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計画通りに進む「コル・タウリ」

ランボルギー二の電動車「レヴエルト」の実車をじっくり見て、またランボルギーニ関係者から直接話を聞いて、ランボルギーニがこれから進む道筋がくっきりと見えた。

【画像】隅々まで見たい! ランボ新型車「レヴエルト」発表会【デザイン/内装を見る】 全90枚

時計の針を少し戻すと、2022年11月に都内で開催された「ウルス・ペルフォルマンテ」の発表会で、ランボルギーニ本社のトップであるステファン・ヴィンケルマンCEOから同社の電動化事業構想「コル・タウリ」について詳しい話を聞いた。

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6月6日。レヴエルト日本披露のために来日したデザイン部門のトップ、ミィティア・ボルケルト氏。    前田惠介

その際、モデルラインナップの今後の変化について、ヴィンケルマンCEOは次のように言及した。

当時のカタログモデルは「ウルスS」「ウラカンEVO」の2つのみ。そこに「ウルス・ペルフォルマンテ」と、「ウラカン」最終モデルが加わる。

また、「アヴェンダドール」は最終モデル「LP780-4ウルティメ」で生産終了。デリバティブ(派生車)は「ウラカンSTO」「ウラカン・テクニカ」。さらに、限定112台、「カウンタックLPI800-4」とワンオフモデルが登場。

そして、2023年には「コル・タウリ」が本格始動し、量産ランボルギーニ初のPHEVプラグインハイブリッド)を導入。続く2024年には、全モデルをPHEVとして、2028年にはグループ内でのリソースを最大限に活用した4ドアEVスポーツカーを投入するとした。

つまり、2023年登場のPHEVこそ、「レヴエルト」なのだ。

猛牛のヘリテージから感じる未来

レヴエルトのパワースペックは、リアに排気量6.5リッターのV12エンジン(L545)を搭載し、新型8速DCTとモーターを一体化。

さらに、2基のモーターで前輪を駆動する四輪駆動システムを持つ。リチウムイオン電池はボディ中央に配置する。

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ミィティア・ボルケルト氏と筆者。    前田惠介

電池容量や満充電までの時間が今回は非公開。充電方式は、交流による普通充電口が車体前部にある。

レヴエルトの実車を今回初めて見て、舞台右後方に飾られた「カウンタック」との共通性を強く感じた。

両車の誕生には50年以上の開きがあるが、レヴエルトは宇宙的なイメージのスーパースポーツV12としてヘリテイジが盛り込まれている。

今回の発表会にイタリアから来日した、ランボルギーニ本社のデザイン部門総責任者、ミィティア・ボルケルト氏は、筆者の「V12ヘリテージの中でも、直感的にカウンタックに近いと感じたのだが?」という指摘に対して次のように応えた。

ランボルギーニのDNAを盛り込んだ。(当然だが)カウンタックを連想するかもしれないし、ドアの開口部からディアブロを思い浮かべるかもしれない。(そうしたDNAを引き継いだ上で)今後10数年間の“未来のランボルギーニ”が分かる存在だと思う」。 

さら「レヴエルトはまさに、ランボルギーニにとってのピース・オブ・アート(芸術品)である」とも表現した。

電動化時代の新型車 それぞれの使命

レヴエルトのデザインの特長は、Y字形のライトシグニチャーだ。

となれば、これがランボルギーニ電動車の共通アイコンになるのだろうか?

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モーターサイクルのように」の言葉通り、ランボルギーニの量産モデル初のPHEVは、V12の存在をはっきりと確かめられる。    前田惠介

この点について、ボルケルト氏は「(レヴエルトで採用した)Y字形や六角形は今後、すべてのランボルギーニ(の電動車のデザインアイコン)として採用する予定だ。これだけではなく、デザインの革新性を追求していきたい」という見解を示した。

また「ひと目でランボルギーニだと分かるアイデンティティをきちんと出すことは重要だ。その上で、それぞれのモデルでランボルギーニとしての使命がある」とも指摘する。
 
そうしたデザイン哲学の中で、PHEVではV12の存在感を強調するため、デザイン初期から外部からはっきりとV12が見えるような立体的なリアボディ形状を考案したことを明らかにした。そのイメージとしては「モーターサイクルのように」と称して、エンジンの存在感をアピールすることを狙ったという。

こうした説明の中で、何度か「Unexpected(アンエクスペクテッド:想定外)」という言葉が出てきたのが印象的だった。

ランボルギーニオーナーのみならず、社会におけるランボルギーニの存在意義をひと言で表現したものだ。

「ランボの未来」はこうなる!?

発表会場には「From now on」という文字が目立った。

直訳すれば、「これから…」という意味である。

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日本向けの生産枠は数年先まで完売というレヴエルト。6000万円級の価格になることが分かっている。    前田惠介

言い換えれば、レヴエルトはランボルギーニ史上、最大の転換期を意味する。

1963年「350GT」によって世に出たV12はこの後、ミドシップスポーツでは「ミウラ」「カウンタック」「ディアブロ」「ムルシエラゴ」、そして「アヴェンタドール」と継承され、ランボルギーニユーザーのみならず、クルマを愛する多くの人たちにとってランボルギーニのブランドアイコンとして親しまれてきた。

今回、これらの実車が展示される中でレヴエルトの姿を見ていて、「From now on」という言葉が筆者として腑に落ちた。

DX(デジタルトランスフォーメーション)、SDGs(国連・持続可能な達成目標)、そしてアーバニゼーション(都市への人口集中)など、グローバルで大きな社会変化が訪れているいま、ランボルギーニはレヴエルトを基点に新たなスタートを切ったと断言できる。

最後に、ランボルギーニの一員として、電動化の未来をどう思うかを聞いた。

ボルケルト氏は「必ず明るい。強いDNAがこれからも続く。見て乗って鳥肌が立つようなエモーショナルな体感を通じて、皆さんに微笑みを届けたい」と語ってくれた。

これからもランボルギーニに、Unexpected(想定外)な驚きを期待し続けたい。


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