プールの水着女性

埼玉県内のプールで6月10~11日に開催予定だった複数の撮影会が、突如開催中止に追い込まれるという騒動が発生。プール貸し出し中止の方針を出していた埼玉県・大野元裕知事は11日、一転して「貸し出し中止の撤回」を明言したが、すでに約1,000万円近い損失を被った撮影会団体もあり、事態は収拾していない。

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■事の経緯

埼玉県が運営、管理する川越水上公園、しらこばと水上公園、加須はなさき水上公園で毎年6月と9月のプール開き前、プール閉鎖以降貸し切りで行われているプール撮影会。

中止騒動の発端は日本共産党埼玉県議会議員団による指摘で、過去開催された一部のプール撮影会において、水着女性がわいせつなポーズをとっていた、また未成年のモデルがいたことを挙げ、「都市公園法第1条に反するとして、貸し出しを禁止するよう県に申し入れ」(日本共産党埼玉県議会議員団ツイッターより)したのだ。

直後の8日、県営プール側は撮影会団体に対し開催中止を要請。同議員団ツイッターは「指定管理者より主催者に、中止を申し入れたそうです。理由は『貸し出し条件が守られていないことが主催者のHPより確認されたため』です #性の商品化は許さない」と報告を行っている。


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■3日後の中止要請「撤回」

この一連の流れで、10日、11日に開催予定だった全撮影会団体は会場が借りられずイベントを急遽中止に。中にはプール側が定めたルールを厳守していたにもかかわらず、“連帯責任”ともいえる形で他団体と同じく中止要請を受けた撮影会団体もあった。

しかし、11日午後10時近くになり事態が再び動く。

大野知事がツイッターで経緯と現状について説明し、「しらこばと公園が中止要請をした3者のうち1者については、詳細許可条件提示後に開催されたイベントでの違反が確認されなかった」と前置きした上で、一転「違反が認められない者に対し中止させることは適切ではない」「しらこばと公園の1者と川越水上公園の3者の中止要請を撤回すべき旨を指導」と、違反していなかった一部団体の中止要請を“解除”したのだ。


■一部の撮影会団体は「かなりのダメージ」

ようやくこれで一件落着…とはなるわけがない。

前述の通り、ルールを守りつつも一斉中止の要請を受け、開催2日前にしてイベント開催を諦めた団体がすでにある。その、秋葉原を中心に撮影会を企画してきた「フレッシュ撮影会」(運営元・エーテル)は、今回の朝令暮改劇で1,000万円もの損失を被った。

同社の植田氏は「50人近いモデルを埼玉に呼ぶため半年前からキャスティング、さらにはファンへの告知を続けてきました。当日は急遽秋葉原のスタジオに会場を移し、ごく小規模なイベントを実施しましたが、全てを振り替えることはとてもできず、出演者のキャンセル、プールイベント用に起用したスタッフ、キッチンカー、テント設営などのキャンセル、チケット返金などかなりのダメージが残りました。

過激なポージングや水着ルール違反をゼロにするため、例年以上にスタッフを増員しモデルへのレクチャー、さらには会場内を重点的にパトロールする予定だったのです」と悔しさを露わにする。


■24、25日のイベントは開催?

「遠方から来る出演者も多く、弊社にとっても年数回しかないかなり大規模なプロジェクト。避けられない状況でしたが主催の責任は弊社なので、各所にキャンセル料を支払う可能性もある。そうとなっては軽い損失では終わらない」と植田氏は続ける。

ちなみに日本共産党埼玉県議会議員団のHPを改めて見てみると、当初6月24日、25日に開催されるプール撮影会について施設の貸し出し中止を求めていたことが記されている。詳細な調査がないまま、流れにのって10日、11日の撮影会を“先行して”中止にさせた構図だ。

「理由もなく、対象になっていなかった10日、11日のイベントに中止要請が入ったのはなぜなのか。もし今回の県知事の方針転換で6月に予定されているこれ以降の他社撮影会イベントが開催されることになったら、弊社は納得いきません。すでに損失は出ており、妥当性を認められて県から補償があるのか、まだ全く不明瞭なのです」(植田氏)。


■業界内の問題点について是正を行うための署名活動も

他の問題がある団体が原因による複数撮影会の中止決定により、プール側が定められたルールを厳守していたにも関わらず巻き込まれ被害を受けてしまったフレッシュ撮影会は、現在Change.orgにて水着撮影会の不当な中止に抗議し、撤回を求めるための署名活動を行っている。

この署名は政治団体による一方的な決定の防止の阻止・抗議だけでなく、出演者の選定プロセスにおいて厳格なガイドラインを策定し、未成年者の安全を最優先に考慮することや、業界内での調査や協議を行い、水着の撮影会の適切な運営に関するガイドラインや規制の見直しを進めることについても要望として上げられており、業界内の問題点についても是正を行って関わる方々の権利向上に繋げるための署名でもある。

この問題に興味・関心のある方は、一度目を通しておくと良いかもしれない。

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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤

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