タンザニア北部に位置する世界自然遺産「ンゴロンゴロ保全地域」にある「ンゴロンゴロクレーター」は、火山のカルデラの中に多様な野生動物が生息し、絶好のサファリスポットとして人気が高い。そんな自然保護区域内で最近、母ライオンと弱った赤ちゃんの姿が捉えられ注目されている。アフリカの野生動物を特集するオンラインサイト『Latest Sightings』などが伝えた。

クラウス・ボーマーさん(Klauss Bohmer)は最近、タンザニア北部「ンゴロンゴロクレーター」で午後のサファリに参加し、ライオンの母子の姿を目にしてカメラを回した。

妊娠したメスライオンは通常、群れを離れて出産し、赤ちゃんが歩けるようになるまでの数週間は単独で暮らすため、親子の周りに群れの姿は見当たらない。

動画では、険しい顔の母ライオンが赤ちゃんの背中をくわえており、ゆっくりと歩を進めていくのが見て取れる。一方で赤ちゃんは、脚をだらんと垂らして元気がなく、相当弱っている様子だ。

すると母ライオンは突然、赤ちゃんを地面に落として立ち尽くし、その後少しだけ体を動かした我が子を愛おしそうに舐め始めた。しかし赤ちゃんが反応しないことに気付いたのか、その場に腰を下ろすと、我が子の顔を舐めるようにして歯を食い込ませた。

動画にはライオンの歯の音なのか、「カチ、カチ」という音が録音されており、ツアー客の一人がショック状態で「食べているぞ」と呟いている。

クラウスさんは当時の車内の様子について、「私たちは最初、母ライオンが赤ちゃんをくわえて歩き始めるのかと思った。だからまさかあれが、赤ちゃんの最期の姿になるとは思いもしなかった」と語ると、このように続けた。

「母ライオンが赤ちゃんを食べていることに気付いた時は、驚き、言葉を失った。でも私たちにできたのは、その様子を見ていることだけだった。」

「そして赤ちゃんを食べた母ライオンは立ち上がり、まるで何事もなかったかのように歩き始めた。地面には死骸が残ったままで、車内は異様な静けさに包まれていた。」

なお『Latest Sightings』は「ライオンは飢餓やストレスなどにより共食いをすることがある」と指摘するも、この動画には次のようなコメントが寄せられた。

「赤ちゃんはすでにかなり弱り、死にかけていたようだ。赤ちゃんをくわえる母の表情がとても悲しそうだもの。母は我が子を殺さなければならないことを分かっていたのよ。」
「母ライオンはきっと、赤ちゃんを舐めて目を覚まさせようとしたのかも。ただもう長くはないと悟ったのでしょうね。厳しい自然の中では、たとえそれが我が子であったとしても、無駄にせずに食べるのよ。」
「残酷だけど、これが自然。弱っている個体は淘汰されるということ。そうでないと、自分や他の子だって危険に晒されるから。」
「まだ若い母ライオンなのでは? もしかしたら、赤ちゃんを死に追いやったのは母ライオンなのかもしれないね。」
「母ライオンが子を殺すだろうか? もし病気だったら置き去りにするのでは?」
「母猫だって、弱っている子を食べるよ。」
「母ライオンは飢えているようには見えない。子を食べたのは生存できないと悟ったから。他の動物に殺されるより先に、自ら手を下したということ。犬だって同じだよ。」
「動画に赤い矢印が表示されたでしょう。あの時、赤ちゃんは最期の呼吸をしたのよ。つまり母ライオンが食べた赤ちゃんは、すでに死んでいたの。」
「悲劇だ。」
「直視することができなかった。」

画像は『Latest Sightings 2023年5月23日付「Lioness Bites Her Cub’s Head Off」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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