身内に甘すぎるのは、岸田文雄総理だけではない。

 5月30日の「めざまし8」(フジテレビ系)が、マイナンバー保険証で入力ミスと思われる「別人の個人情報の誤登録」が相次いでいることを報じ「マイナンバー保険証の導入は見切り発車」と断じた。

 ところが、だ。視聴者が苛立ったのは、マイナンバー保険証そのものではない。番組にはマイナンバー制度設計に携わった水町雅子弁護士が登場。制度設計した当事者ながら、現場の混乱に見舞われ、紐づけ入力作業に追われる職員の苦労など他人事のようだ。番組では「マイナンバー保険証のおかげで医療現場は混乱している」「医療崩壊が起こる」「アレルギーを持っている患者が命を落とす」と煽るだけ煽って、欠陥だらけのシステムを作った張本人が涼しい顔をしているのだ。

「いや、アンタらの制度設計のミスでしょ」

 とテレビの前で思わず毒づく。医療現場では混乱など起きていない。機械の扱いが苦手な事務職員はどこにでもいる。

 年度末に健康保険が切り替わったので、筆者自身も健康保険情報の反映が遅れたり、マイナンバー保険証に対応していない病院受診のため、紙の保険証をもらいに行くなどの不便を強いられた。だが、マイナンバー保険証の導入で、外国人が別人の紙の保険証を使い回したり、モンスター患者が向精神薬をよこせと喚き散らして病院を渡り歩くなど、病院職員がモヤモヤする頻度は減っている。

 なにしろ今まで、在日外国人による「海外で出産した」との虚偽申請で、出産一時金を騙し取られ続けてきたのだ。この5月に警視庁が詐欺の疑いで逮捕したベトナム国籍の男性会社員はウソの申請を繰り返し、騙し取った出産一時金は1600万円以上にも上るとみられている。

 これはあくまで、氷山の一角、残念ながら我々医療従事者は、紙の保険証を持ってくる外国人を見かけると「また不正利用か」と疑ってかかる習慣がついてしまった。

 マイナンバー保険証に反対しているのは、そうした外国人やモンスター患者が健康保険を悪用していると知りながら、詐欺の片棒を担いできては診療報酬を騙し取ってきた悪徳医師たちだ。診療情報が国に一元化されると、外国人と「グル」になった荒稼ぎはできなくなる。個人情報誤入力による処方ミスや事故は、丁寧に患者の話を聞けば防げるのだから。

 マイナンバー保険証をやめろと煽りに煽った「めざまし8」だが、この日は大誤報をしでかした。

「マイナンバーカードを保険証として登録するとマイナポイントがつくのは今月末まで」と誤った情報を説明したのだ。正しくは、マイナンバーカードの健康保険証の利用申込へのマイナポイント付与は、今年9月30日まで延長されている。

「めざまし8」は番組最後に訂正したが、自分たちは全国に誤報を流していながら、役所や保険組合の入力ミスは絶対に許さない、というのは身内に甘く、了見が狭すぎやしませんか。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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