本日、Yamauchi‐No.10 Family Officeは、東洋建設の株主の皆様への重要な開示として以下の通り「Rebuild TOYO: 東洋建設のリーダーシップの再構築に向けて」を公表いたしましたので、お知らせいたします。

東洋建設の株主の皆様への重要な開示:Rebuild TOYO: 東洋建設のリーダーシップの再構築に向けて

プレス本文

 東洋建設の取締役会は、当社らが2022年5月18日に提出した当社買収提案について、1年以上経過した2023年5月24日に当社買収提案に反対する旨の決定を行いました。また、6月12日には「当社取締役会の見解」と題する資料を公表しています。東洋建設の特別委員会は、当社買収提案について、「真摯な買収提案に該当しないとは言えない」として実質的に「真摯な買収提案」であったことを認めています。それにもかかわらず、取締役会として自社の株主のために真摯に検討しなければならない買収提案をこのように1年以上に亘って実質的に放置したことも、また、反対理由として挙げられた点も、いずれも、以下に記載するとおり、自らが望まない対抗提案を排除するという結論ありきのものであったことは明らかです。また、東洋建設の取締役会は、1株当たり770円のインフロニアHDによる公開買付け(以下「インフロニア公開買付け」)に対して賛同表明・応募推奨を行い、その後1,000円での当社買収提案に対して、一度も価格交渉を試みてこなかったにもかかわらず、価格が不十分であるとの反対理由を示している点も、著しく不合理であることは明らかです。

 折しも2023年6月8日には、経済産業省より「企業買収における行動指針(案)」(以下「買収行動指針(案)」)が公表されておりますが、買収行動指針(案)に照らしても、東洋建設の取締役会のこれまでの対応や示された各理由は、取締役会として株主のために果たすべき義務・役割の観点からも、あるべき姿を逸脱しており、東洋建設のコーポレート・ガバナンス上の重大な問題点を明確に示しております。

 当社らとしては、これまでの東洋建設の現任の取締役会による恣意的な対応や意見表明については、東洋建設の株主の皆様にとっての損失であるだけでなく、日本の資本市場を後退させてきた悪弊そのものであると考えており、こうした問題点を明らかにすることは、今後、日本の資本市場において望ましい買収が不当に阻害される要因を取り除くための一助になるものと考えております。

 そこで、当社らとしては、東洋建設の対応・意見表明における主要な問題点・矛盾点について、以下のとおり、改めて本プレスリリースにおいて指摘させていただくとともに、東洋建設のガバナンス上の問題点を包括的に記載した、当社らが投資家向けに開示・説明している資料「Rebuild TOYO: 東洋建設のリーダーシップの再構築に向けて」を公表いたします。これには、本邦の上場企業が買収提案を受けた際に、企業価値及び株主価値に照らして、取締役会や取締役として行うべきではない様々な言動の具体的事例が示されており、反面教師とすべき稀有な事例と言えます。

東洋建設の株主の皆様への重要な開示:Rebuild TOYO: 東洋建設のリーダーシップの再構築に向けて

1. 東洋建設の実際の対応の問題点について

(1) 一方の買収提案に対する構造的な利益相反の不開示

 東洋建設は、1株当たり770円のインフロニア公開買付けに対しては、価格の提示からわずか8営業日で賛同表明・応募推奨を行っています。その後、その賛同表明・応募推奨を主導した経営陣らが、インフロニア公開買付け後にインフロニアHDの取締役として参画できる旨の密約を交わしていた事実も報じられており、東洋建設の一般株主とは構造的な利益相反関係のある状況でしたが、適切に開示されていません。

(2) 対抗提案を検討すらせずに買収防衛策を導入

 1株770円のインフロニア公開買付けの対抗提案として提示された1株1,000円の当社買収提案は、現金対価の全部買収提案であり、買収行動指針(案)に照らしても、株主の利益の観点からは価格面での取引条件が特に重要であり、東洋建設の取締役会としては当社買収提案について丁寧に検討し適切に説明責任を果たすべきでありました。そして、結果として東洋建設の特別委員会も実質的に「真摯な提案」と結論付けたものだったにもかかわらず、東洋建設の取締役会及び特別委員会は、当初から全く検討することなく買収防衛策を導入し、自らが望まない対抗提案については当初から拒否する結論ありきで対応してきました。このような株主利益を無視した対応は、東洋建設の株主の皆様からの支持を得られずに、昨年の定時株主総会の前日に買収防衛策にかかる議案を取り下げるに至りましたが、そのような状況にもかかわらず、東洋建設の取締役会の対応は改善されることはありませんでした。

