初めて描いた創作漫画『陰キャ王子と高嶺の華子さん』が“pixivコミック編集員のオススメ”に抜粋されたり、“今週の注目漫画16選”に選出された杉岡ケイ(@kei_sugioka)さん。現在は、一般企業で働くかたわら、先述した漫画作品が某出版社の編集者の目に止まって担当編集としてつくこととなり、創作活動を続けている。

【漫画】本編を読む/陰キャ男子の焦りと妄想が止まらない!?

そんな杉岡さんが描いた『笑ってコトちゃん』は、2023年4月にSNSにアップされると2000超えの“いいね!”がついた最新作。ネガティブな陰キャ男子と、“超”がつくほどポジティブな陽キャ女子が登場するかわいいラブコメだ。作品に込めた思いや、制作時の裏話について杉岡さんにインタビューしてみた。

――杉岡さんが漫画を描くうえで一番大事にしていることを教えてください。

自分の中で武器になり得るかなと思っているのは、“キャラクターの表情”です。そして、その表情を活かすためにしっかりとキャラクターの感情の変化が伝わるように描いています。キャラクターの表情については、初めて担当編集さんとお話しした際に「なぜ自分に声をかけたのか」を聞いたところ、「表情がよく描けていたから」というお言葉をもらいました。また読者の方からいただく感想の中でも、キャラクターの表情についてのお褒めの言葉が多いので、自分では得意だという自覚はありませんが、褒めてもらえるならきっとそうなのかなと!なので、それらを一番大事にして漫画を描いています。

――最新作『笑ってコトちゃん』もキャラクターの表情が魅力的ですね。この作品について詳しく教えてください。

私は陰キャ男子が好きです。そして、陰キャが陽キャに振り回される構図が大好きなので、『笑ってコトちゃん』でも、それを描きました。主人公の実賀千早は、とにかく私の性癖の塊みたいなビジュアルにしました。でないと描くのが楽しくないので…!眼鏡をかけさせたのは、描くのが苦手だったからこれを機に描けるようになろうという下心からです。

最初は2人のネガティブとポジティブの価値観の対比を描いて笑える話にしようかなと思っていたのですが、“いまいちオチや盛り上がりに欠けるななぁ”と悩んでいたときに、ふと「コトちゃんが泣いたら千早はどうするんだろう…」と思いつき、そこからどんどん展開させました。最初の構想では千早がコトちゃんへの恋心に気付いて終わり、くらいになる予定でしたが、個人的にハッピーエンドが大好きなので、結局告白までさせてしまいました。

――キャラ作りにはどういった工夫をされていますか?

千早のネガティブ思考の解像度を上げ、かつ第三者から見て笑えるようなキャラにしたかったので、芸人のブラックマヨネーズ吉田さんの著書をはじめ、さまざまなものを参考にしました。その中で特に刺さったのは、フリーゲームキリザキ君は。』の作者でゲーム実況者である幕末志士・坂本さんの言葉です。リスナーからの「ゲーム内で登場するようなかわいくて明るい女の子が実際に隣にいたらどうしますか?」という質問に対して「眩しすぎて劣等感に押しつぶされそうになる」と答えていたんです。それまで私は単純に、“陰キャが陽キャに振り回されつつ救われていく話”が大好きだったんですが、本当の陰キャはそんな甘いんもんじゃないんだな…と猛省し、千早にもその価値観を反映させました。

――作品を作る上で気をつけていること、課題に感じていることはありますか?

課題に感じていることは、”ページ数を短くまとめること”。これまでの作品は大体40ページを超えていて、長くなってしまう癖がありました。でもプロになったら、与えられるページが限られる。なので、ページ数をある程度調整する力を付けねばなと思っています。

そういう課題を意識して描き始めたのが『笑ってコトちゃん』です。最終的に28ページでまとめることができたので、目標はクリアできたかなと思います。今、少しずつですが、話作りのコツが掴めてきたんじゃないかなと、自信がついてきています。

陰キャ男子と陽キャ女子という正反対の二人のすれ違いがコミカルに描かれているこの作品。杉岡さんの狙い通り、陰キャ男子の真面目な悩みが、第三者から見ると笑えるような展開となっているので、二人の恋の行方が気になる人はぜひ読んでみて!

取材協力:杉岡ケイ(@kei_sugioka)

明るいコトちゃんが泣いている姿を見て、陰キャの幼なじみは焦る!!/杉岡ケイ(@kei_sugioka)