6月7日、来週に迫ったラグビー日本代表合宿に参加する東芝ブレイブルーパス東京のメンバーたちによるオンライン合同取材が実施された。4度目の『ラグビーワールドカップ(RWC)』に臨むFL/No.8リーチ マイケルと21歳の201cmLOワーナー・ディアンズ、ノンキャップのCTBニコラス・マクラカン、WTBジョネ・ナイカブラという立場の違いは関係ない。代表合宿、そして『RWC2023』への意気込みは同じである。

リーチ「4度目の『RWC』、日本代表は大会ごとに成長していて、日本ラグビーにとってアウェイでの『RWC』は難しくもあり、楽しみでもある。この大会が日本ラグビーのバネになるように結果を出したい。 (合宿では)自分にフォーカスすることが大事。自分の実力もまだまだ証明しないといけないので、自分にフォーカスして臨みたい」

ディアンズ「今回選ばれてすごくうれしい。『RWC』はずっと昔からプレーしたいところだったし、日本代表でプレーするのはすごく楽しいので楽しみ。 (合宿では)フィジカルやワークレート、LOの仕事を意識したい。自分のワークレートをアピールしたい」

ニコラス・マクラカン(東芝ブレイブルーパス東京) (C)スエイシナオヨシ

マクカラン「すごくワクワクしている。すごくいいチャンス。ベストの中のベストとプレーできることをうれしく思う。合宿ではほかの選手とは違うもの、パスのスキルやフットワークをもたらすことができると思う。ディフェンス面で圧倒できるかがフォーカスになる」

ナイカブラ「先々週メンバー入りのアナウンスをもらってから、すごくワクワクしている。まずは自分の身体を正しい状態に戻すこと。試合どうこうの前に、この合宿で体作りをしていきたい」

経験の少ないディアンズマクラカン、ナイカブラだけではない。最多78キャップを誇るリーチも代表合宿のサバイバルレースを勝ち抜けなければならないと考えていた。
「セレクション。『RWC』どうこうではなく、このセレクションでアピールして、選ばれるという段階」

リーチは『NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23』でも自分にフォーカスしてシーズンを戦ったと振り返る。
「2019年はサンウルブズがあり、ウルフパックがあり、たくさん試合をする機会があった。今回は『リーグワン』の16試合はチームの戦術よりも自分のプレーフォーカスした。すごくセルフィッシュ(自己中心的)な考えだが、自分にとっては必要なことだった。(オーストラリア代表WTBマリカ・)コロインベテ、 (南アフリカ代表SHファフ・)デクラークら世界トップレベルの選手がきた。『トップリーグ』よりも接戦が多くなり、レベルが高く、世界一のリーグになる可能性を秘めている」

今季は体重を意図的に増減するなど試行錯誤も繰り返してきた。
「色々試してやっぱり身体をデカくするよりも身体を強くするのがいい。僕の場合はしなやかな動きが合っている。重くなるとガチガチの固い動きになるので、柔軟性のある動きができるようにトレーニングしていきたい。一発ドンッではなく、1000回くらいいけるようにしたい」

今季のパフォーマンスに対するジェイミー・ジョセフHCからのフィードバックもリーチは明かした。
「東芝は蹴らずにポゼッションするチームだが、いい位置にいようと考えて、セットする速さを意識したら、勝手にボールがくるようになった。ジェイミーからは『意識してやっているところはいいが、ここぞという時に疲れて何もできていない』というフィードバックがあった。『自分で勝とうとするのが良くない。ここぞという時に自分でやって、あとはうまく周りを使え』というフィードバック」

リーチは3度の『RWC』で一番悔しい試合と一番うれしい試合をこう挙げた。
「悔しい試合は2011年のオールブラックス戦。メンバーを大分替えて臨んだその試合が悔しい。これ(7-83の大敗)が日本の強さではないというのが悔しかった。うれしい試合はたくさんあるが、2015年の南ア戦(34-32)もそう、2019年のアイルランドに勝った試合(19-12)もうれしかった。どっちかと言うとアイルランド戦。自分にとって特別な試合。キャプテンを外れ、スタメンも外れて、難しい試合だったので、その分うれしかった。メンバーを外れて悔しいと言うよりも申し訳なかった。チームに申し訳ないし、ジェイミーにも申し訳なかった。試合に出たらやってやろうと思っていた」

リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京) (C)スエイシナオヨシ

フランスの地で狙うのは優勝のみである。
「僕は優勝を目指してがんばりたい。前回ベスト8を目標にしていたが、本当にトップのトップを目指したい。2019年大会に比べてまだチーム力がガッと上がってきていないが、ワーナー、(ディラン・)ライリー、ジャック(・コーネルセン)、(中野)将伍、次のステージへいける力がある。『RWC』ではスコッド全体の力が試されるので、この100日で仕上げていかないといけない。チームの中で優勝を目指しているので2019年大会とは違う」

