SUV時代の「小さな高級車」 世界初公開!
レクサスが、新型コンパクトSUV「LBX」のプロトタイプを、イタリアで行われたメディア向けイベントで世界初公開した。
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日本での発売は、今秋以降を予定している。
LBXは、レクサス車では最も小さなサイズのモデルとなる。だが、ブランドホルダーであるトヨタ自動車会長の豊田章男氏の「これまでの高級車の概念を変える、コンパクトサイズながらも走りやデザインも上質である“サイズのヒエラルキーを超えたクルマ”を作りたい」という想いから、「本物を知る人が、素の自分に戻り気負いなく乗れる」ことを目指したという。
簡単に言ってしまえば、「小さな高級車」を目指すということだろう。
高級車というと、大きなクルマのイメージが強い。かつて、1960年代に登場したイギリスのバンデンプラ・プリンセスは「小さな高級車」と世界的に評価された。
21世紀に入ってからは、トヨタとアストンのコラボレーションで、トヨタiQをベースに生まれたアストン マーティン・シグネットの例もあるが、「小さな高級車」の成功例は多くない。これに挑戦する、レクサスの意気込みには期待したいところだ。
なお、今回発表されたのはプロトタイプであり、サイズ以外のスペック・価格などは未公開。日本仕様の発売前には詳しい情報が公表されると思われる。
では、「レクサス・ブレークスルー・クロスオーバー」の頭文字を車名にしたという「LBX」、その概要を紹介していこう。
サイズ、ユニファインドスピンドルについて
プロトタイプではあるが、LBXはボディサイズだけは公表されている。全長4190×全幅1825×全高1560mm、ホイールベースは2580mm。
サイズ的には、トヨタ・ヤリス・クロス、日産キックスに近いが、レクサスというブランドを考えると、日本市場のライバルは輸入コンパクトSUV、フォルクスワーゲンTクロスやDS 3あたりになるだろうか。
デザインコンセプトは、「プレミアムカジュアル」。サイズのヒエラルキーを超えた上質さと存在感を併せ持ち、高い審美眼を持ったユーザーが日常でカジュアルに使えるコンパクトクロスを目指している。
外観は、クラスを超えた大径タイヤを採用し、スタンスの良いダイナミックなプロポーションを実現。
フロントフェイスには、これまでの「スピンドルグリル」や「スピンドルボディ」に代わり「ユニファインドスピンドル」を採用した。
これは、2003年発表のコンセプトカー「LF-S」に採用された「レゾリュートルック」に原点回帰したもの。低い位置に配置されるラジエターまでスピンドル形状を上下に圧縮しながら、フードとバンパー間のスリットがヘッドランプに繋がりレゾリュートルックを構成。フロント全体を包括的に捉えた「ユニファインドスピンドル」として刷新した。
リアビューは、ライセンスプレートをバンパーに配置し、すっきりしたバックドアにLEXUSロゴを配して、低重心でシンプルな塊感を強調。テールランプは、Lシェイプの一文字シグネチャーを踏襲し、バックドアの造形に呼応するように配された一文字グラフィックで独自性を表現した。
オーダーメイドもできる「内装」
インテリアは、最近のレクサス車に共通の「タズナ・コンセプト」を採用しながら、気負うことなくリラックスしてクルマとの一体感を楽しめる空間を目指した。
水平基調でシンプルな造形のインストルメントパネルは開けた視界を確保し、運転に集中できる。また、メーターフードからドアトリムまでつながる造形テーマにより、空間の広がりとコンパクトな手の内感を両立している。レジスターを造形に取り込み、機能部品としての主張を抑えることで、乗員を包み込むテーマを強調したという。
センターディスプレイからコンソールにかけては、高さを抑え傾斜させることで室内と一体感を増し、操作しやすい高さを追求。メーターには12.3インチの大型フル液晶を搭載したほか、64色のアンビエント イルミネーションも採用している。
また、LBXではユーザーのライフスタイルに寄り添ったクルマを提供するという想いから、5つの世界観から選べる新グレード体系を設定した。
クール(COOL)
本革とウルトラスウェードのコントラストと、遊び心のあるステッチ&刺繍がシンプルで洗練されたモダンな空間を表現。
リラックス(RELAX)
セミアニリン本革による上質感に、サドルタンカラーと手の込んだ刺繍をあしらい、車格を超えたプレミアムな空間に。
エレガント(ELEGANT)
さりげないサテン縫いの刺繍で空間に味わい深い表情を引き立て、次世代モダンインテリア空間を表現。
アクティブ(ACTIVE)
ブラック合皮に高彩度レッドの刺繍とステッチをあしらい、スポーティな中にも上品な遊び心を付与。
アーバン(URBAN)
ブラックを基調にダークグレーのファブリックをコーディネートし、都会的かつスタイリッシュな空間を演出。
さらに、表皮色/シートベルト/ステッチ糸の色替えなど、ユーザーがカスタマイズできるオーダーメイドシステム「ビスポーク・ビルド」も設定し、約33万通りのバリエーションからオリジナルのコーディネートが楽しめる。
注目 外から見えない作り込み
LBXには、トヨタのコンパクトカー向けTNGAプラットフォーム「GA-B」が採用されている。
すでにヤリス・クロスなどに採用されているものだが、ボディ骨格の接合に短ピッチ打点技術や構造用接着剤の採用部位を拡大するなど、局部剛性アップに取り組み、レクサス専用の開発を施した。その結果、軽量・高剛性・低重心なボディをベースに慣性諸元のさらなる最適化を追求している。
サスペンションは、フロントは新開発のマクファーソンストラット式、リアはFF用がトーションビーム式、4WD用がトレーリングアーム式2リンクダブルウイッシュボーンを採用。新開発のショックアブソーバーとともに、操縦安定性と乗り心地を高次元で両立させた。
パワートレインは、高効率な1.5L 直3エンジンの「M15A-FXE」とモーター出力を向上した軽量でコンパクトなトランスアクスル、高い電池出力のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載したHEV(ハイブリッド)を設定。
また、音・振動の発生源を抑制する源流対策にこだわり、エンジンノイズや振動の低減を徹底した。このあたりは、コンパクトSUVとはいえ「レクサス」ブランドの最新モデルであるという“矜持”から達成されたものだろう。
軽自動車からハイエンドのプレミアムモデルまで、SUVブームの波は、日本はもちろん世界中でとどまるところを知らない。
そこに、LBXによってクラスレス・コンパクトで新しいラグジュアリーの価値を提供しようとするレクサス。この「小さな高級車」が日本で、世界で、どう評価されるのか注目しておきたい。
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