スペインにある動物クリニックが先月、複数の獣医から安楽死を勧められたシベリアン・ハスキーに手術を行い、その命を救った。犬は鼻に大きな腫瘍があり、呼吸もままならなくなっていたが、手術の経過は良好だという。コロンビアのニュースメディア『El Espectador』などが伝えた。

アンダルシア州カディス県カディスに住むダミアンさん(Damián)の飼い犬でオスのシベリアン・ハスキー“レックス(Rex、6)” は先月、自宅から約900キロ(560マイル)離れた動物クリニックの獣医らに命を救われた。

レックスは鼻にできた腫瘍が急速に大きくなって視界が遮られ、呼吸が困難な状態になっており、地元の獣医数人に「手術はできない。長くは生きられないから、安楽死させたほうがいい」と言われて治療を拒否されていた。この腫瘍は犬の口腔にできやすい線維芽細胞のがん「線維肉腫」で、レックスは当時、顔にボールでもぶら下げているかのように鼻先が腫れ上がっていた。

しかしどうしてもあきらめきれなかったダミアンさんは今年4月、TikTokに愛犬の動画を投稿して「どうかレックスを助けて欲しい」と訴えた。

すると動画を見た動物保護団体の女性理事が「スペイン東部ビナロスの『ファウニヴェ動物クリニック(Faunivet Veterinary Clinic、以下FVC)』を訪れるといいわよ」とダミアンさんに紹介してくれたという。

FVCのフランシスコ・セラーノ獣医(Francisco Serrano)とナチョ・マルティン=マッチョ獣医(Nacho Martín-Macho)によると、女性理事はレックスの画像を送り「なんとかできないか」と聞いてきたそうで、写真を見て手術が可能と判断した。

こうしてFVCから連絡を受けたダミアンさんは、約900キロ離れたFVCまで車を走らせ、レックスは腫瘍切除と顔の再建手術を受けたのだった。

セラーノ獣医らは「レックスは当時、呼吸が困難で、食事も上手くできなくなっていてね。腫瘍は広範囲で感染症を起こしていた。手術は3時間以上を要したけど、合併症もなく無事に終わったよ」と当時のことを振り返る。

手術後のレックスは体重が増え、気分も良いようで、FVCのスタッフはレックスが普通の生活ができるようになったことを心から喜んでいるという。

なおこの手術後、レックスのケアは地元の獣医が引き継いでいるそうで、セラーノ獣医らはこう述べた。

「線維肉腫は転移の可能性が低いものの、再発の可能性は高い。でももし再発したとしても早めにケアを受け、前回のように腫瘍が大きくなる前に取り除くことができれば問題はないだろうね。」

ちなみにレックスの手術を快く引き受けたFVCのFacebookには、感謝のコメントがたくさん届いているようで、スタッフは反響の大きさに驚いているようだ。そしてこのニュースには「早く完全に回復するといいね!」「レックスの手術をしてくれた獣医らに感謝」「なぜ飼い主はここまで腫瘍が大きくなるまで治療をしなかったのだろうか」「治療を拒絶されているうち大きくなってしまったのかもね」「飼い主が諦めないでいてくれて良かったよ」「レックス、第二の人生を楽しんで!」「動画を見て獣医を紹介してくれた理事にも感謝だね!」といったコメントが寄せられている。

画像は『El Periódico Mediterráneo 2023年5月14日付「Una clínica veterinaria de Castellón salva la vida a un perro al que nadie quería operar」(JAVIER FLORES)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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