英文商号が「Niterra」に変わった!
「日本特殊陶業(にっぽんとくしゅとうぎょう)」、業界では通称「日特(にっとく)」と呼ばれている企業の名を聞いても、何の会社か思い浮かばない人は、けっこう多いかもしれない。
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だが、「NGK」の名はクルマ好きならほとんどの人が知っているはずだ。そう、スパークプラグでおなじみのメーカーだ。
だが、日本特殊陶業は2023年4月1日から、英文商号をそれまでの「NGK SPARK PLUG CO.,LTD」から、「Niterra CO.,LTD」に変更した。これはつまり、事業内容が大きく変革していることの表れといえるだろう。
同社は創業以来、スパークプラグをはじめとする内燃機関関連を中心に、事業を拡大してきた。
一方で、2020年に策定した「2030 長期経営計画 日特BX」で示しているのだが、今後は、環境/エネルギー、モビリティ、医療、情報通信の4つのドメインにおいて展開を進め、事業ポートフォリオ転換を実現することを目指していくという。
それに伴い、スパークプラグのブランドを使用した英文の商号を変更し、今後の事業展開に備えていくということだ。
ちなみに、「Niterra」は「ニテラ」と読み、ラテン語で「輝く」の意味を持つ「niteo」と、「地球」を表す「terra」を組み合わせた造語。持続可能な社会への貢献はもちろんのこと、“地球環境全体を輝かせる”企業となる、という同社グループの想いや姿勢を表している。
EV時代へ プラグ需要はどうなる?
さて、自動車関連事業では世界的な景気低迷の影響を受けつつも、半導体不足の解消に伴う販売増加やセラミック事業の規模拡大により、2023年3月通期で日本特殊陶業では前年同期比で増収となった。
プラグはもちろん、センサーやセラミックなどの事業も順調に推移している。
販売数量で見ても、EVを含む自動車の生産台数は前年比で8%ほど増加しているのに対し、新車組み付け用プラグや排ガスセンサーは一部の市場を除いて市場成長波の増加を達成している。この傾向は、今後も続きそうだ。
また、ヨーロッパではEV化が一定の加速感となり、ICE(内燃機関)搭載車のピークアウトは2025年ごろと想定されている。一方、中国では政策的なEV化の進行を主要因にICE搭載車のピークは過ぎたと思われているが、ロックダウンや半導体不足からの回復により、2024年3月期においては前年比での増加を計画している。
また、補修用プラグにおいても、自動車保有台数の将来見通しは中国も含めて大きな変更はないと思われ、まだまだ成長市場であると思われる。
つまり、世界的にEV化は進んでいっても、まだまだICE用のプラグの販売は新車用・補修用を含めて漸増していくということだ。
機械式! 後付け「急発進抑制装置」登場
とはいえ、プラグにおいては水素エンジンやeフューエルエンジンに向けた製品の開発・製造を進めるほか、自動車整備工場向けコネクテッド予防整備サービス「ドクターリンク」などを日本市場では実用化しており、開催中の「人とくるまのテクノロジー展(パシフィコ横浜)」で展示品を見ることができた。
新しい製品では、ペダル踏み間違い時の急発進抑制装置「アイアクセル」が来場者の関心を引いている。
「後付け」タイプ、つまりアフターパーツでありながら、スロットルペダルを約10kg以上の力で踏み込んだ際に作動し、ペダルを初期の位置に戻すまでアクセルをキャンセル、踏み続けても加速しない装置だ。
これをアクセル信号を感知する電子式ではなく、独自の「機械式」の機構で実現している。多くの急発進抑制装置とは異なり、ブレーキが緩やかに掛かるため、最終的にクルマが停止するのも新しい(開発は英田エンジニアリング)。
次世代に向けた技術としては、リチウムイオンキャパシタやソーラー充電ユニット、固体電解質を用いた水の電気分解装置など、電動化に対応したさまざまな技術開発も進められている。
そもそも日本特殊陶業の「陶業」とは、陶磁器(セラミックス)を製造する工業のことだ。スパークプラグのボディはセラミックス製であることに由来しているのだが、クルマの電動化が進みスパークプラグの需要が減っていったとしても、セラミックスの特性を活かした新たな製品が次世代のクルマには用いられていく。
「Niterra」の名が示すように、日本特殊陶業はこれからも持続可能な社会へ貢献しながら、地球環境全体を輝かせる企業となっていくことは間違いなさそうだ。
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