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  南アフリカの海岸で、世界でもっとも古い私たちの祖先の足跡が見つかったそうだ。そのホモ・サピエンスの足跡は15万3000年前のものだという。

 発見された地域は、ヒト族(ホミニン)の骨が比較的多く発掘されているところで、高度な石器や宝飾品なども見つかっている。

 新しい足跡はこうした考古学的な記録を裏付けており、大昔の人類がアフリカから他の地域へと進出する前、南アフリカの海岸地域で暮らしていたことを今に伝えているそうだ。

【画像】 最近になって発見が相次ぐホモ・サピエンスの軌跡

 21世紀当初、5万年より古い人類の足跡を見つけるのは、かなり困難だと思われていた。当時アフリカ全体を見渡しても、そうした足跡が見つかったのはたった4か所のみ。

 東アフリカではタンザニアのラエトリ遺跡とケニアのコービ・フォラ遺跡、南アフリカではナフーン遺跡とランゲバーン遺跡だけだったのだ。

 だが2023年、状況は大きく変わった。アフリカにある5万年以上前のヒト族足跡遺跡(hominin ichnosite)は14か所ある。

 東アフリカが5か所、南アフリカのケープ海岸に9か所(「南アフリカ群」と呼ばれる)だ。さらにアフリカの外に目を向ければ、イギリスアラビア半島など、世界各地に10か所ある。

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記録上最古となる15万3000年前のホモ・サピエンスの足跡

 今回『Ichnos』(2023年4月25日付)で発表されたものは、ここ5年の間にケープ南海岸地域で確認された7つの足跡遺跡で、いずれも「南アフリカ群」の一部である。

 そうした足跡遺跡の年代はさまざまで、一番新しいものは7万1000年前のもの。だが一番古い足跡は15万3000年前のもので、ホモ・サピエンスのものとしてはもっとも古いと考えられている。

 この地域では、高度な石器・芸術・宝飾品・貝殻など、人類が生活していた痕跡が見つかっている。新たに発見された足跡は、こうした考古学的な証拠を裏付けるものであるそうだ。

 つまり、まだ人類がアフリカ大陸からほかの大陸に進出する前、この地域に私たちの直接の祖先が暮らしていたということだ。

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太陽の痕跡で足跡を分析

 ケープ南海岸地域で見つかった古い足跡の年代を調べるには、「光ルミネッセンス法」が使われることが多い。

 これは砂粒が何年前に日光に触れていたのか分析する方法だ。つまりは、その砂が何年前に埋もれたのかを調べるのだ。

 この地域で光ルミネッセンス法が使われる理由の1つは、堆積物に石英の粒がたっぷり含まれており、発光しやすいことが挙げられる。

 もう1つの理由は、広い砂浜は日照時間が長く、しかも砂が風で運ばれて砂丘を作り出すため、もともとあった光を取り除いてくれることだ。

 こうした条件のために、光ルミネッセンス法の信頼性がアップする。これまでも、この分析法によって、ここで発見されたさまざまな遺物の年代測定が行われてきた。

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発見された足跡の光ルミネッセンス法解析 / image credit:Charles Helm

東アフリカと南アフリカの足跡の違い

 すでに述べたように、アフリカの足跡遺跡は主に東アフリカ南アフリカに分布している。だが、両者の足跡には大きな違いがある。

 東アフリカの足跡遺跡はかなり古いのだ。たとえばラエトリ遺跡のものなら一番古いものは366万年前、一番新しいものでも70万年前のものだ。

 またその足跡はホモ・サピエンスのものではない。アウストラロピテクス、ホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・エレクトスといった古い人類が残したものだのだ。

 それとは対照的に南アフリカの足跡はずっと新しく、どれもホモ・サピエンスのものだと考えられている。

 だが、この地域にもっと古い足跡が隠されている可能性もある。

 今回の研究チームによるなら、私たちの祖先についてもっと知るために、40万年前から200万年以上前の古い堆積物も調べる必要があるとのことだ。

References:World's oldest 'Homo sapiens' footprint identified on South Africa's Cape south coast / written by hiroching / edited by / parumo

 
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記録上最も古い15万3000年前のホモ・サピエンスの足跡を南アフリカで発見