(3) 「基盤崩壊論」による結論ありきの対応

 東洋建設の現経営陣らは、協議開始当初から、非公開化した場合には東洋建設の経営基盤が崩壊するとの「基盤崩壊論」をもとに非公開化には賛同できないという結論ありきの対応を行っていました。このような議論は何ら裏付けがないことが明らかとなりました。また、インフロニアHDからの買収提案に対抗する措置として東洋建設の経営陣自らもMBOによる非公開化を検討していた事実が報じられており、非公開化により事業が立ち行かなくなるという「基盤崩壊論」自体が理由として存在しないことが明らかになっています。

 なお、買収行動指針(案)では、『「企業価値」は定量的な概念であり、対象会社の経営陣は、測定が困難である定性的な価値を強調することで、「企業価値」の概念を不明確にしたり、経営陣が保身を図る(経営陣が従業員の雇用維持等を口実として保身を図ることも含む。)ための道具とすべきではない』とされていますが、本件はまさにこのような事態が生じており、買収行動指針(案)のこの該当部分は本件を意識した記載ではないかとすら疑われるところです。

(4) 買収提案を取り下げさせる圧力

 その後も、そうした「真摯な提案」である当社買収提案を270日以上、取締役会での検討すら開始せずに放置したのみならず、事務局らは当社らに対して、当社らからの社長面談の要請に際して、「フィランソロピー事業や山内家の評判を傷つけるようなことを我々もしたくない」と脅しともとれるような発言をするなど、買収提案を取り下げるよう繰り返し圧力をかけてきました。その後も、現に、東洋建設は週刊誌や月刊誌に対して当社らについての事実無根の法令違反の疑いなどの情報提供を行っていますが、当社らとしてはいずれも当社らによる買収提案を諦めさせるために当社らの名誉を傷つけることを目的に行っている悪質な行為と考えております。

(5) 機関決定も経ずに経営者の判断のみで買収提案を拒絶

 さらに、2022年11月25日には、東洋建設の現任の代表取締役社長は、取締役会における検討や機関決定を経ることなく、また、特別委員会も設置することすらせずに、当社買収提案に賛同できない旨明記した書面を手交しています。

(6) 特別委員会の恣意的な設置

 その後、2022年12月には、当社らから東洋建設の全ての取締役及び監査役に対して東洋建設のガバナンス上の問題を指摘し、また、2023年1月23日に、当社らから取締役会の再編を行う新たな方針を公表するに至ると、慌てて特別委員会を設置しましたが、その構成・建付けからは、公正な検討が期待できるものではなく、上辺を取り繕うためだけのものであることは明らかでした。

(7) 際限のない情報提供要求

 当社らは、一般的なM&Aの実務において必要とされる情報より遥かに詳細な合計196ページに亘る企業価値向上策を示しました。それにもかかわらず、東洋建設は、インフロニアHDには求めなかったような情報を含めて、当社らに対して法令で求められている以上の際限ない情報提供を求めるなどしてきました。これは、インフロニア公開買付けへの対応と比べて、明らかに差別的なものでした。

 なお、買収行動指針(案)では、デュー・デリジェンスに関する文脈ではありますが、「過度に詳細な質問を買収者に対して行うことが、実質的に経営支配権を取得する買収を阻止するための措置として行われてはならず、社外取締役はこの観点からも適切な監督を行うべきである」としていますが、本件はまさに買収を阻止するための措置として際限のない質問・情報提供を求めるものであり、かつ、この点についての社外取締役の監督が全くなされなかった事案です。

