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 アメリカ・ミズーリ州の小さな町にある修道院が、現在予期せぬ巡礼地となっている。

 この修道院を創設し、2019年5月に95歳で他界した修道女の遺体が安置場所を変えるため、4年後の今年5月に掘り起こされたのだが、腐乱の兆候がほとんどみられず、埋葬時と変わらぬ姿だったのだ。

 このニュースが広まると、多くの人が「ミズーリ州の奇跡」と呼び、埋葬時の姿をとどめた修道女の姿を一目見ようと、多くの人々が集まっているという。

【画像】 神に身をささげた修道女ウィルヘルミナ・ランカスター

Nun’s body exhumed 4 years after death shows no decay, sparks ‘miracle’ claims | New York Post

 ミズーリ州の小さな田舎町ガワーに「ベネディクトメアリー修道院」を創設し、2019年5月に95歳で他界するまで、献身的に神に仕え続けたウィルヘルミナ・ランカスター女史は、セントルイスカトリック教徒の両親のもとに生まれた。

 5人きょうだいの2番目だったランカスター女史は、9歳のときの初聖体拝領の際に「イエスを見た」と主張したという。

 13歳のとき、ランカスター女史は修道女になることを決心。高校を卒業すると、すぐにその計画を実行した。

 敬虔なカトリック教徒として生きてきたランカスター女史は、70歳になって「Benedictine Sisters of Mary, Queen of the Apostles(ベネディクトメアリー修道院)」を設立した。

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 しかし、ランカスター女史が世界的にその名を知られることになるのは、死後4年経ってからのことだ。

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生前のウィルヘルミナ・ランカスター女史 / image credit:Screengrab

墓から掘り起こされた女史の遺体は変わらぬままだった

 今年5月18日、同修道院ではランカスター女史の遺体を礼拝堂の祭壇の下に安置するため、ランカスター女史の遺体が埋められてある墓を掘り起こした。

 女史が亡くなった後、遺体の防腐処理は施されず、簡素な木の棺に埋葬されただけだったため、墓地関係者からは「遺体は骨だけになっているだろう」と言われた。

 懐中電灯を持ったセシリア・スネル修道院長が、最初に棺に近付いて中を見たとき、周りにいた他の修道女たちから歓声が上がった。

 修道女たちが棺を完全に開けると、そこには腐敗の兆候がほとんどないランカスター女史の遺体があったのだ。

棺の隙間から中を覗くと、靴下を履いた完全に無傷な足があり、埋葬したときとまったく同じ姿でした。

最初は、ただもう信じられないという思いでした。(セシリア・スネル修道院長)

 ある修道女は、このように語っている。

仲間の修道女たちと交代で、ウィルヘルミナ女史の靴下を履いた足に触れたとき、とても湿っていたのですが、足がそのまま残っていました。

 遺体を埋めたときにかけられた土の汚れが、ランカスター女史の顔にかかっていて、特に右目がひどく押し下げられてしまっていたため、顔には蝋を塗ったと修道院は明かしている。

でも、女史のまつげや髪、眉毛、鼻、唇はそのまま残っていて、彼女の口はまさに微笑みかけているようでした。

 その後、修道女らがランカスター女史の遺体を持ち上げたところ、その重さは40kgほどあったそうだ。

 修道女たちは、ランカスター女史の体からカビを洗い流した後、遺体を礼拝堂の前に移した。

腐敗がほぼないランカスター女史は聖性の証?

 カトリックでは、腐敗の過程に逆らう遺体は「聖性の証」を意味するという。

 ランカスター女史は、おそらくアメリカで腐敗のない状態で発見された最初の黒人となると言われている。

 ローマカトリック教会は、何世紀にもわたって、不朽の遺体の数百例を記録してきた。

 しかし、一部の専門家によると、たとえ防腐処理が施されていなかったとしても、死後最初の数年間は遺体が良好な状態で保存されているのは珍しいことではないようだ。

 ウェスタンカロライナ大学の准教授兼法医学人類学ディレクター、ニコラス・パサラクア氏は次のように述べている。

一般的に、人体分解施設に遺体を埋葬する場合、遺体が白骨化するまでにおよそ5年かかると予想されます。

それは、棺やその他の容器や遺体を包む包装物がない状態です。

したがって、棺に埋葬されたランカスター女史の遺体については、4 年の間遺骨が良好に保存されていたようですが、個人的にはそれほど驚くべきことではありません。

 それでも、このニュースはSNSを通じて広がり、敬虔なカトリック教徒の大勢が、ランカスターの遺体を見にミズーリ州の小さな田舎町を訪れ、修道院は予期せぬ巡礼地となった。

Missouri town prepares for thousands seeing exhumed nun

「ミズーリ州の奇跡」として多くの人が修道院を訪れる

 現在、ランカスター女史の遺体は、「ミズーリ州の奇跡」と呼ばれ、保存状態の良い女史の遺体を一目見ようと、遠方から何百人という人が修道院に集まっている。

 カンザスシティから息子と妻と一緒に来た巡礼者のメアリー・ルー・エナさんは、「美しかった」と驚嘆の声をあげた。

最初は、ちょっと非現実的でした。 でも、彼女を見つめていると、涙が溢れてきて、それが本当に、とてもとても意味のあることだということが分かりました。

 また、カトリックのラジオ番組の司会を務めるロイス・フッドさんは、妻のエリスさんと6人の子供たちとともにランカスター女史の遺体を見に来た。

 イリノイ州ピオリアの自宅からは、車で5時間以上かかったそうだ。

世界には混沌と闇がたくさんあります。

神は、これから何が起こるのか、何が私たちを待っているのかを思い出させるために、小さな恵みを私たちに与えてくれているのだと思います。

 カンザス州オーバーランドパーク在住のロリ・ローズブラウさんは、このように興奮を口にしている。

今回の視察は、「神の御手」を見ることが叶った信じられないほど稀な機会でした。

聖人の遺体に触れ、祈ったと言える人はそう多くないでしょう。

今週、ミズーリ州ガワーへ旅行した何千人もの人々は、今ではそう言えると思います。

 なお、ランカスター女史の遺体は、5月29日までガワーの礼拝堂に展示され、その後は保護のためガラスケースに納められるということだ。

References:Nun’s body exhumed 4 years after death shows no signs of decay, sparks ‘miracle’ claims / written by Scarlet / edited by parumo

 
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神の奇跡か?墓から掘り起こされた修道女の姿が4年前に埋めた時とほぼ変わらず