週刊少年ジャンプ集英社)にて絶賛連載中、2017年にはテレビアニメ化もされた『ブラッククローバー』初の映画作品『ブラッククローバー 魔法帝の剣』が、2023年6月16日(金) より公開、Netflixにて世界独占配信となる。原作者・田畠裕基総監修のもと、原作では明かされなかった「魔法帝」の物語を描いた完全オリジナルストーリーだ。

そんな本作から、生まれながらに魔法が使えない主人公アスタを演じる梶原岳人さんとアスタの幼馴染にしてライバルであるユノを演じる島﨑信長さんのインタビューをお届け。本作を見て感じたアスタとユノの関係性、そして共演者としてお互いにリスペクトしているところなど、キャラクターの関係性と共にキャスト2人の関係性に迫った。

原作でも大々的に使える豪華なエピソード

――『ブラッククローバー 魔法帝の剣』は原作で描かれていないオリジナルストーリーです。演じられてみての本作の率直な感想をお聞かせください。

梶原岳人(以下、梶原) テレビアニメシリーズで約3年半『ブラクロ』に関わってきましたが、それを超えるくらいエネルギーの詰まった作品だと思います。なので、おそらく人生で1番大変なアフレコだったのではないかと(笑)。

島﨑信長(以下、島﨑) ふふふ(笑)。

梶原 僕自身の作品への思いの強さという意味でも、劇中のアスタと宿敵コンラート(・レト、CV:関俊彦)との気持ちと気持ちがぶつかり合って、そして肉体的にもすり減らしながらの戦いという意味でもエネルギーを込めないといけないと。アスタが心折れそうな時は自分も心折れそうになりながら、それでも負けたくないという気持ちで演じました。

島﨑 まず原作でも大々的に使えるような、歴代魔法帝を大放出したエピソードはとても豪華だなと。そして演じてみると、改めて「魔法帝ってやっぱりすごいんだ!」と率直に感じましたね。ユリウス(・ノヴァクロノ、CV:森川智之)を含めると、本作では5人の魔法帝が登場します。それぞれ強い信念を持ち、強い心と体を持つ人たちなんですよ。そんな人たちが目指すだけの価値ある存在が魔法帝なのだと。アスタやユノが「魔法帝になりたい」と改めて思わされるような作品になったと思います。

――そんな本作において、お互いのキャラクターの見どころはいかがでしたか?

島﨑 アスタとコンラートの対話ですかね。敵対する2人ですが、とある共通点があるんですよ。同じ部分がある中でも、それぞれ選択や結論が異なっている。肉体のぶつかり合いももちろん面白いのですが、そういう対話、精神のぶつかり合いはすごく印象に残っています。

梶原 本作では、アスタとユノが直接的に一緒に戦うことはなかったのですが、冒頭から何かと2人が対話するシーンがあって。「精神的に支えられている」と思う場面が多いなと。
中でも、アスタが一度負けて帰ってきた時のユノと話すシーンが印象的でした。ユノというライバルに向き合うことで、「ここで折れちゃいけない」「前を向かないとユノに勝てないし、魔法帝にもなれない」とアスタが実感しているように感じました。共に戦っていなくても心で繋がりながら戦っている、そんな支え方をユノにしてもらっているなと改めて実感しましたね。

アスタとユノはお互いを高め合える関係性

――アスタとユノは言葉少なでありながら、すごく強い信頼関係を築いていると思います。本作を通して、改めて2人の関係性をどのように感じましたか?

島﨑 同じ施設出身の幼なじみで、いろんな時間と思いを共有して、同じ夢を持っていて、がっくん(梶原の愛称)が言っていたように、一緒にいなくてもどこかで繋がっている絆を持っていますよね。「どっちが魔法帝になるか勝負だ!」と言い合うライバルだけど、“ライバル”って言葉にすると簡単に感じてしまうというか……。

梶原 うんうん。

島﨑 クローバー王国の人たちをはじめ、一緒に守るべき人が増えている仲間であり親友でもある。“言わずとも分かる”ような関係性はいろんなことを積み重ねてきたからこそなんだな、と本作を見ると分かるのではないかと思いますね。

梶原 小さい頃からお互いのことを知っていると、お互いに比較し合ってしまうことってあると思うんですよ。だけど、アスタとユノの目指す場所は一緒でもお互いにないものを持っているから、2人で高め合えて、お互いの良さを引き立て合えているんだろうなと。ユノはアスタの心の強さを認めているし、アスタはユノの繊細さゆえの器用な戦い方を認めている。ないものねだりするのではなく、「自分は自分なりのやり方で頑張ろう!」とより燃えるような関係性。それを本作でも感じて、すごくいいなと思いました。

――そんなアスタとユノの関係性にちなみ、お2人の関係性についてもお話を聞かせてください。お互いに尊敬しているところはいかがでしょうか?

梶原 信長さんのリスペクトしているところを挙げたら数えきれないんですけど……一緒にお仕事をしていて「こうなりたいな」と思える存在だなと思っています。僕が声優の仕事を始めた時から共演させてもらっていて、それこそ『ブラクロ』の1話から信長さんが隣で演じてくださっていたんです。横を見れば、自分にできないことがほぼすべてできている存在がいる。作品をより良いものにするために現場の空気をよくしようと動いてくださったり、新人の僕にも気を遣ってくれたり。右も左も分からず、どこを向いて進んでいけばいいのだろうかと考えていた僕にとって大きな支えでした。
また、お芝居でも尊敬することだらけで。この前、とある作品で一緒にオーディションをやったんですよ。

島﨑 一緒にやったね!

