SNSで様々な情報を発信できる今だからこそ野次については再考したいところだ(写真はイメージ)(C)Getty Images

 プロ野球観戦において野次は一種の文化であり、この行為に疑問を持つ人は少ない。しかし、選手も人間であり、野次に心を痛めるケースは多く、考え直さなければいけないものでもある。

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 現役時代に巨人で活躍した岡崎郁のYouTubeチャンネル『アスリートアカデミア』に、現役時代に気迫あふれるヘッドスライディングでファンを魅了した元阪神の亀山努氏が出演し、野次のマナーについて語った。亀山氏は「全く気にしないような素振りをみんなしてますが、全く気にしないやつなんて1人もいない」と現役時代を振り返る。態度には見せないまでも、精神的な苦痛を感じている選手は多かったという。そのため、「本当にダメージのある言葉(もある)。言葉をもう少し選びながら楽しんでいただけると良い」と野次ることは問題ないが、言葉選びに対する配慮をお願いする。

 また、自身のSNSに「あなたの家族全員が自動車事故で死ぬだろう」「恥知らずの黒い動物」など、許しがたいメッセージを送られたことを公表したDeNAエドウィン・エスコバーの話題になり、「家族に対してとか、ああいうのはよろしくない」「エスコバーのプレーに対して言えばいいんですよ。やっぱり家族とか、グラウンド外のところまで及ぶとね」とコメント。本人の周囲の人を巻き込むような発言、差別的な発言はナンセンスと話す。

 そして、「言葉を選んで頂けると、選手も『叱咤激励に応えなきゃいけない』と思いますし、選手とファンの距離も近くなる」とファンに対して礼節を持った態度を求めた。

 SNSの普及に伴い、選手は四六時中、野次もとい誹謗中傷に晒されるようになり、エスコバーをはじめ、苦しんでいる選手は少なくない。誰でも簡単に、特定されることなく、野次れる時代だからこそ、選手へのリスペクト、そしてマナーを守るべきだろう。

 マナーを守るべきは選手や首脳陣に対してだけではない。24日の阪神対ヤクルトでは「あと1人コール」をめぐり、両チームのファンがSNSで攻撃し合ったり煽り合ったりといった事態が起きた。推しチームへの応援がエキサイトするあまり、マナーへの意識を忘れてしまうファンは一定数いる。興奮するのは仕方ないが、選手も1人の人間であり、相手チームのファンも1人の人間であることを忘れず、プロ野球を楽しむ空気感が広がってほしい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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