明治安田生命J3リーグで現在8位につけるいわてグルージャ盛岡

昨季、初のJ2を戦ったものの、残念ながら最下位となり1年で降格。チームを率いていた秋田豊監督はシーズン終了をもって退任した。

そんな岩手だが、昨年10月24日、運営会社である株式会社いわてアスリートクラブの代表取締役社長兼オーナーに、監督を務めていた秋田氏が就任している。

そこには、ホームスタジアムを巡る“のっぴきならない状況”があった。

以下は、秋田氏の社長就任に伴い代表取締役オーナーを退任したNOVAホールディングス株式会社の代表取締役社長、稲吉正樹氏の退任挨拶だ。

皆様にはグルージャ共々大変お世話になり有難うございます。
私は3年前の今日、2019年10月25日から3年間オーナーを務めさせて頂きました。
今回、J3降格が決定的となり皆様を失望させる結果となってしまいましたこと、県民の皆様には、私のオーナーとしての力不足をお詫びします。申し訳ありませんでした。

今回の決定は、スタジアム建設のタイムリミットが近づく今、正に「県民一岩」の機運が必要だと判断したためです。
グルージャが県外企業であるNOVAの連結会社ではなく、今やグルージャの顔であり、サッカー界のレジェンドである秋田新オーナーがクラブを牽引し、そしてNOVAが引き続きメインスポンサーとしてグルージャをサポートする。
そのような布陣を組むことが、新スタジアムを実現し、グルージャを更に前進させると考え、決断しました。

個人的にはオーナーとして楽しいことばかりで、関係者の皆様には心から感謝申し上げます。この3年で岩手・盛岡そしてグルージャは私にとりかけがえのないものとなりました。
これからも大好きなグルージャを皆様と共に応援して参ります。
引き続き「いわてグルージャ盛岡」を宜しくお願い致します。
3年間有難うございました!

いわてグルージャ盛岡は現在、盛岡市にある「いわぎんスタジアム」こと盛岡南公園球技場で主にホームゲームを開催している。

同スタジアムはメインスタンドを挟んで東側にAグラウンド、西側にBグラウンドが配置されており、岩手がJリーグで使用しているのはAグラウンド。

2020年から2021年にかけて事業費の一部をNOVAホールディングスと関連会社が「企業版ふるさと納税」で負担する形で照明設備も設置された。

ただ、収容人数はJ3基準の5千人にも満たない4,946人であり、屋根もほぼない状況。そうしたなか、岩手は2020年9月に以下の「例外規定」を利用する形で2021シーズンからのJ2ライセンスの承認を受けている。

1. スタジアム整備において、条件を満たした場合の猶予期間を設置
【例外規定1】着工しており3年以内に完成可能であれば、上位ライセンス取得可能
【例外規定2】Jリーグが掲げる理想的なスタジアムを整備いただけるのであれば、5年の猶予を認め(例外1との併用も可能)、上位ライセンス取得可能

これにより、2022シーズンのJ2初昇格を実現できた一方で、スタジアム整備に関して明確なタイムリミットが設定されることになった。

具体的には、2024年6月までに建設計画を策定し、2026年6月までに着工、2028年2月までに完成することが求められる。地元の岩手めんこいテレビ(mit)が現状について特集を組んで伝えている。

「本当に僕たちは崖っぷちに追い込まれているんだということを改めて分かっていただきたい」と語った秋田豊監督。

番組内で触れられているように、解決のための選択肢は2つ。新スタジアムを建設するか、あるいは現在のいわぎんスタジアムを改修するかだ。クラブとしては費用を抑えるため、現スタジアムの改修案で進めたい考えだが、スタジアムを所有する盛岡市岩手県は慎重な姿勢を見せている。

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一度J2に上がったことで「33億1300万円」の経済波及効果が算出されるなど、クラブの価値を示すことができつつあるいわてグルージャ盛岡。スタジアムに関しても地域とともになんとか良い解決策を導き出してほしい。

新スタジアム整備の“タイムリミット”が迫るいわてグルージャ盛岡…秋田豊社長「崖っぷちに追い込まれている」