牛丼チェーン「すき家」は10月から、スタッフが十分に確保できない店舗の深夜営業(午前0時~5時)を休止し、深夜の1人勤務「ワンオペ」の解消に踏み切った。だが、本当にワンオペはなくなったのか。そんな疑問をもつ団体が10月11日未明、実際に「すき家」の店舗を訪れて、「ワンオペチェック」をおこなった。

その結果、調査を実施した団体は「東京都内の2店舗でワンオペが確認された」と発表したが、すき家を運営するゼンショーホールディングスは「2人体制だった」と、ワンオペを否定している。

●「東京都内の2店舗でワンオペが確認された」

調査は、労働組合やNPOなどでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」がツイッターで呼びかけ、10月11日午前1時から午前5時まで実施した。プロジェクトのメンバーや呼びかけに応えた有志が、東京や大阪、神奈川など合計81店舗の「すき家」を訪れ、店内の様子や店員に聞き取りした情報をツイッターで報告した。

同プロジェクト事務局の佐藤学さんによると、メンバーや有志らが店員から直接聞き取りをおこなった結果、東京都内の2店舗で「ワンオペ」が確認されたという。そのうちの1店舗を訪れた同プロジェクトの今岡直之さんの話では、「11日午前4時ごろ、豊島区にあるすき家の店頭には1人しか店員がいなかった」という。

今岡さんが「いまワンオペですか?」とたずねると、「そうです」という答えが返ってきたそうだ。さらに「ふだんからワンオペか?」と重ねて聞くと、「今日はいつもより早くワンオペになった」と述べたという。ただ、今岡さんによると、店の休憩室や更衣室などに他の店員が1人もいなかったかどうかまでは確認できていない。

もう1つの店舗については、店員が「さっきまでもう1人いたが、帰ってしまった」と話したと、ブラック企業対策プロジェクトの事務局は説明している。

ゼンショーは「ワンオペ」を否定

一方、ゼンショーホールディングスの広報担当者は、弁護士ドットコムの取材に対し、「勤務状況を確認したところ、2店舗ともに、11日午前0時~5時の時間帯は『2人体制』だった」と述べ、ワンオペを否定した。

しかし、ブラック企業対策プロジェクト側は「ワンオペだった」と主張している。あらためて、ゼンショーの広報担当者に「2店舗とも、その時間帯に2人いたということで問題ないか?」とたずねると、「(プロジェクト側が)どのように聞いたのか不明だが、私たちは慎重に調べたので、それで問題ない」と回答した。

このようなゼンショー側の反論について、今岡さんは「シフト上は2人だったかもしれないが、何らかの事情でワンオペになっていたのに、ゼンショー側が把握できていないだけでは?」と推測していた。

(弁護士ドットコムニュース)

すき家「ワンオペ」解消されていなかった? ゼンショー「2人体制だった」と反論