「チャットGPT」は2022年11月30日に公開され、5月30日で半年を迎えました。

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 まだ6か月しか経っていませんが、大きな注目を集め、多くの人々に利用されています。

 リリース2か月で月間アクセス数が1億回を超えました。日本でも、チャットGPTのことが話題にならない日はありません。

 その影響力は経済や社会に大きな影響を与え、人々はこれを「次の産業革命」とさえ評しました。

 利用範囲は広範で、パソコンスマートフォンで利用でき、チャットGPTが質問や相談に対する答えを提供します。

 しかしながら、その強力な機能には潜在的なリスクもあり、すぐに悪用の可能性が指摘されるようになりました。

 広島で行われたG7でも、チャットGPTの登場によってAIのあり方が議論されたくらいです。

 チャットGPTは、良い意味で悪い意味でも、AIのことを考える機会を与えました。

 また、チャットGPTには倫理的な問題も関わっています。

 例えば、チャットGPTが論文の冒頭や一部の節を書くことができるという点や、複数の論文が既にチャットGPTを共同著者として挙げているという事実は、学術界での議論を引き起こしています。

 あまりにも急激に利用者が増えたので、利用するルールが追いついていないのです。

 在宅勤務では、自分のパソコンチャットGPTに聞きながら仕事をするというワーカーが後を絶ちません。

 爆速で仕事を終えることができるので、空いた時間で副業をしている人もいます。

 もちろん、副業でもチャットGPTに仕事をさせていることは言うまでもありません。

 水面下で、チャットGPTは多くのホワイトカラーの役割を担っているのです。

 ピーター・ドラッカーが、「21世紀にはホワイトカラーの生産性が大きく飛躍する」と言っていましたが、チャットGPTによってそのことが証明したと言えるでしょう。

 しかも、チャットGPTの進化は停止することがありません。

 2023年3月15日には、その前のバージョンであったGPT 3.5からアップグレードしたGPT-4が発表されました。

 直近では、プラグインも利用できるようになり、ブラウズ機能も使えるようになり、プロンプトのエクスポートやシークレットモードなど、懸念されていたことも解決しています。

 GPT-4の目玉である、マルチモーダル機能はまだ使えませんが、それでもこれだけ短期間に進化を遂げているのです。

 AI技術の発展とともに、チャットGPTは様々な可能性を持っています。

 一方で、その利用は倫理的な観点やセキュリティ対策を必要とする新たな課題も引き起こしました。

 そのため、これらの課題への対応が求められています。

 また、より強力なAIであるGPT-4の訓練に対して、一部の声からは少なくとも6か月の停止が要請されていることが報告されました。

 これは、汎用人工知能がもたらす潜在的なリスクを考慮に入れた結果です。

 驚くことに、初期の支援者であった電気自動車メーカーテスラの創業者イーロン・マスク氏も、チャットGPTについては開発を止めるように促しています。

 開発者も分からないような突然変異を起こし、急激に進化したのですから無理もありません。

 何でこんなアーキテクチャが機能しているか説明不可能であり、不可思議でもあります。

 原理に納得していない科学者は、神の贈り物としか言いようがないと嘆くほどです。

 チャットGPTは無料版として提供されており、有料版でさえ月にたった20ドルです。最近ではiPhoneアプリでも利用可能になりました。

 無料版では1つの電話番号に対して1つのアカウントしか作成できないという制限があることに注意が必要です。

 逆に言えば、月に20ドルでいくつもアカウントを作ることができるということでもあります。

 チャットGPTは利用者の癖を読み解くので、用途ごとにアカウントを分けることで、より正確な回答を引き出すことができるでしょう。

 以上のような情報から、チャットGPTリリースされてから、わずか6か月間に多くの出来事があったことが分かります

 さらに詳しく見ていくと、チャットGPTは多くの人々にとって価値あるツールとなっています。

 それは一部の教育機関で学生の学習を支援するために用いられ、すでにプロンプトエンジニアの授業が始まっています。

 AIに質問する力である、プロンプトは人類にとって最重要であり、プログラミングに変わるコンピューター伝達手段です。

 プログラム言語は英語でできていますが、プロンプトなら日本語大丈夫というところも革新的ともいえるでしょう。

 マルチランゲージは、コンピューターに求められていた一番の課題でもあります。

 米国では気づきにくいですが、利用者の母国語が英語とは限りません。

 最後にどんな革新的なテクノロジーでも、それを悪用する人は現れます。

 例えば、ユーザーテキストで命令を入力するとAIがそれに対応した答えを返す機能は、悪意あるユーザーによる悪用の可能性があるでしょう。

 AIが犯罪に加担することもできるのです。

 直接答えてくれなくても小説のような架空の物語として出力させれば、犯罪の方法を教えてくれます。

 そのため、AI技術の発展に伴い、適切なセキュリティ対策を検討することがますます重要になってきました。

 チャットGPTリリースから6か月が経つ今、その利用状況とともに、人間とAIとの新たな関係性について考える契機となっています。

 チャットGPTは、あらゆる場面で、イノベーションを起こしていますが、それも使う人次第なのです。

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