電車・マスク

長らく続いたマスク生活にピリオド。2023年3月13日以降、マスクの着用は個人の判断に。さらに5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に移行した。

街でもちらほらとノーマスクの人が見受けられるなか、今、どれくらいの人が電車内でマスクを着用しているのか。男女1,000人に調査を行った。


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■74.1%が「常にマスクを着用」、その一方…

電車内でマスク

調査の結果、74.1%の人が「常にマスクを着用している」、13.8%の人が「時々着用している」ことが分かった。双方を合わせると87.9%となり、じつに9割近く。大勢の人がまだ電車内でマスクを着用しているようだ。一方「着けていない」と答えた人は12.1%にとどまった。

電車内でマスクを着ける理由

マスクをつける理由について聞くと「感染対策」が59.6%と最多。続いて「周囲の人がつけているから」と日本人らしく協調性を重んじる人が15.2%。「(顔や歯など)コンプレックスを隠したい」と回答した人が9.2%いた。

これについて、筆者の周りにコメントを求めると「まだマスクを外すのが怖い」と声をあげたのは50代女性だ。「感染者がゼロになったわけではないし、いつ、どこでかかるかわからない。外している人も見かけますが、怖くないのかなと思います」。

逆に「3月13日その日に外しました」という人も。「これまで我慢してきた。やっとノーマスク生活の始まりです。マスクを着けないことで、最初は視線を感じたりしましたが、へっちゃらです。感染したら感染したらで、とくに気にしません。むしろ、いまだにマスクをしている人が理解できません」(40代男性)という声もあった。

また、マスク生活の間に歯科矯正など顔周りのメンテナンスをする人も少なくない。「マスクで口元が隠れているので、歯科矯正を始めました。終わるまではマスクをしているつもりです。周りにはシミ取りレーザーをする人もいますね。顔が隠れている間に、みんな気になるところの治療をしているようです。美容外科は結構儲かっているのでは(笑)」(30代女性)との声も。


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 ■「これからもずっと着用し続ける」は21.3%

いつマスクを外すか

マスクを着用派人は、いつマスクをはずすのか。調査をすると、最多は「周囲の人がはずしたら」が25.5%となり、やはり周りの人が気になる模様だ。これから梅雨の季節となり夏がやってくる。気温上昇でみんながマスクを外し始めれば、一気にノーマスクが広がるとも予想できる。

続いて、「これからもずっと着用し続ける」が21.3%。今後もマスク生活を続ける慎重派の人は5人に1人以上いるようだ。一方で、「感染者が減ったら」は16.5%にとどまった。

筆者の周りでは「外すタイミングがわからない」という人も。「外したら、なんとなく目立ちそうで嫌。みんなと同じタイミングで、一斉に外したいです(笑)」(20代女性)との声が聞かれた。なかにはマスクを外す練習をしている人も。「梅雨が来て、蒸すようになったら、マスクを外す予定です。ちょっとドキドキするので、ときどき顎マスクにするなど、徐々に外す練習をしています。」(40代女性)

新型コロナが蔓延してからの3年間で、一緒に過ごしたマスクは、顔の一部のようになったと感じる人も少なくない。「顔パンツ」という言葉も誕生し、「マスクを外して顔を見せるのは、人前で下着を脱ぐのと同じで恥ずかしい」と言う若者もいるほどだ。


■鉄道会社マスク呼びかけを廃止

鉄道会社の対応にはどんな変化があったのか。各社は3月13日の時点で利用者へのマスク着用呼び掛けを廃止。厚生労働省は「通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗車する時は注意」としているが、「混雑の基準を定めるのは難しい」として、国交省は各社の考えに任せている。

新型コロナの5類移行に伴い、いよいよアフターコロナの機運は高まっている。とくに鉄道会社は、コロナ禍で乗客が極端に減少し、各社赤字へと転落。前代未聞の苦渋をなめた。しかしようやく乗客は戻り、落ち込んでいた業績も、今年に入り軒並み黒字回復を遂げた。JR東日本の経営陣によれば「これからは攻めの経営にシフトする」として、新たなスタートとばかり、全社をあげてエンジンをふかしているようだ。

コロナ禍で苦境に陥った鉄道会社は、これまでに貯め込んできた数々のアイデアを活かし、新たなサービスを提供し続けると予想される。鉄道のさらなる進化に期待し、私たちをどのように楽しませてくれるのか。注目だ!


■執筆者プロフィール

東香名子

Sirabeeでは、鉄道トレンド総研所長の東香名子さんの連載コラム【鉄道トレンド調査隊】を公開しています。毎回、鉄道に関する調査を行い、解説する連載です。今週は「5類に移行後、電車内のマスク事情に変化は… マスク着用派・外す派それぞれの本音を訊いた」を掲載しました。

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(取材・文/東香名子

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