みなさんこんにちは野球大好き山本萩子です。

先日、ヤクルトの試合を見ていたら、死球をきっかけにあわや大乱闘というシーンを目の当たりにしました。昔は両軍入り乱れて、というシーンをよく見かけましたが、最近はなかなか目にしませんね。ということで本日のテーマは「退場」です。なぜこのタイミングでこの話題を選んでしまったの私......。

先日、アスレチックス藤浪晋太郎投手が投げたストレートがすっぽぬけて、右打者の背中にいってしまったことがありました。敵地のファンは一斉にブーイング。打者に球を当てる死球は怪我の恐れもあるわけですから、誰でもナーバスになります。

このケースは違いましたたが、「危険球」を投げた投手は一発で退場になります。危険球の定義は、「打者の選手生命に影響を与える、と審判員が判断したもの」。明らかに打者を狙った場合は、打者に投球が当たったか否か関係なく退場になりますが、故意ではなくても、頭部付近にいった球が危険球と判断された場合も、やはり投手は退場となります。

死球などが相次ぎ、両チームに不穏な空気が流れている試合は「警告試合」として、その試合で死球を与えた投手はすぐに退場となります。

メジャーでは選手の背中に当てたり、あるいは背中の背後を通るボールは悪質とされています。そんな球が投じられた瞬間、ゴング音よろしく、乱闘が始まることも。

ただ、死球のほとんどは、相手に当てたくて投げたわけではないと思います。インハイを攻めることは強打者の攻略に欠かせませんから、思い切り投げ込む。その結果、死球になってしまったり、最悪のケースで退場になったり......投手が退場になり、試合が壊れてしまうこともあります。

2015年のことですが、元ヤクルト風張蓮投手は公式戦デビューの2軍戦で11球目が危険球となり退場。そのひと月後の1軍の初登板でも、2人目の打者に頭部への死球を与えて退場という不名誉な記録を残しました。私たちの記憶には強く残ったのですが、危険球は、打者はもちろん投手にとっても痛いのです。

審判の判定に対する抗議も、退場の対象になりやすいです。

国内外を問わずよくあるのが、ボールだと思って見送った球をストライクと判定されたことに不服を示して、バットの先で地面にボールの軌跡を描く行為。これは選球眼に自信のある選手がやりがちで、実際にイチロー選手もこれをやって退場になったことがあります。ちなみに、この連載の準レギュラーとなりつつあるヤクルトの濵田太貴選手も、2軍の試合で同じ行為をして退場になっています。

エンゼルス大谷翔平選手も、審判に対して笑顔で抗議しているイメージがあるのですが、退場にならないのはもはや彼の人柄でしょうか。汚い言葉を使わないから、言われたほうも嫌な気持ちにならないのかもしれません。審判だって人間ですから、大谷選手はそれをわかってやっているのではないかと。

いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
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暴言や暴力も退場になります。

5月20日ヤクルトDeNA戦では、死球をきっかけに両軍が入り乱れて、あわや乱闘かという騒ぎが起こりました。最近は減りましたが、昔は乱闘が起こるとほんの少しだけワクワクしたのが正直なところ。乱闘が起きた時に、それに参加しないと罰金というルールを設けていたチームもあったようですが、チームメイトはもちろん、大勢の選手で安全を守るという意味合いがあったんだと思います。

手を出した当事者はもちろん、乱闘に積極的に参加した選手はその場で退場が告げられます。

2017年のヤクルト対阪神の試合では、畠山和洋選手への死球をきっかけに乱闘が始まりました。バレンティン選手が矢野燿大コーチを突き飛ばし、それに応戦したことで両者とも退場処分に。バレンティン選手に20万円、矢野コーチには15万円の罰金が課されました。最初に手を出すと重たくなるという、わかりやすい処分ということですが、そういえば、あの時マウンドに立っていたのも藤浪投手でしたね......。

と、ネガティブな話題が続きましたが、最後に素敵な退場のお話も。

退場劇について調べていた担当さんが、ある本に載っていたと教えてくれたのが、中日の監督を務めていた落合博満さんのエピソードでした。

ある試合で相手チームのバッターからホームランが飛び出したのですが、その直後に球場で流れたリプレーだとファールではないかと。すると落合監督は、審判にこう言ったそうです。

「あの映像を見せられたら、監督の立場として出てこないわけにはいかない。判定を覆すわけにもいかないだろ。オレは退場になるから」

そして、退場のルールで定められている5分以上の抗議を行ない、退場宣告を受けたのでした。

メジャーでも、選手を鼓舞するために、わざと退場になる監督もいます。誰かが危険に晒されたり、あるいは不本意な判定についてはきっちりと文句を言う。戦う姿勢を示しているのです。

退場には必ずそこに至る物語があります。翌日の新聞やニュースでしっかりと背景を理解することが大事ですし、それを知ると次の試合はもっと面白くなるかもしれません。

ということで、みなさん最後まで読んでいただきありがとうございました。次はもう少し今の私と重なるテーマ...例えば「1年目」とかでお話しようかな。それではまた!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

【写真】幸せいっぱいな笑顔がたくさん 山本キャスターフォトギャラリー

野球の「退場」について語った山本キャスター