
サラリーマンが収入を増やす正攻法は、出世して昇給を目指すこと。しかし、出世に対してネガティブで「一生、平社員でもいい」という人は珍しくはありません。順当に出世をする人と、出生を諦めた人。そこにはどれほどの差が生じるのでしょうか。みていきましょう。
出世には興味ない…大企業勤務の大卒サラリーマンの言い分
4月に社会人として歩みだした新入社員。ちまたではそろそろ「夏のボーナス」についてチラホラと話が出てきますが、「自分たちはいつからもらえるのだろう」と疑問に思いながらも口に出せない、という人も多いのではないでしょうか。
ボーナス支給の条件として、通常、査定期間があり、従業員に対する評価に応じてボーナスが決定します。民間企業の場合、初年度のボーナスを規定通り貰えることはほとんどないと考えておいたほうがいいでしょう。査定期間が足りなかったり、会社に対する貢献度が低かったりというのが大きな理由。試用期間は3ヵ月、本採用は7月からという企業が多いですから、支給されても“ほんのわずか”と思っておいたほうがいいでしょう。一方で公務員の場合は、初年度の夏からボーナスが支給されます。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大企業(従業員1,000人以上)に勤務するサラリーマン(平均年齢42.3歳)の平均給与は、月40.5万円、賞与も含めた年収で705.4万円。平均にして、月収の約4倍の賞与を手にしています。
大企業に勤務する新規学卒者(大学)の給与は、男性で月23.4万円。年齢を重ねるごとに給与はあがり、50代前半で月収57.2万円、年収988.1 万円とピークに。年収にして1,000万円突破まであと少し、というところまで給与はアップします。
投資、副業、転職など、サラリーマンが収入を増やす方法は色々とありますが、まず正攻法といえるのが、社内での評価を高め、昇進を目指すというもの。しかし、
――出世になんて興味ないね
という、ちょっとすかした態度の人は、周囲にも結構いるのではないでしょうか。
・責任が増える
・仕事量が増える
・管理職に向いてない
・人間関係が面倒
・やりたい仕事ができなくなる
・残業代がでない
・部下の指導がイヤ
さまざまな理由があるでしょうが、「責任や仕事量と給与がつりあわない」というのが本音でしょう。しかし、本当に出世を諦め、一生平社員だった場合、どれほどの給与差となるのでしょうか。
前出の調査によると、大企業の場合、係長級は平均44.6歳、課長級は48.5歳、部長級は52.8歳。月収は係長昇進時に39.8万円から43.5万円に、課長昇進時に43.6万円から60.7万円に、部長昇進時に63.6万円から74.8万円に昇給します。
残念…平社員のまま終わる会社員の生涯年収と年金額
一方、平社員(役職なし)の場合は、年齢と共に給与は上がっていくものの、月収のピークは50代後半で45.7万円。年収は800万円に届かずで会社員人生は終了します。
【大卒サラリーマン「役職なし」の給与の推移】
20~24歳:24.1万円/369.0 万円
25~29歳:28.4万円/514.6 万円
30~34歳:33.3万円/601.0 万円
35~39歳:37.8万円/682.1 万円
40~44歳:39.8万円/703.8 万円
45~49歳:42.3万円/735.7 万円
50~54歳:45.5万円/794.3 万円
55~59歳:45.7万円/783.8 万円
平均的な年齢で係長、課長、部長へと昇進した場合と、平社員で終わったサラリーマン、生涯年収で比較すると、前者は3億0,448万円、後者は2億4,813万円。その差「家、1軒分」といったところ。
さらに65歳からもらえる年金額を考えてみましょう。
厚生年金の基本となる平均標準報酬額は、順調に出世したサラリーマンは65万円、平社員のままのサラリーマンは56万円。厚生年金部分は前者で13.1万円、国民年金と合わせると19.7万円ほど。後者の厚生年金部分は11.3万円、国民年金と合わせると17.9万円ほどとなります。年金、月に2万円ほどの差は、収入を得る手段が限られる年金世代には大きなもの。男性の平均年齢から考えると、生涯、450万円ほどの年金差、ということになります。
平均値や単純計算によるものなので、実際とは異なるかもしれませんが、「頑張って出世を果たした人たち」と「出世を諦めた人たち」の間には明確な給与差があり、生涯、年金という形でも結構な格差が生じます。「責任や仕事量と給与がつりあわない」とスカしてみても、周囲からは負け惜しみにしか聞こえてきません。

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