最近は選球眼の良さも新庄監督から認められている万波(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 プロ野球には「松坂世代」に代表されるように、飛び抜けた成績を残したトップスターを中心として、競うように同学年の選手が活躍することが多い。世代に名前をつけて、ひとくくりで呼ぶ傾向がある。

 たとえば1999年生まれ(1999年4月2日~2000年4月1日)であれば、三冠王を獲得したヤクルト村上宗隆から「村上世代」。アマ時代は高校通算本塁打記録を更新した清宮幸太郎日本ハム)を中心に回っていたが、プロ入り後の活躍で序列は逆転した。ほかに大勢(巨人)、湯浅京己(阪神)らがいる。

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 2001年生まれ(2001年4月2日~2002年4月1日)は、完全試合を達成したロッテ佐々木朗希から「朗希世代」。通常、高校時代の甲子園出場組が世代の中心になるケースが多いが、佐々木はアマで全国舞台の経験がない。それでも「令和の怪物」と呼ばれるプロでの活躍ぶりを見れば、世代の象徴として異論はないだろう。宮城大弥オリックス)、奥川恭伸ヤクルト)らがいる。

 若くして大ブレークした2人の世代にはさまれた2000年生まれ(2000年4月2日~2001年4月1日)は、西暦上の区切りから「ミレニアム世代」と呼ばれるが、活躍度では今ひとつ物足りない。高校3年時(2018年)、甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭藤原恭大ロッテ)、根尾昂(中日)が中心だが、「―世代」と名を冠するほどの存在とはいえない。

 候補にあがるのは、3月WBCで世界一に輝いた侍ジャパンに、世代から唯一選出された戸郷翔征(巨人)。2018年ドラフト6位入団。高卒2年目から先発ローテ入りし、昨年は自己最多12勝をあげ、最多奪三振の初タイトルを獲得。今季もリーグトップ6勝(5月31日時点)と、頭一つ抜けている。

 野手では小園海斗(広島)がややリードしていたが、今季は開幕から打撃不振で2軍落ち。遊撃レギュラーとして昨年まで2年連続規定打席をクリアしたが、続けて活躍することがプロの世界では難しい。大阪桐蔭からは藤原、根尾ら4人が高卒でプロ入りし、金足農(秋田)の快進撃で甲子園をわかせた吉田輝星日本ハム)も含め、プロでは苦戦をしいられている。

 そんななか一気に覚醒の予感を漂わせるのが万波中正日本ハム)だ。交流戦開幕戦の5月30日ヤクルト戦で2打席連発を放ち、両リーグ最速で10号に到達。横浜高校時代からパワーには定評があったが、コンパクトなスイングに変えて今年は確実性が上がった。明るいキャラクターでスター性もある。同い年の同僚で開幕4番を任された野村佑希から主砲の座を奪う勢いだ。

 高校卒業から5年がたち、「二刀流」矢沢宏太(日本ハム)をはじめとする大卒組もプロ入りしてきたミレニアム世代はこれからが本当の勝負。現状では村上世代と朗希世代にはまされた「谷間の世代」と言われかねない。世代の中心となる圧倒的な存在の出現に期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

根尾昂も藤原恭大もいるものの…「谷間のミレニアム世代」10号一番乗り万波中正ブレークで序列逆転なるか!