20101207_kyoutsuubangou.jpg 2010年12月5日わたしたち生活者のための『共通番号』推進協議会」の発足シンポジウムが開催され、国家戦略担当大臣の玄葉光一郎氏や各政党の代表者、有識者たちによる制度導入の目的、制度のあり方についての討論が行われた。

 今回の討論で与野党4党は共通番号の導入については推進していくことで一致したが、その導入方法、導入範囲については見解が別れる結果となった。

 「共通番号制度」とは国民全員に個別番号を割り振り、効率的に管理しようとするシステムで、2002年「住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)」が導入された時に議論された"国民総背番号制"と同様のものである。ただし、今回の「共通番号」は、住基ネットとは違い、社会保障、税など、より広い範囲で共通の番号を適用しようとするものであり、現在、年金、パスポートなど分野ごとに番号を付与するといった、縦割り管理によるシステムの重複投資を改善するという目論見がある。

 来賓挨拶に登場した菅直人首相は「番号制度ができれば医療、年金、介護のサービスは、社会にとっても公平、公正にできる」と共通番号の意義を強調。政府は昨年の衆院選マニフェストにも共通番号導入を明記しており、来年6月に大綱を作成した上で同年秋の臨時国会での法案提出を目指している。

 しかし、共通番号の下で管理する情報の範囲については、政府・民主党社会保障と税の分野でスタートさせたいと目標設定していることに対し、野党は「広い行政分野も対象にすべきだ」(自民党政調会長・石破茂氏)と意見が割れており、石破氏はさらに「ハザードを起こさないよう、段階を踏んで浸透させることが重要」と急速な導入を避けるべきだという見解も示した。

 さらに公明党の井上義久幹事長は「所得に応じた社会保障給付が可能なので、与野党の協議機関を設置してはどうか」と提案。それに対し、民主党玄葉光一郎政調会長は「まず政府与党の協議会でたたき台をつくり野党に示したい」と応じ、主要政党の足並みがそろった結果となった。

 この先、与野党協議が本格化する見通しだが、作業の効率化から戸籍制度が実質不要になるほど広範囲な適用が可能な制度となっているため、個人情報保護の観点から反対論・慎重論も根強い。さらに漏洩の危険性に対する防止策なども含め、共通番号問題はさらなる論議を重ねる必要がありそうだ。

わたしたち生活者のための「共通番号」推進協議会 発足シンポジウム
http://live.nicovideo.jp/watch/lv33590658
2010/12/12(日)まで視聴可能

村井克成