小学校高学年の子どもに「友だち同士でゲームセンターに行きたい」と言われ、対応に悩む保護者の声を取り上げた弁護士ドットコムニュースの記事<「小学生だけでゲーセン」悩める親たち 法的にはセーフだけど、トラブル懸念>に1300件を超える反響があった。

ヤフーニュースのコメント欄には「一人でお金を使う場所に行かせるには早すぎる」などの慎重派もいた一方、「(禁止するのは)過保護すぎる」「家庭でルールを決めて、守れる子ならOK」の容認派が多数を占めた。

子育て支援アドバイザーとして活動する元小学校長の柘植英次(つげ・えいじ)さんは「危険が付きまとう。小学生にはまだ判断能力がなく、トラブルに巻き込まれやすい」と警鐘を鳴らす。

ショッピングセンター内のゲームコーナーは「死角」

法律や条例では、子ども同士で日中に入店することを禁止する規定はない。ルールを定める学校やゲームセンターもあるが、最終的には各家庭の判断に委ねられることになる。

柘植さんは40年以上の教員生活を終えてからも、トラブルに巻き込まれる子どもや保護者の話を複数見聞きしてきた。特にトラブルが起きやすいのは、ショッピングセンター内にあるゲームコーナーだという。

「金銭を要求する『たかり行為』の多くは、ゲームコーナーで起きています。保護者も買い物のためにその場を離れることがあり、店員も少ない。ゲームセンターよりも敷居が低いので、死角になっているといえます」

夏休み中に見回りをしていたときは、トラブルに巻き込まれている子どもに多く出くわした。数人の少年に「金、出せよ」と囲まれている小学生2人組などを見かけたこともある。

「小学生は、中高生に声をかけられると、こわくてトイレなどについていってしまうんです。『(金を)貸してくれよ』と言われて返してもらえなかったり、『どこの小学校? バラされてもいいのか?』などと脅されたりする場合もあります。子どもたちは、言いふらされたりSNSで拡散されたりするのでは?とこわくなって、お金を渡してしまう」

●「何事も経験させる」べき?

たかられたり、ゲームにハマったりして、家族の金に手を出してしまう子どももいる。封筒に入れてある臨時用のお金やタンス預金からわからないように少額ずつ抜いたり、祖父母に「おこづかいが足りない」とねだったりするケースもあるという。

「親も気づきにくい。友達の保護者から『ゲーセンでおごってくれて、うちの子が喜んでいた』などと聞き、初めて発覚することもあります。気づいたときには、すでに5人で30万円以上使われていたということもありました」

多額の金を使ったことが発覚した後に、持ち出した子の親から「あなたの子どもも使ったのだから、返してください」と数万円の返済を求められることも。

「金銭トラブルが原因で『どちらの責任か』で夫婦喧嘩に発展したり、子どもを責めたりして、家庭崩壊につながることもあります。トラブルがあったとしても、『分かったでしょ。もう絶対にやったらダメ』と一度叱ったら終わり。責め続けてはいけません」

記事には「何事も経験。トラブルに巻き込まれて学ぶことも大事」との声もみられたが、柘植さんは「このような経験は悲しすぎる」と語る。

●子どもが「自分で自分の身を守れる」ように

子どもからみれば、ゲームセンターは魅力的な場所だ。「友だち同士で行きたい」と訴えられたときに、保護者はどのように対応すればよいのだろうか。

「なぜ危ないのかを伝えるようにしましょう。店内には商品を集めに来た人もいれば、『隙あらば金や商品を奪ってやろう』と考えている悪意のある人もいる。『あなたは、声をかけられたら、逃げられる?』と考えさせる。また、子どもと一緒に行き、どんなことに気をつければよいのかをその場で教えるのもひとつの方法です」

反響には「家庭でルールを決め、おこづかい内であれば、子ども同士で行かせてもよいのでは」との意見もあった。

柘植さんは「ゲームセンターは危ないことを十分に言い聞かせ、何かあったら『助けて!』と言えるような対応方法を教えているのであれば、行かせてもよい」としつつ、次のように訴える。

「大人になったら自分で、誘惑する人と戦えばよい。しかし、小学生にはまだ判断力がありません。重要なのは、保護者が子どもにセルフディフェンス能力(自分で自分を守る力)を身につけさせること。危ないことは危ないと教えて、自分でコントロールしていくことを教えていくべきだと思います」

あなたはどう思いますか? 子ども同士でゲームセンターに行くことの是非やルールを守って楽しむための方法、実際に起きたトラブルなど、ご意見や体験談を募集しています。

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小学生同士でゲーセン禁止は「過保護」?金銭トラブル多発…元校長が警鐘