代替テキスト
電気料金の値上げ了承に際し、政府は「極めて厳格な査定を行った」と語った(写真:共同通信

「食料品の値上げラッシュが止まらないなか、6月からは電気料金が値上がりします。食品メーカーや飲食業、レジャー産業などは、コスト上昇を背景にさらなる値上げに踏み切ることも予想されます。家計への負担増は避けられないでしょう」(全国紙経済部記者)

5月16日、大手電力7社(北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄)が経済産業省に申請していた家庭向けなどの規制料金の改定が了承され、6月1日からの値上げが正式に決まった。値上げ幅は各社異なるが、東京電力の場合、標準的な家庭(従量電灯B、30A、月間260 kWh使用)で、月額6千809円だった電気代が7千690円(881円増)となる。ただし、この金額は、現在政府が行っている「激変緩和措置」という電気料金の補助金分を差し引いたもの。秋以降、政府による補助金がなくなったと仮定すると、月額9千510円になる計算だ。

「電気料金の値上げでもっとも心配なのが、夏本番を迎える7〜8月です。エアコンの使用で消費電力量が増大するこの時期の値上げは、家計を直撃する可能性が大いにあります」

こう語るのは、節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。気象庁の予報(6〜8月)によると、「今年の夏の気温は平年並みか高い」との予想。だが、近年は猛暑が毎年続いているだけに、エアコンがフル稼働する家庭も多いだろう。

「電気料金を抑えるためにも、この夏の節電対策はとても重要です。たとえば“クールシェア”といって、家族ができるだけ1つの部屋でエアコン、テレビ、照明などを共有して過ごす時間を長く作る。各部屋でエアコンを使用するとそれだけ消費電力量がかさむため、その時間を極力減らすことが節電につながります」(丸山さん、以下同)

さらに丸山さんは、今回の電気料金の値上げは、省エネ家電に切り替えるタイミングだとも話す。

省エネ家電を購入するための費用はかかりますが、今後さらに電気料金が値上がりする可能性もあります。消費電力量が増える夏前に買い替えるのも、長期的な節電対策になると思います」

夏の家計を脅かす値上げの連鎖は、食料品や電気料金だけではない。今年に入って以降、すでに日用品や娯楽費、交通費、運送費なども軒並み価格が上昇している。少しでも家計負担を減らすために、私たちにできることを丸山さんに聞いた。

「まず、やるべきことは毎月の出費を見直すことから。その1つが、“サブスクリプションサービスの見直し”です。コロナ禍で、おうち時間が増えたことにより、動画配信サービスに加入する人や、通販サイトの定期購入を始めるといった人が増えました。ところが、アフターコロナで、外に出る時間も大幅に増えるなど、生活習慣も変わりつつあります。費用対効果を考えて、サブスクを見直し、必要でないものは解約すべきでしょう。毎月の固定費をカットすることは、値上げ対策の大きなポイントになります」

コロナ禍前のにぎわいが戻ってきた遊園地、水族館、動物園、また映画館といったレジャー施設にも値上げの波が押し寄せている。

「各施設のホームページや割引情報などを紹介しているサイトには、入場料が安くなるお得な情報が載っている場合があります。事前にチェックしてみましょう」

できる対策を怠らず、値上げの夏を乗り切ろう。