2023年8月10日(木)~ 8月13日(日)新国立劇場 小劇場にて、新国立劇場演劇研修所第17期生公演 朗読劇『ひめゆり』が上演される。

本作は、新国立劇場が2005年に設立し、レッスンを行っている演劇研修所による公演。

演劇研修所では、毎年夏に過去の歴史に向き合う機会として広島と沖縄をテーマにした朗読劇を上演している。2023年8月におくる、本朗読劇は、実際にひめゆり学徒隊に従軍した方々の手記を、道場禎一と演劇研修所副所長を務める西川信廣が構成し、瀬戸口郁が朗読劇の形に脚本化した、太平洋戦争末期沖縄戦ドキュメンタリー・ドラマ。多数の犠牲者を出した沖縄戦の悲劇を決して忘れてはならない、二度とこの惨禍を繰り返してはならない、平和の尊さを叫ばなければという力強いメッセージが込められた本作を、2016年の初演以来、演劇研修所では大切に上演し続けている。

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より      撮影:宮川舞子

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より      撮影:宮川舞子

「ひめゆり学園」という呼称で親しまれた第一高等女学校と沖縄県女子師範学校は、沖縄本島ほか宮古諸島や八重島諸島など、周辺地域一帯の女学生にとって憧れの学校だった。教職を志し、厳しい入学試験を突破した十代の女子生徒たちが、のどかで平和な学園生活から一変、戦争の悲劇に巻き込まれていく。戦況が深まるにつれて女学生たちは、学業に勤しむことができず、排水溝整備といった勤労動員、戦傷者の看護のため陸軍病院へと動員された。砲弾が飛び交う中での水くみや食料調達、重病患者の運搬の描写は実に生々しく、いかに戦争が恐ろしく不幸をもたらすものかと追体験させられる。

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より     撮影:宮川舞子

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より     撮影:宮川舞子

作品中で繰り返される「命(ヌチ)ドゥ宝(タカラ)」とは、沖縄の言葉で「命こそもっとも大切だ」という意味。多くの犠牲者を出した沖縄戦の悲劇を決して忘れてはならない、二度とこの惨禍を繰り返してはならない、平和の尊さを叫ばなければという力強いメッセージが本朗読劇には込められている。

平和への願いをこめて、新国立劇場演劇研修所第17期生と修了生出演者が上演する。

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より     撮影:宮川舞子

朗読劇『ひめゆり』2022年公演より     撮影:宮川舞子

 
【ものがたり】
南国の太陽が輝く相思樹(ソウシジュ)並木の道。
那覇と首里の間、安里駅近くに
沖縄師範学校女子部
沖縄県立第一高等女学校
―通称「ひめゆり学園」と呼ばれる女学校があった。
女生徒たちは誇り高く、勉学に運動に活気に満ちた学園生活を送っていた。
しかし―昭和 20 年 3 月。太平洋戦争の大波は沖縄に押し寄せ、女生徒たちに従軍命令が下される。
ひめゆり学徒隊」として戦場に送り出された彼女たちは日本の勝利を信じ、野戦病院で献身的な
看護活動に励むが、やがて沖縄は「鉄の暴風」吹き荒れる苛烈な戦場と化していき……
 

宣伝美術クレジット:荒巻まりの(第8期修了) 

新国立劇場演劇研修所第17期生公演 朗読劇『ひめゆり』