勝利の鍵を握るのがゲームマネージメントだと言う。
「僕の中では日本代表はフィジカルもあって、セットプレーも安定して、戦術も良くてあとはどれだけゲームマネージメントするか。トップトップの試合を見るとフィジカルのところではなく、ゲームマネージメントのところで勝ち負けが付いている。たとえば5人ゲームマネージメントを判断する人間がいたとしたら、誰かがいなくなった時にどうするか。しゃべる人がいなくなった時に弱くなるので、そうならないように。プレッシャーを感じると個人個人になる。日本は個人個人になると一瞬でやられる。80分間ショットかモールか、その判断が大事」

残り3か月強化したいのはセットピースである。
「セットプレースクラム、ラインアウト、モールディフェンスが重要だと思う。2019年も準々決勝もスクラムが荒れて大変だった。(決勝の)イングランド×南アを見てもスクラムでやられた方が負けた。そこを強化しないといけない」

リーチ元主将は坂手淳史主将をこのように見ていた。
プレーが良くて、運動量があって、人の前で話すのが上手。長年優勝経験があり、どう勝っていくか理解している能力の高い主将だと思う」

リーチは改めて『RWC2023』で結果を出す重要性を説いた。
「負けたけどいい試合では難しい。昔の日本代表。負けたけどいい試合というのが一番危ないメンタリティ。内容がいいかもしれないが、認めるとダメ。結果がすべて。期待もあるし、結果を残すことがラグビー界にとって、見ている人にとって、結果を残して、勝って帰ってくるのが一番インパクトになる。野球(『WBC』)を見てもそう思う」

ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京) (C)スエイシナオヨシ

ワーナーらは次のようにコメントした。
ワーナー「体の準備が大事だが、自分が大事にするのはメンタルの部分。すごく大事な大会、試合になると思うが、考えすぎない、プレッシャーで動けなくならないようメンタルの準備が大事になる。今オフの時間はオフであまりラグビーのことを考えていない。合宿がはじまればタフな練習がはじまるので。
(『RWC』まで残り3か月) 合宿を考えると長く感じるが、短い。そんなに時間はない。去年の試合を考えると、チームも自分個人もいい形で成長しているとも思う。オールブラックスにギリギリ(31-38)で負けたり、フランスにも負けた(7月は23-42、15-20、11月は17-35)が、接戦に持ち込んで成長していると思った。今回の合宿でまた成長していけると思う。
一番背の高いなので、長身を生かしたプレーをできるだけやってチームに貢献したい。今のラグビーはキックバトルがすごい。テリトリーやポゼッションを取りたいので、『RWC』ではすごいキックバトルになると思う。トニー・ブラウン(アシスタントコーチ)が何か考えると思うので、キックチャージとか貢献したい」

ニコラス「子どもの時はオールブラックスプレーしたいと思っていた。その気持ちが変わってきたのは帝京大1年で(『大学選手権』で)優勝した時。その時から気持ちが変わった。ファンもよくしてくれた。日本でプレーするのが気に入るようになったし、日本代表を意識するようになった。
(日本代表は)すごくワクワクするエキサイティングなラグビーしている。自分はパスでどんどんボールを展開するタイプなので、自分に合うと思う。
(コーチ陣から)ビッグスコッドに自分が入る可能性があると聞いた時は驚いた。『RWC』イヤーに新たに自分が入るというのは驚きだった。コーチからのフィードバックではディフェンスでタックルにいっているが、もっとドミネートしてくれと言われた」

ナイカブラ「何回か合宿を経験し、テストマッチでプレーはできなかったが、自分自身チャレンジに感じた。大変だったが、コーチ陣からフィードバックをもらっていたので、代表スコッドに戻るために自分のやるべきことをやろうと、日本代表に入るチャンスを逃さないようプレーしてきた。
スピードは強みだと思っている。それ以外の部分を継続して取り組むことでプレーするチャンスをもらえると思うので、試合ではいいプレーをしたい。
(ケガは)最終戦ではかなり良くなっていた。順調に回復していた。トップ4には入れなかった分、リカバリーの時間が長くなったのは良かった。」

ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京) (C)スエイシナオヨシ

日本代表は6月12日(月)~30日(金)・浦安合宿、7月3日(月)~8月3日(木)・宮崎合宿を実施。ジャパンXV として7月8日(土)・秩父宮ラグビー場にて『リポビタンDチャレンジカップ2023』オールブラックスXV戦に臨み、その後日本代表として7月15日(土)・えがお健康スタジアムにてオールブラックスXV戦、 7月22日(土)・札幌ドームにて『リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ』サモア代表戦、7月29日(土)・東大阪市花園ラグビー場にてトンガ代表戦、 8月5日(土)・秩父宮にてフィジー代表戦に臨む。オールブラックスXV戦のチケットは6月10日(土)一般発売。『パシフィックネーションズシリーズ』のチケットは6月14日(水)~15日(木)・先行抽選販売、6月24日(土)一般発売。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

リポビタンDチャレンジカップ2023/リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズのチケット情報
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リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)