カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 インフレが上昇し続けるアメリカでは、万引き率がさらに増加している。

 去年の夏、店でスパムが鍵のかかったケースに入って販売されている状況をカラパイアでもお伝えしたが、今年に入って事態は深刻さを増しているようだ。

 買い物客は、ロックされていない商品を探すのが困難なほど、店内のほとんどの商品は鍵がかけられた透明の棚に入っているという。

【画像】 店内のほとんどの商品が鍵のかかったケースに入れられて販売

How Shoplifting Epidemic Is Changing Grocery Stores

 アメリカを悩ませている万引き危機は深刻化している。

 現在、買い物客は、最も基本的な必需品でさえ手に入れるのに苦労している状態だ。というのも、商品のほとんどが厳重な鍵をかけた状態で棚に閉じ込められているからだ。

・合わせて読みたい→アメリカの住宅事情。平均的なアメリカ人には、国内の7割の地域の家は高すぎて手が出ない

 昨年の夏、マンハッタンの港湾局にあるデュアン・リード店では、3.99ドルの安肉スパム缶がプラスチック製の盗難防止ケースで保護されていたが、今では半額の粗悪なマグロ缶でさえ、同様の扱いとなっている。

 ニューヨークの複数の店舗では、食器用洗剤(2.19ドル)、ワセリンリップクリーム(2.79ドル)、子供用歯ブラシ(3.99ドル)、キャドバリーチョコレート(3.99ドル)、ツナ缶(1.79ドル)などの商品は、鍵がかけられた戸棚に入っているため、買い物客はベルを鳴らして従業員を呼び、商品を取ってもらわなければならない。

買い物客ら、万引き防止措置に不満の声

 買い物客のカレン・ブラウンさん(62)は、ポート・オーソリティバスターミナルのデュアン・リードで抗ヒスタミン薬を購入しようとしたが、わざわざベルを鳴らしてスタッフを呼ばなければならない不便さに、「まったく迷惑でしかない」と不快感を抱いている。

 ブルックリン在住のケイ・オニールさん(37)は、ますます多くの商品に鍵がかかっているため、買い物をするのが面倒になるだけだと強調した。

もはや闘いですよ。店舗でスタッフが商品のロックを解除するのを待っていることで、一日が長くなるのです。

店は、必需品をいくつか買うためのちょっとした立ち寄り先だったのに、今や不便な店へと変わってしまったという感じですね。

しかも、選んだものと別のものが欲しいと思い直した場合は、2回ベルでスタッフを呼ばなければならないですからね。

 最近、全国小売業連盟が全国の買い物客5,000人を対象に実施した新たな調査によると、現在消費者の約75%が、横行する盗難を避けるために、商品が棚に閉じ込められている店舗で買い物をするようになっていると回答している。

[もっと知りたい!→]ニューヨークのATMの利用手数料がなんと2200円!

 こちらの店では、日焼け止め以外は、すべて鍵のかかったケースの中に。

ニューヨークでは過去5年で小売店での盗難率が77%増加

 ニューヨーク市警の最新統計によると、ニューヨークでは小売店での盗難が過去5年間で77%急増した。

 小売店の取り締まりに警察官が増え、エリック・アダムス市長が待望の小売店窃盗戦略計画を推し進めているにもかかわらず、今年の事件数はこれまでのところわずかに減少したにすぎない。

 データによると、今年3月末までに報告された小売店での盗難件数は、13,738件だったのに対し、2022年の同じ期間での件数は14,790件だった。

 全米小売業連盟の調査では、回答者の半数が、警察や裁判所は万引き犯に対して寛大すぎると回答している。

 元ライカーズ島刑務官のブラウン氏は、このように語っている。

万引きをする者は犯罪を続けるので、事態は変わることはないでしょう。

経済が失速しているだけであり、止まったわけではないですから。万引き犯のなかには、商品の棚全体を持って逃げ出す者がいるようです。

でも、逮捕されることはなく、警告だけで家に帰されます。

 また、退職した学校職員エミリー・ミルバウアーさんは、次のように意見を述べた。

今年第1四半期に市内の万引き逮捕数がわずかに減少したのは、現在封鎖されている製品の数のせいだと思いますが、間違ったことをした人々を逮捕すべきです。

でも、そうしない。それが今の社会の現状です。

 現在、ニューヨーク州の保釈法の下では、1,000ドル未満の品物を盗んで逮捕された犯人は、保釈の対象とならない軽罪である軽犯罪で問われる可能性があるという。

 なお、鍵をかけたケースに商品を並べていない小売店では、客は欲しい商品の商品カードを持ってレジに行き、レジ係から商品を受け取るという措置を取っているところもあるそうだ。

 いずれにしても、万引きを軽減するために、手に取って商品を見てみるということが困難になっている現状に、多くの買い物客は不便を強いられているようだ。

References:Shoplifting crisis is so bad shoppers struggling to find non-locked-up items / written by Scarlet / edited by parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

万引きがさらに深刻化するニューヨーク。店内のほとんどの商品に鍵をかけるように