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 ヒマラヤグマの“チャダ”は、子供の頃からサーカス団で飼育され、芸を仕込まれ観客たちにパフォーマンスを見せていた。

 だがその後別の巡回サーカス団に売られたものの、その後、小さな檻の中に7年間置き去りにされていた。

 だがようやく保護されたことで、20年ぶりに初めて自由を得ることが叶った。

 ボロボロの状態になっていたチャダは、今すっかり元気を取り戻し、第2のクマ生を保護区で満喫中だ。

【画像】 サーカス団に売られ、檻の中に7年間閉じ込められていたチャダ

Elderly circus bear tastes freedom after 20 years

 チャダの両親は中央アジアで捕獲された後、旧ソ連に持ち込まれ、サーカス動物園などで飼育されていた。

 1998年にチャダ(メス)が誕生すると、ウクライナ国立サーカス団は、まだ子供だったチャダに車輪の上でパフォーマンスする芸を仕込み、多くの国を巡回していたという。

 だがその後、サーカス団は使い物にならなくなったチャダを個人経営のサーカス巡業者に売り払った。

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 最終的にチャダは、キーウ郊外の工業地帯にある錆びた小さな檻に入れられ、7年間も閉じ込められていた。

 セーブワイルド財団の救済・保護施設『ホワイト・ロック・ベア・シェルター』に彼女の救出を依頼した活動家たちに気づかれるまで、チャダはその狭い檻の中で一生を終えようとしていたのだ。

 2019年、サーカスや沿道の観光スポットからオオカミやクマを救出するウクライナの野生生物保護区は、チャダをホワイト・ロック・ベア・シェルターに運び、そこで余生を平和に過ごすことができるように、世話をした。

 ヒマラヤグマの寿命は野生下で20~25年、飼育下では約30年と言われている。

 チャダはこの時すでに25歳と高齢になっていて、目はほとんど見えず、歯もほとんどなく、健康状態も良くなかった。

 しかし、チャダがついに囲いのある生活から解放された時、チャダは自由を心から喜んだように見えた。そしてその瞬間は、救助者たちにとっても感動的なものだった。

 セーブワイルドは、チャダが芝生の上を歩いたり、水で遊んだりしたのはこれが初めてだと説明している。

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20年ぶりに保護区で自由を満喫中

 チャダの種であるヒマラヤグマは、レッドリストではヒグマの絶滅危惧亜種となっていて、野生では数千頭しか生存していないという。

 通常、この種のクマは小さいが、チャダは小さな檻の中にずっと閉じ込められた生活を強いられていたことから成長が妨げられ、通常よりもさらに小さいそうだ。

 だが、保護され、健康が回復したチャダは元気いっぱいだ。

 今、チャダは新しい環境を探索するのに忙しい。サーカスにいた頃は、無理やり車輪の上に立たされたり、演技を強いられたりしていただけだったが、今は自分の意思で好きなように動き回ることができる。

 チャダにとっては、それがとても楽しいのだ。

 毎日、チャダは水遊びしたり、草の上で居眠りしたり、他の救助されたオオカミやクマがうるさくしたら、まるでおばあちゃんのように叱ったりして、自由を満喫している。

 現在、チャダの日常をインスタグラムでシェアしているホワイト・ロック・ベア・シェルターは、このように綴っている。

厳しいクマ生を送ってきたチャダは、これまでずっと闘い続けてきました。

今、チャダはようやく保護区で第2のクマ生を満喫しています。そして、私たち施設のクマ家族のスターになりました。

How Chada she-bear was rescued

References:Elderly Circus Bear Loving Her Freedom After Being Locked Up For 20 Years/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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サーカスから救出されたヒマラヤグマ、20年ぶりに自由得て自然と触れ合う