法テラスが出廷日当を立て替えないことなどを不服として、青森県の弁護士法人「青空と大地」(代表社員・橋本明広弁護士)が5月18日日本司法支援センター法テラス)を相手取り、約45万円の支払いを求めて青森地裁に提訴していたことがわかった。橋本弁護士が取材に対して明かした。同法人が法テラスを訴えるのは4件目。

●原告側での出廷日当問題

訴状では、2つの問題を指摘している。1つ目は、出廷日当の立て替えについて。2022年にあった離婚と婚姻費用に関する調停事件を申立人側で担当した際、法テラス青森が出廷日当1万1000円を立て替えない決定をし、不服申立も不採用となったというもの。

法テラスの立替基準では、離婚事件で弁護士が出廷すると1回あたり1万1000円の出廷回数加算がある。「事件の難易、出廷回数等を考慮し、増減することができる」となっており、相手方(被告側)で担当した場合については基本的に加算されるという。

一方、今回は申立人側(原告側)での事件。橋本弁護士は「原告事件といえども『基準』である以上、日当をつけるのが原則で、つけない場合には合理的な理由がいるはず」と話しており、裁判を通して裁量の範囲が争われるとみられる。

●立替払い制度の問題点

2つ目は、法テラスが成功報酬を立て替えず、弁護士が被援助者から直接回収するよう決定したこと。前出とは別の離婚調停申立事件で、約44万円の成功報酬について、弁護士が毎月の養育費と慰謝料の支払い時に1割ずつ回収するようにとの決定があったという。

一方で、最初の2カ月分の養育費・慰謝料にあたる計14万円のうち、約9割については法テラスへ一括償還させることを決定した。

法テラスが回収不能になることを避けるためとみられるが、養育費等が生じる離婚事件では、法テラスは成功報酬の立て替えをせず、弁護士に直接回収させる運用が定着している。

同弁護士法人は、やっと支払われた養育費・慰謝料の大半を直ちに償還に充てさせられることは、法テラスの利用者にとって負担が大きすぎると問題視。また、直接回収することで弁護士の事務負担が増えるほか、あまりに気の毒で回収を強くおこなえないケースも珍しくないとしている。

なお、養育費等が生じる離婚事件で弁護士が直接回収したり、被支援者に一括即時償還させたりする運用については、日弁連、法務省法テラスの三者による勉強会でも問題視されており、近くひとり親を支援するために改められる見通しだ。

弁護士法人が法テラスを提訴 出廷日当や報酬の直接回収を問題視