梶原 信長さんが演じる役はいつも意外性があるのですが、あの時も「そんなところからも弾を飛ばせるんだ!」と感じるくらい変幻自在だなと思って。役によってお芝居のスタイルが全く違うように見えるんです。自分が持っていないものを持っている信長さんからはいつも学ばせてもらっています。

島﨑 “なんやかんや”意志が強いところですね。

――“なんやかんや”ですか?

島﨑 なぜ“なんやかんや”なのかというと、がっくんはあまり自分の気持ちや思っていることを表現するのが得意ではなく、どちらかというと内に秘めてしまうんですよ。だけど、同じ現場で見ていると本人は秘めているつもりだろうけど、外から見ると意志の強さが分かりやすく漏れ出ているという(笑)。

梶原 (笑)。

島﨑 がっくんの初主人公である『ブラクロ』から見ていますけど、その頃から「きっとこうしたいんだろうな」という意志の強さが漏れ出ているのを感じています。「自分はこうなりたい」と喧伝するわけではないけど、沸々と漏れ出ている。この仕事に限らず、何かを成すにはどんな形でも目標に向かっていく気持ちの強さがないと難しいと思っているんですよ。がっくんは新人の時からそれを持っていたし、いろんな経験を積んで成長しているけれど、そこは変わらない。むしろますます強くなっているところは、とても素敵だなと思います。

梶原、島﨑が「乗り越えたい人」とは?

――「歴代魔法帝と戦う」という本作のストーリーにちなみ、お2人がお仕事で「この人を乗り越えたい」と思う人はいますか?

島﨑 乗り越えたいと思う人はいないかも。たしかに「この人を越えていきたい」「同じポジションの人に勝ちたい」と考える人もいると思うし、その考えを否定するわけでは決してないのですが、僕自身は乗り越える必要も蹴落とす必要もなく「共存できるじゃん」と思っているんですよね。
仮に同じポジションの人がいても、それこそアスタとユノのように同じ志を持った人は仲間としていてくれた方が強くいられるし、競い合う関係性よりも高め合える関係性の方が自分にとって返ってくるものが大きいように思うんですよ。何より共存できれば、一人、また一人といい役者が増えていって、結果的に業界全体も良くなるのではないかと。そういう意味でも僕は乗り越えたい人はいなくて、共存の道を選んでいきたいですね。

梶原 乗り越えなきゃいけないのは「今の自分」だと思っていますね。すごい人たちと堂々と胸を張って肩を並べて芝居をしていきたいと思っていて。先輩方からも「こいつと一緒に芝居をしたら面白い」「張り合えるな」と高め合える役者でありたいんですよ。なので「この人を越えてやる!」というよりも「もっと自分は強くならないとダメだな」と。
同世代の人たちと同じ現場で芝居ができたり、活躍している姿を見たりしても、乗り越えたいというよりはすごく刺激を受けます。「今の自分の限界を越えてもっと良くなりたい」「もっとできることを増やしたい」「作品に貢献したい」とパワーをもらえる存在ばかり。そう考えると乗り越えたい人はいなくて、乗り越えなきゃいけないのは自分自身だよなと感じています。

――素敵なお話ありがとうございます! 最後に、約5年『ブラッククローバー』に関わられてきたお2人から、今作も含めた改めての『ブラッククローバー』の魅力をお聞かせください。

島﨑 魔法がすべての世界で、魔法が使えない、魔力が全くない少年が、魔道士の頂点であり人々の生活を支え守っていく存在「魔法帝」を目指すという一見無謀な夢を、諦めずに一歩ずつ着実に向かっていく。努力を積み重ねて周りに認めてもらい、仲間を増やしていく。そんなアスタの姿が『ブラッククローバー』の1番の魅力だと思います。
この作品を初めて見た時からずっと、元気でエネルギッシュで前向きな気持ちを受け取っています。テレビシリーズや原作から入ってもらっても、本作から入ってもらっても、その魅力は変わらない部分だと思うので、ぜひ皆さんにも『ブラッククローバー』から元気を受け取ってもらえたら嬉しいです。

梶原 ちっちゃい頃から「ジャンプ作品」をずっと読んできて、「ジャンプ作品」から自分のやりたいことが生まれたり、この仕事への夢を持つことができたりしました。自分が目標とする場所、目標に向かう力がもらえる作品がたくさん溢れているなと思っていたんです。
中でも『ブラッククローバー』は特にそういう力が強い作品だと思っています。読んでいる方、見ている方が「もっと自分を高めたい」「そのためにできることが何かを考えて頑張ろう」と頑張るための起爆剤になってくれる。僕と同じようにまだ夢を持っていない子どもたちから、もがきながらも夢を追い求めている人たちまで、幅広く受け入れてもらえる作品だと感じます。それが『ブラクロ』の魅力ではないかなと。本作もそんな多くの人たちに届けばいいなと思います。

取材・文:阿部裕華 撮影:小川遼

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