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カナダのあるケーキ店に侵入した一風変わった泥棒が話題になっている。泥棒はドアのガラスを蹴破って店内に入ると、散らばったガラスの破片を掃除してから6個入りのカップケーキの箱を盗み、他には何も盗らなかったという。カナダのニュースメディア『CBC.ca』などが伝えた。

カナダブリティッシュコロンビアバンクーバー市内にあるカップケーキの人気店「Sweet Something」に現地時間5月26日午前3時頃、泥棒が侵入した。ところが被害に遭った店のオーナーであるエマ・アーヴァインさん(Emma Irvine)は、監視カメラの映像を見て思わず笑いがこみ上げたそうだ。

監視カメラに捉えられた泥棒は約30分間、店の入り口ドアを何度かノックした後にドアのガラスを蹴破って店内に侵入。そして店内を歩き回りトイレに入った後、厨房内の椅子に座ってくつろいでいた。エマさんは「たぶん彼は疲れていたんでしょうね」と語っている。

その後、泥棒はドアのガラスを蹴破った際に散らばったガラスの破片に気づき、なんと店の奥からモップバケツを持ってきて床の掃除を始めたのだ。彼はモップで念入りにガラス破片を拭き取ろうとしたが、エマさんは「まあ、あまり上手に掃除できていませんでしたね」とツッコミを入れている。

泥棒はできる限りの掃除をした後、冷蔵庫の中にあった6個入りのカップケーキの箱を持ってその場を去っていった。盗まれたカップケーキは、30カナダドル(約3100円)分だったという。

その日の朝、店に出勤したエマさんはガラスが割れたドアを見てショックを受けたものの、監視カメラの映像を見ると、律儀に掃除する泥棒の姿が捉えられており大笑いしたそうだ。

そして店内をチェックしたところ、他には何も盗まれていないことが分かったが、店のスマートフォンにはオレンジ色のサングラスをかけた泥棒の自撮り写真が何枚かあったそうだ。エマさんは警察に被害届を出したが、数日後には泥棒本人から謝罪の電話がかかってきたという。

泥棒に入った男は、割ってしまったドアのガラスの修理代に加え、盗んだカップケーキの代金を支払うと申し出た。エマさんは「彼は深く反省しているようでした」と明かしており、男を許すことにしたという。実は同店が泥棒の被害にあったのは2回目で、前回はパンデミック中の売り上げが低迷している時だったため大きな痛手となったが、今回の件についてエマさんはこう語った。

「(パンデミックで売り上げが低迷した)他の企業においても本当に気の毒に思います。私たちが幸運だったのは、ちょっと面白い展開になったことで笑い飛ばして前に進むことができたことです。」

この奇妙な事件の後、エマさんは新しいデザインのカップケーキを販売することにした。「クライム・オブ・パッション(Crime of Passion/一時の激情に駆られて罪を犯すこと)」と商品名が付けられたカップケーキには、泥棒が自撮りした時にかけていたオレンジ色のサングラスがデザインされていた。そしてエマさんは「彼をそんなに憎んではいません」「今回のことは忘れて、前に進もうと思ってます」と話している。

画像は『CBC.ca 2023年6月1日付「Vancouver cupcake thief ‘profusely’ apologizes to bakery, offers to pay for repairs」(Submitted by Emma Irvine)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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