シカゴを震撼させた大谷の一打。これには敵チームの地元局で解説を務めるレジェンドも驚くしかなかった。(C)Getty Images

 大谷翔平エンゼルス)が放った超が付くほどの特大アーチは、日本の野球史に残る天才バットマンの姿を想起させた。

 現地5月31日に行なわれたホワイトソックス戦で、大谷は第2打席で14号を記録すると、続く第3打席には飛距離459フィート(約140メートル)の15号を放った。

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 3回にセンターへの特大アーチを放っていた背番号17がふたたびシカゴを震撼させたのは、4回1死二塁の場面だった。スイングしたと同時に「パキャーンッ」という乾いた打球音が鳴り響くと、瞬間的に球場の誰もが熱狂。打った当人も確信めいた表情で打球を見送り、ゆっくりと一塁へと歩き出した。

 およそ投手が放ったとは思えない放物線を描いた驚愕の一打には、ホワイトソックスの“贔屓メディア”もただただ驚くしかなかった。シカゴを拠点とする米スポーツ専門局『NBC Sports Chicago』で解説を務めていた元サイ・ヤング賞投手のスティーブ・ストーン氏は「あぁまさにタイタニックのようだ。これは完璧に打たれた。真芯で捉えていたから、打球は何日も飛び続けていくようだったね」と独自の表現で振り返りつつ、“ある日本人スター”の名を口にした。

イチローはパワーを犠牲にしていたが、私はバッティング練習で彼が6球も連続柵越えを目撃したことがある。ホームランを打とうと思えば、いつでも打てたんだ。イチローに感心したのは、彼のやること全てが完璧だった」

 イチロー氏は日米通算4367安打を放った日本球界が誇る安打製造機であり、世界屈指の天才だ。無論、長打力を売りとした大谷とは打者としてのタイプは異なる。それでも日本からやってきた「超一流」の凄みを訴えたストーン氏は、テレビの向こう側のファンへ次のように問いかけた。

イチローと同じことはオオタニにも言えるんだ。彼も全てを上手に、完璧にこなすんだ。圧倒的に支配的なピッチャーでありながら、あそこまでボールを飛ばせる選手は他にいるかい?」

 かつてのイチローのように球界の話題を独占する大谷。その圧倒的な活躍を改めて目の当たりにし、ストーン氏も役職を忘れてただただ賛辞を贈るしかなかったようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

敵放送局が大谷翔平に重ねた“イチローの姿” 140mの超特大アーチには「全てを上手に、完璧にこなす」と感嘆