──そもそも財務省に増税を決める権限はないですよね?

森永 ザイム真理教は政治家を“洗脳”して意のままに操ってきました。増税反対を訴える政治家がいたとします。そこに、すごく口のうまい財務省の官僚が毎日のように訪れて、「レクチャー」とか「御進講」という形で増税の必要性を説くのです。例えば09年の政権奪取後に“増税派”に転向した野田佳彦元総理。その変節ぶりには驚かされました。菅直人元総理など、これまで幾多の政治家がマインドコントロールに屈してきた中で、安倍晋三元総理は周囲を経産省出身者で固めて、財務官僚と戦った稀有な政治家でした。大規模な財政出動を打ち出し、消費税10%への引き上げを2度にわたって延期したのですから。森友学園の国有地売却問題がなければ、3度目の延期もあったかもしれないと私は思っています。

──すると、「防衛増税」を打ち出した岸田文雄総理もやはり‥‥。

森永 岸田総理は就任前、金融所得課税を引き上げて、富裕層から金を取って庶民にバラまくようなことを言っていたのに、あっという間に籠絡されてしまいました。緊縮財政や扶養控除の縮小などのステルス増税がその証拠。私の知る限り、ザイム真理教の手にかかっていない政党は、れいわ新選組くらいですよ。先日、山本太郎代表に財務省の官僚から接触があったかどうか聞いたら「1度も来たことがない」とおっしゃっていましたけどね。

──財務省タブーを暴くのはよほどリスキーだったのでは?

森永 相手は財務省だけではありません。財務省に批判的な本を出した出版社には、国税局から査察が入って、「なんだこの銀座の領収書は!」なんて突かれるかもしれないし、予算を握られている警察が動くことだって考えられます。私だって、何を口実に逮捕されるかもわからない。それでも65歳になって、最後に本当のことを言ってやろうって。それこそ本を出版してくれた社長と2人だけの戦いですね。

──まさに一揆! 享保の百姓一揆では多くの農民が打ち首となりましたが、庶民はどうすれば?

森永 これからの増税地獄から抜け出すには、経済的に「逃散」するしかない。つまり、稼がなければいいのです。収入がなければ税金も社会保険料も低く抑えられますから。ないものは取られない。最悪なのは、大都市の中心部に住んで、高い生活コストを捻出するために家族総出で働いて、ごっそり国に持っていかれるパターン。私のように、都心から離れたトカイナカで暮らして、最低限の食糧や電気は自分で賄えるようにすればいいんです。

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