赤いランプを点灯させ、大きな音を鳴らして赤信号なども通過していく緊急車両救急車や消防車が代表的ですが、なかには、あまり見かけない車両が通ることも。緊急車両は「公共」のものだけではないのです。

緊急を要する業務の場合は民間でも使える

赤いランプを点灯させ、大きな音を鳴らし走る緊急車両救急車や消防車と思い停車してみると、見慣れない車両だったことはありませんか。こうした「緊急自動車」、実は普段見慣れているパトカー救急車、消防車のほかにも様々な車両が存在します

緊急自動車とはその字面の通り、事故や災害など緊急の対応を要する業務に着くクルマのことを指します。道路交通法施行令第13条によると、こうした緊急自動車のなかには、公共のものと民間のものが存在します。公共のものは、パトカー救急車、消防車のほか、自衛隊の警務車両や化学防護車両、高速道路の道路パトロール車両なども含みます。

民間のものは、電力会社、ガス会社、水道会社などの車両が該当します。漏電・停電、ガス漏れ、水漏れなどのなかには、放置しておくと事故の危険性やインフラに大きなダメージを与える可能性があるものがあります。そのため、危険防止のための応急作業に使用する自動車に関しては緊急車両として認められているのです。

ほかにも、救急専門医を乗せて現場に向かうドクターカーや、輸血用血液や移植用の臓器を運搬する車両、JAF(日本自動車連盟)のレッカー車なども民間の緊急自動車として認められています。

ちなみに、クルマのルーフなどについている回転灯の中には赤いランプ以外にも黄色や青色、緑色などもありますが、それらは緊急自動車ではありません。

黄色の回転灯は主に、国土交通省NEXCO各社で道路維持・修繕や道路標示の設置などに用いる車両に使用されます。青色は「青パト」と呼ばれる、防犯用のパトロールカーに使用されており、警察と運輸支局などの許可を受けた団体が使用しています。そして緑の回転灯は、大型トレーラーを誘導する誘導車に使われています。なお、これらの回転灯も勝手に使用することはできず、届け出や認定を受ける必要があります。

緊急自動車の赤色灯(斎藤雅道撮影)。