シャーロット・ウェルズ監督の初長編作品『aftersun/アフターサン』を彩るクイーン&デヴィッド・ボウイブラーR.E.M.らの楽曲起用秘話が明かされた。

 5月26日から公開される本作は、11歳のソフィが父親と2人きりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る。A24が北米配給権を獲得し、父親役を演じたポール・メスカルは『アカデミー賞』(R)主演男優賞にノミネートされた。ソフィ役は半年にわたるオーディションで800人の中から選ばれた新人フランキー・コリオ。『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが脚本に惚れこみ、プロデューサーに名乗りを上げている。

 脚本を書いていた数年間、イメージした音楽のプレイリストを作り、曲を聴いてはその場所や瞬間にふさわしいと感じてどんどん楽曲が増えていったというウェルズ監督。そのうちの何曲かは実際に劇中で使用されている。「私が初めてカセットやCDを買ったのは1997年1998年頃だったから、サウンドトラックに使う曲はその年代で区切りました。R.E.M.ブラーは父の影響です。ジャンルをミックスし、80年代かそれより古い曲も取り入れて、もう少し“クール”でインディっぽいものにしようとも考えましたが、場所とキャラクターに忠実でありたかったし、その直感のおかげで、ジャンルは様々でもまとまったサウンドトラックに仕上がったと思っています」と自身の自叙伝的な本作ならではの選曲方法を明かした。

 印象的な楽曲の1つであるクイーン&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」については、「あの選曲は本当に予想外でした。編集時にひらめいたんです」と使用予定がなかったことを明かした。また、「フレディ・マーキュリーデヴィッド・ボウイの歌声が素晴らしく、これまでもインスピレーションが欲しい時に聴いていました。だから今回も編集のときに聴いていたんですが、効果は覿面でした」と当時を振り返る。しかし当初は「これだけ静かな作品なので、どうしても曲の歌詞に意識が向いてしまうのでないかと懸念していました」というが、仮で音源を入れて編集を進めているうちに徐々に“この楽曲しかない”という思いが強くなっていったとのことだ。


◎映画情報
『aftersun/アフターサン』
2023年5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:シャーロット・ウェルズ
出演:
ポール・メスカル
フランキー・コリオ
セリア・ロールソン・ホール
上映時間:101分
配給:ハピネットファントム・スタジオ

(C)Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022

クイーン&デヴィッド・ボウイらの楽曲を起用した理由とは、映画『aftersun/アフターサン』秘話