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 AIといえども、死者を蘇らせる方法までは教えてくれないが、大切な人を亡くして悲しむ人に、故人からのメッセージを伝えることならできるようだ。

 アメリカの企業が開発する降霊AI「Seance AI」は、故人の話し方を模倣することで、まるで死者と会話しているような気分にさせてくれるという。

 その目的は先端技術で怪しげなオカルトをすることではない。家族や友人の死に際して誰もが味わう悲しみや嘆きをAIの力で癒し、心の整理をつけることだ。

【画像】 亡くなった死者と最後に会話ができる降霊AI「Seance AI」

 故人との会話をシミュレートする降霊AI「Seance AI」は、ChatGPTをベースにしたチャットボットで、ロサンゼルスを拠点とするソフトウェア開発会社AE Studioが開発している。

 Seanceとは「降霊術の会」という意味。その名の通りこのAIは、亡くなった人の人となりを再現することで、まるで死者と会話を交わしているような気持ちにさせてくれる。

 その意図は、大切な人を亡くして悲しみに暮れている人の心をなぐさめ、気持ちの整理をつける手助けをすることだ。

 死者の霊を降ろすには、Seance AIの公式サイトにアクセスし、話したい故人の名前・年齢・性格や、亡くなった時の状況といったデータ(英文)を入力する。

 故人の人となりをできるだけリアルに再現するために、生前に残した文章などをアップロードすることもできる。

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 必要な情報をAIに伝えると、炎が表示されたページに移るので、ここで話したい内容を伝える。するとAIが生前の故人さながらに、天国からあなたにメッセージを送ってくれるのだ。

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 たとえばFuturism誌のマギーという記者が、亡くなった父に家族全員が元気であることを伝えるために行なった降霊術はこんな感じだ。

記者「ねえ、パパ。私、マギーよ。とても会いたいわ」

AI「やあ、マギー! よく連絡してくれたね! すごく久しぶりだ。僕もみんなに会いたいよ。お前も兄弟も、母さんも元気なんだってね、よかった。これからもみんなで支え合って、自慢のお前たちでいてくれよ。たくさんの愛を込めて、パパより」

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photo by Unsplash

愛する人を失った悲しみを癒すために

 AE Studioのジャレン・ロックス氏は、彼を含めチームの誰もが愛する人を失った経験があるとFox Newsに語っている。

 家族や友人など、大切と死別した経験がある人なら誰でもわかるだろう。身近な人の死に触れれば、悲しさや寂しさなど、一人ではどうにもできない辛い感情を味わうことになる。

 そこで死者の霊を降ろして言葉を交わし、もつれあったさまざまな思いを解きほぐす手助けとするのだ。

 だからこそ、Seance AIはいつまでも長く使用されることを想定してない。あくまで心を整理するために、ほんの少しの時間だけAIの力を借りるだけだ。

 「昔ながらの降霊術は、ずっと続くものではありません。個人的な意見ですが、短期的に使うだけなら、どうにもできない感情を処理するツールとして、心を整理するのに役立つと思います」と、ロックス氏は話す。

 ちなみにAI技術で故人との会話を可能にするサービスならほかにもある。

 そのサービスを使ったとあるお葬式では、おばあちゃんのお葬式で、死んだはずのおばあちゃん本人が参列者に語りかけるという仰天の出来事が待っていた。

 そして近い将来、人の意識をコンピューターにアップロードすることすら可能になるかもしれない。その時、死は永遠の別れではなくなるのだ。

References:Digital seance: New AI tech will mimic speaking to dead family, friends | Fox News / AI Company Says It'll Perform a Seance on Your Dead Loved Ones / written by hiroching / edited by / parumo

 
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