荻上直子監督のオリジナル最新作にして、監督自身が歴代最高の脚本と自負する絶望エンタテインメント『波紋』(5月26日公開)。本作から、依子役を務める実力派女優、筒井真理子が多彩な表情を披露している“七変化”動画を独占入手した。
筒井のほかに、光石研、磯村勇斗、木野花、キムラ緑子、柄本明、江口のりこ、平岩紙ら豪華俳優陣を迎えた本作は、現代社会の闇や不安と女性の苦悩を淡々と、ソリッドに描き出した、荻上監督の新境地とも言える作品だ。
専業主婦であった依子は、夫の修(三石)が突然失踪、息子の拓哉(磯村)も独り立ちして家を出て1人となり、心の拠り所をなくしていた。その時すがったのが、新興宗教の緑命会だった。信仰のおかげで心穏やかに過ごす日々が続くように思われたのも束の間、修の突然の帰宅、拓哉が連れて帰ってきた聴覚障害のある彼女、どなり散らすパート先の迷惑な客など、多くの要因が依子を追い込んでいく。今回の独占映像では、弱い存在だった依子による、喜、困、踊、泣、怒、笑、狂気の「顔芸」とも言える、まさしく“七変化”の表情を楽しむことができる。
依子をはじめとした一家は、放射能、介護、新興宗教、障害者差別といった、誰もがどこかで見聞きしたことのある現代社会の問題に次々と翻弄される。しかし、物語は単なる絶望では終わらない。いかにして依子の感情は爆発し、絶望がエンタテインメントへと昇華されていくのか、ぜひ劇場で確かめてみてほしい。
文/編集部
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