(8) 価格引き上げ交渉の不存在

 加えて、東洋建設の取締役会は、ただの一度たりとも、当社買収提案が示す1,000円の公開買付価格について引き上げるための打診を行っていません。株主利益を最大化する努力を怠っているにもかかわらず、公開買付価格が不十分であると結論付けています。むしろ1,000円での提案は価格が高すぎであり、強圧的であると繰り返し主張しており、これは、株主の皆様の利益の最大化に向けて努力を行うべき取締役が一切価格交渉を行わない極めて異例な事態であり、また、価格にかかわらず当社買収提案を排除するという結論ありきの対応であったことを如実に示すものであり、抜本的に刷新されるべきといえます。

2. 東洋建設の現任取締役会が挙げた反対理由について

(1) 東洋建設の中期経営計画を遂行することが企業価値及び株主共同の利益の最大化に繋がる、との反対理由について

 東洋建設の現任の取締役会は、特別委員会をしても実質的に「真摯な提案」と結論付けざるを得なかった当社買収提案について、上記のとおり1年以上に亘って実質的に検討することなく放置してきました。その間に、東洋建設は新たな中期経営計画(新中期経営計画)を公表しており、その新中期経営計画があることを理由に、1年以上前に提出された当社買収提案に反対しています。

 しかしながら、東洋建設の実績は、1株当たり770円のインフロニア公開買付け時に策定していた2023年3月期の計画値よりも現実には下回っています。上場維持では1株770円は実現し得ないという理由で賛同表明・応募推奨したインフロニア公開買付け時点との実質的な違いは、(イ)より悪化した現状を前提とする新中期経営計画と、(ロ)将来の東洋建設の財務基盤を犠牲にしかねない(下限を設けた)配当政策の2点のみです。(なお、当社らとしては、株主還元の強化自体を否定するものではありませんが、過去においても、取締役選任にかかる株主提案が提出された株主総会の局面において、将来に亘って無謀な金額の設定をコミットした配当政策によって会社の経営を傾かせた他社事例が存在することからも、この度の東洋建設の配当政策は明らかに長期的な企業価値を損なうものであり、株主還元を強化するのであれば、東洋建設の取締役会は即時の自社株買いを選択すべきだったと考えます。特に、数百億の投資を通じて事業成長をしていくことに自信を有しており、株価が市場からは低く評価されていると本当に考えているのであれば、なおさら自社株買いにより、将来のEPSの成長を相乗的に促進することが資本戦略として適切です。)

 また、上記の新中期経営計画を策定した代表取締役2名と、経営監督に関わってきた2名の社外取締役は、6月の定時株主総会で退任する予定ですが、その理由は示されず、責任の所在も曖昧になっています。

 東洋建設の実績が、1株770円前提でのインフロニア公開買付けの計画値すら達成していない中、770円どころか1,000円以上の本源的価値を実現することを描く新中期経営計画は実現可能性に大きな疑問があることは客観的に明らかです。このような状況で、当社買収提案については、一般的かつ抽象的な内容と一方的に評価し、新中期経営計画が当社買収提案よりも優れていると結論付けることは、定量的な観点から当社買収提案及び新中期経営計画を公正かつ客観的に比較検討しているとは到底いえず、極めて恣意的な評価であり、大きな矛盾を孕んでいると考えております。

(2) 当社買収提案で提示している公開買付価格(1株当たり1,000円)が不十分で蓋然性も不透明である、との反対理由について

 東洋建設の現任取締役会は、インフロニア公開買付けには1株当たり770円で賛同表明及び応募推奨したにもかかわらず、1株当たり1,000円の当社買収提案に対しては「当社(注:東洋建設)の本源的価値を反映した価値とはいえない」として反対しております。この点については、当社らが指摘するまでもなく、誰の目から見ても明らかな自己矛盾であり、支離滅裂と言わざるを得ません。

東洋建設の現任取締役会は、1株当たり770円のインフロニア公開買付けに賛同して、一般株主に応募を推奨し、当社らに対しては「非公開化を行わない独自の経営においては、数年では1株770円を超える株式価値を実現することは難しい」と説明していました。

 しかし、1株当たり1,000円での当社らの買収提案が継続されると一転し、今度は「1000円以上の価値は当然あるとわれわれは思っている」と発言しています。これは、表向きは株主に対して1株当たり770円のインフロニア公開買付けに応募推奨を行いながら、その実、一般株主の犠牲の下にインフロニアHDに不当に安い価格で株式を売却させようとしていたことを自認するものであり、それこそ株主に対する明白な裏切り行為に他なりません。

