝え「これから上映会もあり非常に楽しみ。連れて来て頂いて光栄です」と初のカンヌの雰囲気を噛み締めた。

浅野は「今回監督の作品で来れた事が嬉しいですし、また強烈な作品でご一緒出来て嬉しい」と、前回は大島渚監督の『御法度』で役者として参加した北野と訪れたカンヌを想起し、「同世代の俳優で来られて本当に嬉しい」とコメント。大森は「僕も北野監督の作品で初めて来られて嬉しくて、楽しみでした」と語り、キャスト陣も北野監督と一緒にカンヌの地に降り立つことができ、感無量の様子で喜びを語った。

翌23日(火) 15時頃、同じくカンヌにあるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレに集まった6人。カンヌの青空に映える、真っ白なジャケットをまとった北野監督をはじめ、爽やかなカンヌの様相に相応しい装いで登場。各国の報道陣を前に6人は堂々たる表情で撮影に応じ、時折談笑するなど終始リラックスした様子を見せた。

(C)若山和子

その後、20時頃にレッドカーペットが敷かれた会場に移動。会場前の石畳には数多くの映画スターの手形が残され、その中には黒澤明のものも。そんな歴史ある場所に訪れた6人はフォトコールでのカジュアルな装いとはうって代わり、北野監督を筆頭にタキシードと、中村は紋付袴姿の正装で登場。北野監督は『アウトレイジ』以来13年ぶりのカンヌということもあり、貫禄たっぷりに堂々と歩き、「キタノー!」という熱狂的なファンの歓声に手を振る姿も。そしてカンヌ国際映画祭代表のティエリー・フレモー氏と熱い抱擁を交わし、カンヌの地での再会を喜び合った。

(C)若山和子

そしてドビュッシー劇場で日本実写作品として初の選出となる「カンヌ・プレミア」部門としての公式上映、世界最速上映となるワールドプレミアが開催された。公式上映のチケットは発売されるやいなや即完売。場内には1,068席を埋め尽くす満員の観客が駆けつけ、改めて本作への期待の高さがうかがえる。そして北野監督とキャストたちが姿を現すと、会場は総立ちとなり割れんばかりの拍手で迎え入れた。

約141分にもおよぶ本作の終盤、エンドロールに北野監督の名前がスクリーンに映し出されるやいなや、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、上映が終了するとドビュッシー劇場を埋め尽くした観客による約5分にもおよぶスタンディングオベーションが贈られた。

(C)若山和子

異様な熱気に包まれた会場と観客の熱量に感謝しながら、北野監督は「今度はもっと良い作品作ってまた来ます」と照れくさそうにコメントした。そして『首』を激賞した観客からも「とても面白かった。笑えました。こういう北野武のユーモアはとても好きです。本当に映画、最高でした」、「サンキューソーマッチ、北野武!」といった興奮を隠しきれない様子の熱いコメントも届いた。

その後場所を移し、ヴィラ デ ミニストルで改めて作品が世界に羽ばたいた感想を聞かれた北野監督は「編集やりながらずっと見てたので、寝ちゃうかなと思っていたけど……久々に大画面で見てまぁまぁかなって感じ(笑)」と照れ笑いで答えつつ、「ここに居る役者さんたちには本当によくぞやって頂きました。ありがとうございました」と改めて感謝を述べると一同恐縮する場面も。

西島は「何度か映画祭で上映に立ち会っていますが、本当に素晴らしい上映で感動しています。観客の皆様が集中して笑いながら観て下さって胸がいっぱいです」と、観客から贈られたスタンディングオベーションの感動を振り返った。

加瀬も「映画が始まる前から、監督が物凄い熱気で迎えられているのも本当に素晴らしくて、上映中のリアクションも良くて、上映後の拍手にも熱気がこもっていたので楽しんで頂けたんだと実感しました」と手応えを話した。

中村は「フランスの方々が、役者がアドリブで演じたシーンにも思った以上の笑いが起きて、びっくりと同時に嬉しかったです」と安堵した様子で語ると、大森も「この熱気に凄く感動した。アドリブの所はウケなかったらどうしよう、と心配でしたが、しっかりウケていてホッとしながら見ていました」と安堵の様子でコメント。

浅野は「(鑑賞は)2度目でしたが、新たな発見と楽しめるポイントも沢山あって、途中からはお客さんと一緒に笑って見ていて、なんだか家族と一緒に見ているような気持ちになりました」と改めて本作の魅力を感じながら特別な想いに浸っていた。

最後に北野は「映画はとにかくお客様あっての話。実際カンヌで暖かく受け止めてもらえたので、日本のお客さんも同じように受け止めてくれたら幸い」と、日本のファンに向けてメッセージを残した。

(C)若山和子

また、本作の公開日が11月23日(木・祝) に決定。さらにプロモーション映像が公開された。

映画『首』プロモーション映像

<作品情報>
映画『首』

11月23日(木・祝) 公開

映画『首』ティザービジュアル (C)2023KADOKAWA (C)T.N GON Co.,Ltd.

公式サイト:
https://movies.kadokawa.co.jp/kubi/

(C)2023KADOKAWA (C)T.N GON Co.,Ltd.

映画『首』公式上映後劇場内スタンディングオベーション