米現地時間5月6日の夜、「ゴールドハウス」がロサンゼルス市中心部にある複合アートカルチャー施設の「ザ・ミュージック・センター」にて、第2回「A100リスト」授賞式およびガラを開催した。ゴールドハウスとは、エンタメ、ビジネス、メディア、スポーツなど多岐のジャンルにわたり、アメリカにおけるアジア太平洋コミュニティのために活動する団体で、「2023 A100リスト」は、授賞式前年の1年間にアメリカ国内で目覚ましい活躍をしたアジア人を対象に、ゴールドハウスが100人を選考し、各ジャンルにて賞を贈るもの。

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■日本人からは3人が受賞!

日本からもこの賞に輝いた人たちが3人いる。スポーツ界からは、メジャーリーグロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手、NBAのブルックリン・ネッツに所属する渡邊雄太選手が受賞。音楽界からは、キアヌ・リーヴス主演の大人気シリーズ第4作にあたる『ジョン・ウィック:コンセクエンス』で俳優デビューを果たしたリナ・サワヤマだ。ロンドンを拠点に活躍するシンガーソングライターで、“次世代を担うアーティスト”として、グローバルな人気を得ている。この栄誉がなんだか喜ばしいのは、こうした日本人の3人が世界の舞台で輝いているからだけが理由ではない。受賞者と来場者から、アメリカのとある変化における“いま”がみえてきたからなのだ。

まずは、今年3月に発表された第95回アカデミー賞で、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)にて助演男優賞を獲得したキー・ホイ・クァンが受賞。多くのイベントに出席しており、今年は彼の年といっても過言ではないかも。ミシェル・ヨーは、昨年の受賞者だったので出席しなかったが、同映画で脇をかためたステファニー・スー、ハリーシャム・Jrとプロデューサーのジョナサン・ワンが受賞し、チーム“エブエブ”の勢いと衝撃はいまだ強い!

エミリー、パリに行く」以降、出演作の相次ぐアシュリー・パークは、アジア系アメリカ人のルーツを探す旅を描いたコメディ『Joy Ride』や、エピソードのいくつかを日本人女性が監督したNetflixオリジナルのダークコメディBEEF/ビーフ」のキャストと再会を果たした。アシュリーは自身のインスタグラムで、ガラのデート(連れ)は両親で最高!とうれしそうに投稿しており、ルーツを賛美するイベントだけに、家族での参加はなんともハートウォーミングだ。

アジア系女優としてハリウッドで長いキャリアをもつサンドラ・オーはスピーチを行い、ラテンコミュニティ代表として、アジアコミュニティとの連携を推進し活動しているエヴァ・ロンゴリアは、その功績が認められての受賞となった。

■躍進するアジア人の輝き

『クレイジー・リッチ!』『オーシャンズ8』『シャン・チー/テン・リングスの伝説』などのブロックバスター作品への出演が続くオークワフィナは、アメリカでもっとも有名なアジア系アメリカ人ラッパーとも言われるダムファウンデッドとともに来場。(ちなみに、オークワフィナもラッパーで、もともと世に出たきっかけはラップだった)オーワクフィナの次回作は、日本では6月9日公開のディズニー映画実写版リトル・マーメイド』とのこと。

日本からは、『聖闘士星矢 The Beginning』でハリウッド主演デビューを果たした新田真剣佑が参戦。アニメ好きでなくても知っている名作漫画の実写版とあって、アメリカでも話題となっている。また、ビヨンセの曲に合わせて腰をおとす“ドロップチャレンジ”がソーシャルメディアで大バズりしたアツコ・オカツカも出席!台湾と日本人の両親の間に台湾で生まれ、幼少期を日本で過ごしたそう。現在は、ロサンゼルスを拠点に活動しており、昨年末にHBOでオリジナル番組が放映開始になると、コメディアンとして一躍全米で知られるようになった注目株だ。

アメリカには本当に様々な人種が住んでいる。アジアといってもその範囲は広いし、アジア人といってもアジアに一度も住んだことのない人もいる。そしてアジア人に限らないが、アメリカでは人種における差別がいまだ根深いことも事実だ。何十年間にもわたって、静かなアジア人たちは無視されることに声をあげない状況が変わらずあったかもしれないが、近年アジア人の躍動は本当に目覚ましく、風向きがあきらかに変わっていることも真実だ。それは受賞者たちの活躍が物語っている。

マーベルシリーズのキャプテン・マーベルことブリ―・ラーソンは、スピンオフドラマ、『ミズ・マーベル』である日突然、憧れのキャプテン・マーベルのようなスーパーヒーローに変身してしまうパキスタン系アメリカ人高校生のカマラカーンを演じたイマン・ヴェラー二を応援するために出席。作品内で妹のようなイマンのサポートのために、とはキャラクターさながら頼もしい!

彼らは、アジア人の中でトップなのではなく、エンターテインメントの最高峰の場での最前線を走っている。アジア人として初の主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーがアカデミー賞の受賞スピーチで言ったように、“私のような見た目の”子どもたちに勇気を与えるもので、たんに彼女が女優として認められたこと以上に、後世に残る大きな意味がある。沈黙に耐えてきたアジア人たちが力を合わせ、こうしたイベントが開催されている意義は深く、我々がもつ歴史や文化の美しさを世界に伝えていく時が到来した。自分たちの人生を生きぬくことで、挑戦して前進するアジア人たちの輝きは、いま確実にアメリカで大きくなっている。

文/八木橋恵

アジア人の活躍を称えるガラ、A100リストの出席者をチェック!/Photo by Charley Gallay/Getty Images for Gold House