また、東洋建設の現任取締役会が、当社買収提案に対して1年以上にも亘り、一度たりとも価格交渉を試みなかったにもかかわらず、価格が不十分であるとの反対理由を示していることも、著しく不合理であり、当社買収提案に対する真摯な検討及び交渉に基づく判断とは到底いえず、株主の利益の観点から十分な説明責任が果たされているものともいえません。

(3) 当社らの法令違反との主張について

 東洋建設は、当社らによる法令違反の「疑い」を作出して、それを反対理由の一つとしています。しかし、当社らが株主の皆様に対してこれまでも繰り返し公表しているとおり、東洋建設が主張する法令違反の「疑い」は事実無根であり、当社らは適用法令を遵守しております。当社らは、必要に応じて関係当局に対して事前に情報開示を行った上で法令遵守の対応を行っており、当然ながら、東洋建設の現経営陣以外から法令違反の指摘を受けておりません。

 このような買収提案者の金融商品取引法や外為法違反等の「疑い」を言い立て、当社らが、あたかも法令違反を犯しているかのような印象操作を行った上で、買収提案に対する反対理由の一つとしてそれらを挙げる行為は、被買収企業の経営陣らが、自らが望まない買収提案者を排除するための「粗探し」としてしばしば用いられる手法です。

 かたや、東洋建設が賛同表明・応募推奨したもう一方の買収提案者については、過去のグループ企業の再編時に役員による金融商品取引法違反(インサイダー取引)が摘発されるにとどまらず、現実の法令違反行為が複数回行われていたことが明らかになっています。それにもかかわらず、東洋建設は意見表明報告書等においてこの点について何ら指摘することもなく、価格の提示からわずか8営業日の短期間で賛同表明・応募推奨を行っております。

このように、東洋建設の取締役会の反対意見には明らかな矛盾があります。また、そもそも事実無根である、法令違反の「疑い」が存在するとの全く誤った前提を置いた上で、当社買収提案によって東洋建設の企業価値が毀損するおそれが大きいと結論付けていることは、自らが望まない対抗提案を排除するという結論ありきの、著しく恣意的かつ不当な評価であることは明白です。

3. 会社提案の新取締役候補者ではガバナンスの重大な問題点の改善は見込めないこと

 以上のように、これまでの東洋建設の対応や反対理由の一部の問題点のみをもってしても、株主としての視点から見て矛盾に満ちたものとなっており、このような対応や反対理由が取締役会で何ら問題になることもなく全会一致で追認されていることからも、東洋建設の現在のガバナンスに重大な問題があることは明らかです。このようなガバナンスの重大な問題点が解消されることなく、東洋建設の取締役会が真に企業価値・株主価値の最大化に向けて正しく動機付けられ、株主のための行動を行うことは期待できません。

 また、会社提案の新任取締役候補者についても、このようなガバナンス上の問題を抱える現任取締役のみにて構成される役員指名・報酬委員会により指名され、現任取締役の問題点を受け継いでいることは明白であり、当社が提案する取締役候補者が取締役会の過半数を占め、ガバナンスを健全化しなければ、買収行動指針(案)に基づき、当社買収提案その他の対抗買収提案を真摯に検討する見込みはありません。

 東洋建設の株主の皆様におかれましては、東洋建設のガバナンスの健全化及び経営のアップグレードを通じた企業価値・株主価値の最大化のため、当社らの提案する取締役選任議案及び監査役選任議案に賛成の議決権行使をいただきますようお願いいたします。

以上

〈本件に関するお問い合わせ先〉
広報事務局
PRエージェント:ボックスグローバル・ジャパン株式会社
TEL: 03-6204-4337 担当田邊・久原
EMAIL: yfo.inquiry@voxglobalasia.com

株主様窓口:Innisfree M&A Incorporated
TEL(株主様窓口(英語)):+1-412-232-3651
TEL(金融機関・機関投資家様窓口(英語)):+44-7506-004-047, +1-212-750-5833

配信元企業:合同会社Yamauchi-No.10 Family Office

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