和洋中問わず、レシピが豊富な「キャベツ」。スーパーで通年購入できるため、1年中食卓で大活躍する野菜です。ところで、皆さんはキャベツの中心にある「芯」の部分をどうしていますか。大きく「取り除いて捨てる」人と「食べる」人に分かれるのではないでしょうか。ネット上では、「芯も食べるよ」「火を通すと甘くなっておいしい」「栄養がありそうだから食べます」という人と、「捨てる部分だと思ってる…」「硬いから食べません」「食感がよくなさそうだから食べずに捨てている」という人に分かれるようです。

 キャベツの「芯」は食べるのか、それとも捨てるのか、どうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

芯の部分は“栄養の貯蔵庫”

Q.そもそも、「キャベツ」とはどんな野菜ですか。

岸さん「キャベツは、ブロッコリーカリフラワーなどと同じアブラナ科の野菜です。年間を通じて出回っていますが、収穫期は大きく分けると4~6月、7~10月、11~3月の3回あります。

早春から初夏にかけて出回る『春キャベツ』は巻きがゆるく、葉がやわらかくてみずみずしいので、サラダなど生食に向いています。冬に出回る『冬キャベツ』は、しっかりと巻かれていて葉が固く、煮崩れしにくいため、ロールキャベツなどの煮込み料理に最適です。また夏場に出回る『夏秋キャベツ』は主に高冷地で栽培され、春キャベツと冬キャベツの中間的な特徴があります。

他にも、紫~赤紫色の葉をしたポリフェノールが豊富な『紫キャベツ』や、直径が3~4センチほどの一口サイズが特徴的な『芽キャベツ』といった種類もあります。

栄養価としては、キャベツの絞り汁から発見されたことから“キャベジン”とも呼ばれている『ビタミンU』を豊富に含みます。ビタミンUは胃腸の粘膜を丈夫にしたり、胃壁の修復を助けたりする働きがある水溶性ビタミン様物質です。その他、ビタミンCビタミンK、カリウム、カルシウム、食物繊維などが比較的多く含まれます」

Q.キャベツの中心にある「芯」には、どんな栄養素が含まれているのですか。

岸さん「キャベツの芯には葉の部分と同様の栄養素が含まれていますが、芯を通って葉に栄養が回るので、芯の部分はいわば“栄養の貯蔵庫”です。そのため、芯にはカルシウムやカリウム、マグネシウム、リンが結球葉(丸まっている葉部分)の約2倍、食物繊維が1.5倍多く含まれています。

また、キャベツの芯は甘味成分の『アラニン』が2倍以上、糖質の一種『スクロース』が9倍以上、葉の部分より多く含まれます。これにより、キャベツの芯は甘みが強く、加熱することでさらにその甘みを感じることができます。さらに、うまみ成分である『グルタミン酸』も含まれるため、だしとして活用することも可能です」

Q.キャベツの芯について、「食べる」人と「食べない(捨てる)」という人に分かれるようですが、この部分はどうするのがよいのでしょうか。

岸さん「先述したように、芯の部分には葉の部分よりも多くの栄養素が含まれており、捨てるにはもったいない部分ではありますが、葉よりも多少青臭さがあります。青臭さは加熱すると比較的抑えられますが、人によっては気になるかもしれません。

また、葉の部分よりも硬く、調理法によっては食べにくさもあると思うので、苦手な場合は無理に食べる必要はないでしょう。ただ、栄養価は非常に高いので、おいしく調理して、無駄なく摂取できたらいいですね」

Q.キャベツの芯をおいしく食べるための調理法や、注意点とは。

岸さん「お勧めの調理法としては、細かく刻んでチャーハンやハンバーグ、餃子の具材にすることです。こうすることで食べやすくなり、芯のシャキシャキとした食感を楽しめます。硬さが気になる人は、みそ汁スープなどの汁物に入れるのもよいでしょう。溶けだしてしまう水溶性のビタミン類も効率的に摂取できますし、甘みやうまみ成分によりぐっとおいしさが増します。

青臭さは加熱によって抑えられますが、加熱しすぎると逆に臭みが出てきてしまうので、くたくたになるまで加熱せずに、少し歯応えを感じる程度にしましょう。また、日にちがたっていると苦み、臭み、えぐみが出ることがあるので、苦みやえぐみが強いようであれば無理せずに捨てましょう」

オトナンサー編集部

キャベツの「芯」食べる? 食べない?