「どこかから風で飛んできたヤツなんだけど世知辛い…」。カエルの鳴き声の「騒音対策」を求める張り紙を添付したツイートが2万回以上リツイートされて、話題となっています。

ツイートに添付された画像には、以下のように書かれた張り紙がうつっていました。

田んぼの持ち主様へ
カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。
鳴き声が煩くて眠ることができず非常に苦痛です。
騒音対策のご対応お願いします。
近隣住民より」

田んぼの多い地域に育った人にとっては、カエルの鳴き声は馴染み深いものでしょう。ツイッターでは「普通に夜寝れます」「田舎を感じられてめちゃいいっすよ」「気になった試しがない」など、驚く声が多数寄せられています。

●2020年には裁判に発展したケースも

過去にはカエルの鳴き声をめぐり、裁判にまで発展したこともあります。

過去の裁判例とそれを報じた読売新聞(2021年4月24日)によると、裁判を起こしたのは東京都内の男性。自宅の隣地の池にいるカエルの鳴き声が「受忍限度(常識的に考えて我慢できる程度)を超える」として、隣地の居住者に慰謝料75万円の支払いと、すべてのカエルの駆除を求めました(2021年4月23日東京地裁判決)。

男性は、2020年5月中旬以降、カエルが毎日のように朝7時前から鳴き、日没を過ぎると多数で鳴き始め、日付が変わる深夜まで続いていると指摘。「鳴く間隔は、数分から10分くらいで、鳴く時間は5〜10秒、15秒、30秒などであり、最長は4分30秒のこともあった」と主張しました。

さらに、鳴き声の大きさを測定したところ、東京都の騒音に係る環境基準を超える66デシベルだったといいます。

一方、訴えられた被告側は「庭に池があり、体長3センチ前後の小型のアマガエルが6〜7匹生息していたことは認めるが、外部から持ち込んだ事実はない。アマガエルの鳴き声は自然音であって、騒音にあたらない」と反論していました。

●裁判所の判断は?

裁判所は、仮に原告の主張するような大きな音が発生していたとしても、カエルの鳴き声は「自然音の一つ」と指摘。

被告があえて大きな音を発生させていたなどの事情がない限り、騒音にはあたらず、社会通念上受忍すべき限度を超えるようなものとはならないと示したうえで、原告の請求を棄却しました。

男性が「カエルの騒音」被害を訴えていたのは、ちょうど2020年5月〜10月のコロナ禍でした。普段よりも家にいる時間が増えたことで、余計に気になって仕方がなかったのかもしれません。

カエルの鳴き声は「騒音」? ツイートが話題…2020年には裁判に発展したケースも