音楽の力が紡ぎだす未来へ

そんな思い出もつきない第一弾のコンサートから、更にパワーアップした今回の2023年『sings ジブリ』では、どんなセットリストが組まれるのかにも期待が高まる。

風の谷のナウシカ』でナウシカ役、『となりのトトロ』でお母さん役、『もののけ姫』ではトキ役を務め、ジブリファンにはおなじみの声優であり、2019年に角野隼斗のピアノとアレンジで『singsジブリ  リニューアルピアノバージョン』を発売したことが、この『singsジブリ』コンサート開催のきっかけになった島本須美

そのアルバムの音楽を担当し、ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストの栄誉を得たのち、数々のオーケストラと共演しつつクラシックフィールドにとどまらず、クラシック音楽で培った技術に、即興演奏の醍醐味を融合した独自のスタイルを持つ新時代のピアニストとして、“Cateen(かてぃん)“名義で活動する、 YouTubeチャンネル登録者数120万人突破を誇る角野隼斗。

音楽大学在学時より数々の国際コンクール、オーディションで受賞し、ピアニストとしてのソロリサイタル等の活動と並行して、アーティストのサポートや、現在ではテレビ、映画、アニメ、ゲーム、東京オリンピックCM等の楽曲制作も手掛け、YouTube動画視聴回数2億回以上、チャンネル登録者数58万人超えの人気で、自身のバンド「アノアタリ」では、キーボード・作曲も担当している菊池亮太の、2022年からの続投となる三名が再び集結。

それに加えて、『天空の城ラピュタ』の挿入歌「君をのせて」、『となりのトトロ』のオープニング主題歌「さんぽ」、エンディング主題歌「となりのトトロ」を歌った、ジブリメロディーのミューズ井上あずみが初参加。

更に「ひとり寝の子守唄」「百万本のバラ」「知床旅情」などの、日本の音楽シーンに残るヒット作を持ち、スタジオジブリ作品『紅の豚』では劇中歌「さくらんぼの実る頃」、エンディング曲「時には昔の話を」を歌っただけでなく、声優としてマダム・ジーナ役も演じた日本を代表する歌手の一人、加藤登紀子がSpecial guestとして参加することが決定。時を超えて愛され続けるジブリ作品の音楽たちが、ピアノと歌と作品ゆかりの面々が語る楽しいエピソードとナビゲートで奏でられ、ここにしかない『sings ジブリ』の世界が展開されていく。

人選からしても「風の谷のナウシカ」「君をのせて」「さんぽ」「さくらんぼの実る頃」「時には昔の話を」が聞けることはまず間違いないだろう。映画『風の谷のナウシカ』が公開された1984年にはまだ生まれていなかったという角野と菊池が、名曲を自由なアレンジで演奏する姿に、ジブリメロディーが時代を超え、不朽の名曲として歌い継がれ、弾き継がれていることが端的に表れるコンサートに、オリジナル歌手である島本、井上あずみ、加藤登紀子が揃う奇跡のコンサートから届けられるものは、果てしもなく大きいに違いない。

そんな新たなコンサートからあなたは何を受け取るだろう。是非、一人ひとりの大切な思い出と、更に楽曲がつなげる未来とを、東京国際フォーラム ホールAの空間いっぱいに広がるジブリメロディーワールドから感じとり、新たな思い出を作って欲しい。そこにはきっとこれからの人生を支えてくれる、音楽の力が紡ぎだす美しい光景があるはずだ。

文=橘涼香