こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。

【図解】cis氏の生い立ちや、ジェイコム株誤発注事件で6億稼いだcis氏の行動

学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。

その経験から、ここでは特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。本日は、「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」(KADOKAWA)という、カリスマ個人投資家・cis氏の本をご紹介します。

cis氏は、個人投資家でありながら、230億円という異次元な資産家でもあります。そのため、彼の思考を丸裸にする同書は、非常に興味深いものになっています。

cis氏自身は、本を出すことには全く興味がなく、印税なども求めていません。しかし、彼が好きな麻雀ライターの福地誠氏に声をかけられ、「福地さんに編集してもらえるなら」ということで出版することにしたそうです。

■自分に合った投資スタイルとの出会い

元々、cis氏はゲーマーであり、ギャンブラーでもありました。投資では、企業の本質的価値や長期的な展望などには一切関心がなく、投資を確率のゲームのように捉え、短期トレードで大成功をおさめた方です。

彼はゲームやギャンブルから投資に必要なスキルを磨いたといいます。例えば、集中力や決断力、継続力といった、普通の仕事でも求められる能力だけでなく、キーボード入力の速さや物事を分析して予測する力などです。

cis氏は、ゲームやギャンブルが投資家になった原点であることを語っており「親がテレビゲームをやらせてくれないような家に育っていたら、投資家になっていなかったと思う」とさえ述べています。

cis氏の投資哲学は、短期トレードのイメージに当てはまるような考え方を持っているものの、意外なことに、元々は長期投資をしていたのです。

しかし、長期投資では全然うまくいっていなかったんですよね。もともと持っていた資金をほとんど失ってしまっていて、もう少し続けてもダメだったら、投資を辞めようと思っていたほどでした。

しかし、2000年の2ちゃんねるオフ会で投資家の方々と会い、それが投資家としてのターニングポイントになりました。

勝っている人たちほど短期的な視点でチャートや指数など、今、目の前にある優位性に注目していることに気づいたのです。これにより、長期スタイルから短期投資スタイルに変え、それからは連戦連勝し、その後順調に億万長者になることができました。

中には、もともと短期トレードをやっていたけど成功せず、そこから長期投資に転向して成功したという人もよく聞きますね。ですが、cisさんの場合は逆で、長期投資から短期投資に転向して成功しました。少し珍しいケースにも思えたのですが、cis氏の場合は、その生い立ちを振り返ると、短期トレードの方が合っていたのは必然だったのかもしれません。

彼は小学校時代、くじ付きのお菓子の「当たりの法則」を見つけ、それを友達に売っていたと言います。

中学校時代にはパチンコの攻略法を見つけ、当時はまだネットがあまり普及していなかったにもかかわらず、ネットを駆使して情報を集めて、稼いでいました。

高校時代には、仲間を集めて当たる台を見つけ、仲間に給料を払って打たせることで稼いでいました。チームで行っていたため、彼は元締めのような存在であったといいます。

そして大学時代には、20歳までにパチンコで2000万円を稼ぎました。そのうちの1000万円を元手に、彼は投資を始めたのですが、長期投資をしても全く勝てず、社会人になってからも毎月の給料を含め、合計で1000万円以上を突っ込んでいましたが、時には残高を100万円まで減らしたこともあるといいます。

その後、2ちゃんねるオフ会で出会い、彼の人生は変わりました。このような生い立ちを聞くと、元々ゲーム性を好む性格のようですので、短期トレードが肌に合っていたのは、必然だったように思えます。

自分の性格に合う投資スタイルを見つける重要性が感じられますね。

■明日の株価も分からないのに長期の株価など分からない

同書で最も重要な投資の法則を一つ挙げるとしたら、「基本的には順張りをする」ということです。彼が言うには、「明日の株価もわからないのに、将来の株価なんてわかるわけないじゃないか」ということなんですよね。

シンプルに言うと、上がっている株はもっと上がる。下がっている株はもっと下がる。このような考え方です。

その反対は逆張りで、上がっているときに「もうそろそろ下がるかな」と考えて売り、下がっているときに「そろそろ上がるかな」と考えて買うことです。

日本の個人投資家は統計的にも逆張りが好きな傾向があります。一方、海外投資家はセオリー通りの順張りをするという傾向が強いです。

なぜ日本人個人投資家は逆張りをしがちなのかというと、「平均回帰する」と思ってしまうからだと言われています。

株価の動きはランダムウォークと言われますが、それはサイコロを振るのと同じで、要するに確率のゲームなわけです。そう考えると、何回も試行回数を重ねればどの目も平均的に出てきます。

しかし、現実の株価というのは我々が思っているほど平均回帰するわけではないと、cis氏は語ります。よって、平均回帰せずに上がっているものはさらに上がる。だから、順張りをしろということなのです。

割安株を買う逆張り投資で彼がうまくいかなかったのは、「割安」という判断が主観に過ぎなかったからと言います。

財務分析をした上で割安を判断していても、それは誰でも計算すれば分かることで、その上で株価は形成されています。「株価は価値を反映していないと考えるよりも、株価こそが答えであり、世の中の総意として適正だと考えた方が良い」と語ります。

また、「たしかに明らかなバブルはあるけれども、適正な価格なんて本質的には存在しない」とも言っており、長期投資の代表とも言えるウォーレン・バフェットのような投資法とは対照的です。

彼が「盲目の資金」と呼ぶ順張りのテクニックがあります。それは年金やファンドなど、大口投資家が大量に投資している銘柄に乗っかることで儲ける方法です。

さまざまな考え方やテクニックが掲載されていますが、「順張り投資」は投資哲学の中心にある考え方なのではないでしょうか。

■わずか20秒での決断で6億円

ジェイコム株誤発注事件」は、2005年12月8日みずほ証券の担当者が新規上場したジェイコムの株を「61万円1株売り」と注文するつもりで「1円61万株売り」と誤入力したことで市場が大混乱した事件です。

これにより大儲けしたB・N・F氏も「ジェイコム男」として有名ですが、cis氏もこの事件で6億円もの利益を得ています。cis氏は2ちゃんねるの掲示板でリアルタイムにこの事件を認識しました。

まず行ったのが、これが誤発注なのかどうかを確かめること。当時、証券会社の端末では、発行株式数以上の数値を入力しても売りに出せてしまうということは、cis氏は知っていました。

ジェイコムのIPOに関するPDFを開くと、61万株というのは発行株式数の約40倍であると分かり、誤発注だと確信します。ここまでが約20秒。そこから、パソコンのウィンドウを次々に開き、500株ずつ購入。成り行きではなく指値で買い漁り、合計3300株を購入したと言います。

このようなスピード感は、日頃からの「仮説」によるものと思われます。

「こんなことが起きたら、こんな展開で儲かる」のような仮説を常に考えており、それがたまたま起こった時には「はい、きた」と冷静に行動ができるそうです。それも、実際にありそうな仮説ではなく、ほとんどの人が考えてもいないが、明確なロジックがある仮説、もしくはロジックが不明でも、経験則として明確な関連が認められるものだと言います。

そのような仮説を考えることこそが、他の投資家を出し抜く一つの攻略法だということです。

■【まとめ】自分に合った手法を見つけることが一番大事

これを読んで改めて思ったことは、やっぱり短期トレードの流派の人もいれば、長期トレードの流派の人もいる中で、自分に合った手法を見つけることが一番大事ということです。

その手法を見つけるまでの過程で失敗することは、お勉強代なのです。もちろん、みんなかかります。cis氏でも、最初の頃には2000万円あった残高を100万円ぐらいに減らしてしまったそうです。

やはり投資は、自分のマインドをコントロールすることも非常に大事だと思うので、自分の性格に合った手法を見つけるというのが重要だということを学びました。また、他にも面白い内容がたくさん書かれており、読み物としても非常におすすめです。

結構ライトな内容も書いてあります。「僕は1億2000万持っています。彼女募集中」といったネットの書き込みで応募がめちゃくちゃあったそうで、毎週何人もの人とデートしていたと書かれている部分もあり、読み物としても非常に面白いです。是非おすすめしたい一冊です。

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学/KADOKAWA